見出し画像

あの小説で読んだ限界飯を作る

津村記久子さんが大好きだ。

…好きだ。大好きだー!!
うおおおおお(近所の公園へ走る)

中でも2021年の「現代生活独習ノート」に掲載されている
「レコーダー定置網漁」はもう、たまらないものがある。

企業で入社希望の学生のSNSチェックをする、という業務に疲れ、
もういかなる情報の波も受け止められない状態となっている
リフレッシュ休暇中の社会人が主人公。
レコーダーに録画した「刑事コロンボ」を視聴することだけはできるという状態なのに、
いつの間にかコロンボが終了しており、
その枠には見知らぬ番組が録画されている。

情報の積載オーバーを感じていた主人公は
その料理番組だったり、街角クイズ番組だったりを観ながら
おそるおそる、番組に出てくるあれこれに取り組んでいく。

というのがあらすじで、
今日、そこに出てくる料理を作ってみた。
料理とは言えないほどの簡単な食べ物、
でも主人公と同じそれを食べられたのがすごく良かったのだ。

「レコーダー定置網漁」には架空の料理番組「自炊ヘルパー!」が登場する。
離婚直後でお疲れ気味の料理研究家の先生が教えてくれるのが
「フライパン焼き鳥」である。

鶏もも肉と長ネギを切って、焼いて
醤油、砂糖、料理酒で味付けするだけ。

\じゃーん/
…というほどのものでもないし、想像通りの味がする。
しかしそれが良い

“帰りが少々遅くなっても、この程度は食べられる”“最低限ネギを丸一本食べたっていう言い訳が立ちます”“外食を何にも決めたくないけど何か作るのもめんどくさいしかといって出前やインスタントも嫌だ、という時にこれ作ろう”と、えらい言われようのこのメニュー。でも、まさにこんな感じで調理のハードルが限りなく低いのがよかった。

主人公や料理研究家の先生と同程度疲れていただろう私にもできたし、
「ネギ丸一本食べたな」と満足感に浸ることができた。
また低調な時、この本を読みながら食べてみたいと思う。
そうしたらちょっとは気分が上向きになるはずだ。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集