今日も順調に右肩下がり
べてるは幸せな人生を送らせてくれる場所である。
おそらくそれは昇る人生ではなく、
ゆっくり降りていく人生であるが、
少なくとも生きるに値する人生である。
―――『クレイジー・イン・ジャパン』中村かれん 214頁
▼▼▼衰退途上国・日本▼▼▼
今の日本は「衰退途上国」と言われる。
「衰退する」という意味で、
かれこれ30年ぐらい世界のトップを走り続けている。
少子高齢化、過疎化、インフラの老朽化、
社会や組織の制度疲労、政治の劣化、
災害の多さとその対策の杜撰さ、
男女不平等、メディア報道の不自由、
国防政策の稚拙さと一次産業の衰退。
すべてにおいて「極まって」きていて、
「日本は世界の一等国」みたいなことを、
自分の自尊心と重ね合わせて生きてきた、
故・石原慎太郎氏みたいなメンタリティの人間からすると、
もう、発狂するか乖離するしかないぐらい、
日々のニュースは見るに堪えないのではないかと類推する。
自称保守界隈にはどうも、
乖離している人のほうが多い印象だが。
「日本スゴイ」と今言える人は、
皮肉で言ってるのでなければ、
「どうかしてる」とまともな人間なら思うから。
そんな衰退途上国で、
「もういいじゃん、縮小していこうよ」
みたいな言葉に救われる気持ちもわかるし、
「そうは言っても、頑張っていかないと、
現状維持すらできないんですよ!」
と奮起する人の気持ちもわかる。
斉藤幸平に救済を感じる人の気持ちも、
NewsPicks的なネオリベ情報にそれでもすがらないと
日々をやってられない人の気持ちも分かる。
ただ、今の40代以下がはっきと分かっているのは、
「もう80年代・90年代には戻れない」という確かな事実だ。
高度成長は日本人が特別優秀だったからでなく、
万国に共通の「人口ボーナス局面」だったことを我々は知り、
今は「人口オーナス局面」に入っている、
ということも同時に我々は知った。
構造的に日本が「昇り竜」になることは、
あと100年とかのスパンでは少なくとも、
もう二度とないだろう。
客観的には右肩下がりの趨勢は変えようがない。
その中で奮起するのか悟りを開くのか、
という態度に違いはあれど。
僕自身はというと、
奮起しながら悟っている。
悟るためにも頑張らないと悟れない。
緑に濁った都立公園の池を泳ぐ水鳥は
優雅っぽい姿とは裏腹に水面下では
死に物狂いで足を掻いているのだ。
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