先生怒る→生徒、泣いて謝る→練習再開 これは日本だけ説
日本で20年ほど住んでいて、スポーツの中でよく見る光景として
やる気がないなら帰れ!!(先生怒る)
↓
ごめんなさい!!一生懸命頑張ります!教えてください!(生徒が泣いて謝る)
↓
よし、練習再開するぞ!!(先生ちょっと嬉しい)
という一連の流れがあります。これは私が体操競技を行っていたうえで飽きるほど見てきた流れでありこれはスポーツの中だけでなく、学校や職場でもよく起こります。
これは海外でも同じなのか?
しかしカナダで5年間体操の指導をしてきて
あれっ?これってもしかして日本でしか起きないの?
って思うような経験が何度もあったのでそれについて紹介していきたいと思います。
1、 11歳 カナダ人の少年
それは真夏のこと、私は次のシーズン(9月)から小さい選手を教えはじめる予定があり、夏の間から小さい子供たちを教え始めていました。その日はあまり子供も来ておらず数名の子供達が家族の事情により早退、私は一人の男の子を教える事になります。
彼の名前はダニエル、彼は運動神経もよく次のシーズンでは私のグループに入ってくる期待の星です。
鉄棒の練習、まだ私は彼がどれぐらいのことができるのかわからないので
私 「よし!!スイング(超簡単)を7回やって、見してもらってもいいかな?まだ君がどれだけ上手なのかわからないんだ」
ダニエル 「できません」
!??
私 「もしかして手が痛いのかな?」
ダニエル 「手は全然痛くないです」
!!???
私 「じゃ何かあったの?なんでスイングができないの?」
ダニエル 「スイング7回は疲れすぎます」
疲れすぎる!!?
私 「スイング7回が難しいってことかな?じゃできる範囲で見してもらってもいい?」
ダニエル 「いやです、スイングは嫌いなので」
、、、、、、、、、、、はい、キレました
私 「じゃやる気ないんなら家に帰りなさい。親に電話しておいで」
はい、始まりました、これが最初のステップですね。この後に彼が泣いて謝る流れがはじま
ダニエル 「帰りません!!」
りませんでした、、、、あれ??
私 「親が迎えに来れないの?」
ダニエル 「親は家にいます、でも家にいても暇だからトランポリンがしたいです」
、、、、このコーチの行っていることを断りながら自分の要求を通そうとする図太い神経!!まさかの一つ目のステップでもっとも重要な先生が怒っている、が全く伝わらない様子
この後、私が実は怒っていて別にダニエルに家に行って欲しいわけではないんだよ、、、、、と20分ほど説明する事になりました🤣
2、 12歳 男子二人
これは小さい選手のグループを教え始めたときの話。二人の男の子が練習中に喋り続けていました。何回注意しても止まらないので
私 「二人とも、俺は今日はもう教えない!!見学しているか、家に帰るかしろ!!」
これは前の失敗から学んだ自分なりのアイディアでした。この
1、見学する 2、家に帰る
の二択を責められたときにまずはほとんどの子供が 1、見学するを選びます。なぜなら家に帰るとしても親に連絡したりと物事が大きくなってしまうからです。そして見学をしている間は彼らにとってどうやって謝るかを考える絶好のチャンスです!!
これだけの御膳立てをしたなら流石に謝りにくるはず、、、
しかしそれから1時間半、彼らは楽しそうに喋っています。喋りすぎて怒られてるのにまだ喋っている、、、これはもう喧嘩売ってるんですかね?
もう待ちきれなくなった私は他の選手に一人ずつ呼んで来てもらう事に
一人目 ガブリエル
私 「なんで見学しろっていったかわかるか?」
ガブリエル 「わかります。練習中に喋ってたからです。」
あれ??この子ちゃんと理解してる?
私 「何か俺に言いたいことはないのか?」
これは絶好のごめんなさいチャンスです
ガブリエル 「ありません」
は〜、、、、、、まーなんかわかってましたけどね
私 「1時間半も見学してたけど、何とかして練習に戻ってこようとは思わなかったのか?」
謝って練習に参加させてもらうとかね
ガブリエル 「いいえ、シュンが見学しろと言ったんだったら何か意味があるはず。自分はシュンを信じます」
ピュア!!? 信頼をおいてくれるのはすごく嬉しいけどそっちじゃない😭
私 「は〜、わかった、次からは俺が呼ぶのを待ってないで自分から俺のとこまで話に来な。じゃ練習再開しようか」
こんな感じでガブリエル練習再開!!しかしもう一人の選手と話をしなくてはいけません。
二人目 ダニエル
はい、またダニエルです😭
ダニエルが私のところまで歩いて来ました。そして
私 「何か言いたいことはないか?」
お願いだから謝ってください
ダニエル 「シュン、俺、親に電話して迎えに来てもらうよ!なんか時間の無駄な気がしてきたからさ」
もう!本当にこの子は!!!😭
その後にまたなぜ見学しろと言ったのか、ダニエルにどうして欲しかったのか?などを時間をかけて説明(20分ぐらい)そして彼は練習に参加しました。
これを説明している時は、なんかボケたのにボケが伝わらなかったのでそれについて解説しているときの虚しさに似ている感情が押し寄せてきます😭
3、ガブリエル 13歳
これはガブリエルが13歳の時、このときの彼はダンスにハマっていて自分の順番を待っているときに踊りはじめるという本当に迷惑な時期でした。
私「練習中は踊らないで次の技について考えなさい!!次踊ったらもう教えないからな!!」
ガブリエル「俺はもうダンス中毒になってるから自分じゃどうしようもできないんだよ!!」
もうちょっとマシな言い訳はできなかったのかな?と思いつつも彼が踊り続けるので
私 「わかった、そんなに俺のいうことが聞けないんだったら俺はもう教えない。自分で練習するか家に帰れ!!」
これもいいごめんなさいチャンス!ですが彼らにこの選択肢はありません
ガブリエルはそれから自分で練習を開始、そして驚く事に一つ新しい技を自力で習得しました。
これには流石に驚きを隠せない私(あれ?勝手に練習させた方が上手くなる?)とか思っていましたがガブリエルは練習終了の1時間前に終わってお喋りを始めました。
なんかせっかく見直したのに結局これか、、、
私 「何でもう練習終わってるの?」
ガブリエル 「もうやれることは全部やりました、もう自分の練習は終わりです。」
、、、、、、、、、はい、またじっくり話す時間ですね、この時は30分くらい話しました🤣
怒→謝の流れの発動条件
この怒→謝の流れには発動条件があるのではないかと思います。
1、コーチが自分のせいで怒っていると選手が理解できること
2、選手がコーチを尊敬し、この状況を何とかしようと思えること(謝る)
3、コーチと選手のパワーバランスが対等ではない(コーチの方は強い)
日本では 1、コーチが自分のせいで怒っていると選手が理解できることについては簡単にクリアできます(さすが日本人)しかし 2、選手がコーチを尊敬し、この状況を何とかしようと思えること(謝る)については選手がなかなか勇気を持てずに結局コーチが選手を呼ぶと言ったことが小さい選手との間に起こりがちです。
海外、特にカナダでは様々な人種や文化が混じっているような状況なので一つ目のステップをクリアするのも難しい感じです。二つ目に関してはコーチに教えてもらうという感覚が薄いと予想していたこととは全く違うことが起きてしまいます🤣
そしてこの 3、コーチと選手のパワーバランスが対等ではない(コーチの方は強い)というのは日本ではどこでも見られることですがカナダではコーチと選手の距離が近く、選手によってはコーチのことを体操を教えてくれる友達だと思っている選手もいます。
このことから海外でこの日本特有のイベント(怒→謝)を見るのはなかなか難しいと思います。
まとめ
この怒→謝の流れ、一見バカばかしく思えてしまうかもしれませんが、これは起きた問題を選手とコーチで解決する事によってお互いの絆を深め合う、日本特有の方法だと私は思います。(ま〜問題はコーチが起こしてるんですけどね)わら
という事でこの当たり前に起こるようなことは当たり前ではない、というお話でした。
もし他の国でもこの怒→謝の流れがよくありますよ〜ていうかたは教えていただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。