心が軽くなる分人主義という考え方
平野啓一郎氏の「私とは何か」を読んだ。
正直、すべては覚えてないが、分人主義という考え方をとても興味深いと思った。
自分自身、元気なときと、そうでないときの差があり、若い頃はどれが本当の自分なのか悩んだものだ。
自分という存在は一人であり、その個性、人格も一つであるはずだと。キャラがその時々で変わるのは異常ではないかと。
職場ではいつも明るく元気な人がいると羨ましかった。
そう思っていると、一つの自分を演じようとキャラ作りをしてしまっていた。いつのまにか、少し心を病んでいた。
年齢を重ねたこともあり、同じ自分でも、元気なとき、弱気なとき、怒りっぽいとき、怠惰なとき、どれも自分の中にある者であり、それを受け入れられるようになった。
周囲は訝しむかもしれないが、そういうのをすべてひっくるめて、自分なんだと。次第にキャラ作りをせず、素の自分を見せられるようになった。
他人に対しても寛容になれた気がする。
分人主義という言葉はその答え合わせのようだった。
人間というのは様々面があって、それが人を人たらしめているのだと。
あの人はああいう人だからというレッテルは安易にはってはならないと思っている。