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【ファイブ・フォース】同じビジネスでも国によって利益率が違う理由

業界分析の定番フレームワークに、マイケル・ポーターの「ファイブフォース分析」があります。ファイブフォースをヒトコトでまとめると「企業は利益を巡って顧客とも競争している」ということです。

一般に「競争」というと競合他社との争いだけをイメージしがちです。ポーターは競争の概念を拡張し、企業は顧客や供給業者、代替品とも競争しているとしたのです。

つまり、同じビジネスを展開しているとしても、顧客の違いによって利益率が変わるということです。今回は、セメント業界の大手「セメックス」の事例を使ってそれを確かめてみます。

セメックスの利益率の比較

セメックスのEBITDAマージンの推移

上記は、セメックスのメキシコ市場とアメリカ市場における利益率を比較したグラフです。ここでは、国際比較のため利益率の指標にEBITDAマージン(EBITDA/売上高)を使用しています。EBITDAについては下記参照。

グラフを見ると、メキシコとアメリカで利益率が大きく異なることが一目瞭然です。15ポイント~20ポイント程度のギャップが存在します。

ここでポイントになるのは、セメックスが両国で同じビジネスをしているという点です。同じ事業内容なのに、大きく利益率が違っているわけです。

その理由は、買い手(顧客)の交渉力にあります。

メキシコでは、セメント業界の売上の85%を多数の小規模な顧客が占めています。こうした数千、数万の「アリたち」は、セメックスに対して価格交渉力がありません。

一方のアメリカ市場では、大手の強力な建設会社がセメント業界の売上の大部分を占めています。このような「巨人たち」はセメックスに対して影響力を行使し、値下げを迫ってきます

すなわち、両国における買い手(顧客)の交渉力の差異が、セメックスの利益率の違いをもたらしているのです。これは、ファイブフォースの影響示す好例といえます。

今回はファイブフォースのケーススタディをまとめました。以上です。

※ その他のファイブフォースについては下記のnoteを参照


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