マインドマッスルコネクションって存在するの??
マインドマッスルコネクション(Mind Muscle Connection; MMC)とは
Mind Muscle Connection;MMCとは,脳と筋の結合つまり,トレーニング中に筋を思い通りに働かせ適切な負荷を与えられるようにすることです.多くのトレーナーやボデイビルダーがトレーニング中に意識していたり,重要だと行っていますが,本当に効果的なのか?そもそも可能なのか?この謎について,いくつかの文献とともに説明したいと思います,
注意の向け方
特に,運動学習などのスポーツ心理学の分野では,注意の向け方が,パフォーマンスや,運動学習に及ぼす影響について長い間研究されてきました.
そもそも,注意の向け方とは何かについて説明します.
インターナルフォーカスとエクスターナルフォーカス
注意の向け方には上記の2通りがあります.
インターナルフォーカスとは,注意を内側に向けることです.内側とは自分自身という意味で,体の一部などに注意を向けることを言います.反対に,エクスターナルフォーカスは,注意を外部に向けることを言います.つまり,自分自身以外の何かに注意を向けることを言います.例えば,サッカーボールをける場面を想像してください.ボールを蹴るときに,足の向きはこうで,足首の角度は,,,などに注意を向ける方法がインターナルフォーカスで,ボールの軌道はこうで,ボールはゴールネットのあの辺に当たって,,,などに注意を向ける方法がエクスターナルフォーカスです.
多くの研究は、注意の向け方が運動パフォーマンスや学習に重要な影響を与えることを示しています。多くの研究はインターナルフォーカスの採用はは、運動パフォーマンスや学習効率に比較的効果がないことがわかっています。対照的に、自分の動きが環境に与える影響に注意を向けるをエクスターナルフォーカスの採用は,より効果的なパフォーマンスと学習につながることが証明されています.
注意の向け方と運動パフォーマンス
Zacryら(2005)の研究では,フォロースロー中の手首のスナップ動作にフォーカスするインターナルフォーカスとバスケのリングの後ろの中央にフォーカスするエクスターナルフォーカスではどちらが,バスクットボールのフリースローの成績が良いかを検討しました.
結果は,エクスターナルでの注意の向け方の方がフリースローのスコアが有意によかったです.さらに,エクスターナルフォーカスが有効な理由に,モーターユニットの効率的な動員があげられています.
インターナルフォーカスでフリースローを行なった人たちは,手首に注意を向けました.しかしながら,手首の運動に関係のない上腕二頭筋や三頭筋の筋活動がエクスターナルフォーカス群よりも有意に高い値を示しました.
*BB; 上腕二頭筋 TB; 上腕三頭筋
この結果は,運動系へのインターナルフォーカスの効果は,フォーカスしていない筋群や運動系全体にまでも影響することを示唆し,エクスターナルフォーカスは効率的なモーターユニットの動員を誘発することを示しています.
Tiffany Zachry, Gabriele Wulf, John Mercer, Neil Bezodis(2005)Increased movement accuracy and reduced EMG activity as the result of adopting an external focus of attention,Brain Research Bulletin 67 304–309
このように,エクスターナルフォーカスは,スポーツパフォーマンスを向上させることが明らかとなっています.しかしながら,この研究が示すように,インターナルフォーカスにすることによって筋活動は向上しています.
では,注意の向け方はレジスタンストレーニングへはどう影響するのでしょうか?
注意の向け方と筋トレ
Vanceら(2004)の研究では,バイセップカールを最大アイソメトリック筋力の50%で10回2セットをバーに注意を向けるエクスターナルフォーカスと上腕二頭筋に注意を向けるインターナルフォーカス(俗にいうマインドマッスルコネクションを再現している状態)で実施し筋活動の違いを検討しました.
*□インターナル セット1 ○セット2 ◾️ エクスターナル セット1 ●セット2
その結果,エクスターナルフォーカスでは動きが早くなり,
二頭筋と三頭筋のiEMGはインターナルフォーカスの方がエクスターナルフォーカスよりも有意に高い値を示しました.
この結果からも先ほどと同様に,エクスターナルフォーカスはより効率的にモーターユニットを動員することがわかりましたさらに,注意を向けていない三頭筋の活動までもが高い値を示しました.
このように,どうやら,インターナルフォーカスの方が筋活動を向上させるので,筋肥大には効果的なように見えます.
最後に,実際に注意の向け方が筋肥大に及ぼす影響を検討した研究を見ていこうと思います.
J Vance, G.Wulf, T.Toliner, N.McNevin, &J. Mercer(2004)EMG Activity as a Function of the Performer's Focus of Attention,Journal of Motor Behavior, 36, 4, 450-459
注意の向け方と筋肥大
非熟練を対象に以下の条件で検討しています.
インターナル; 筋にフォーカス: エクスターナル; バーにフォーカス
トレーニング : 8–12RM 4セット 2分レスト 3日/週 8週間
結果は,インターナルフォーカスの方が上腕二頭筋においてのみですが,有意に大きな筋肥大を示しています.この結果は, “マインドマッスルコネクション”が筋肥大を促進することを支持するでしょう.しかし,下半身の筋肥大が促進されなかった理由は,おそらく神経系は上半身のコントロールをより得意とするからとしています.*注意点; (1)8-12RM 強度及び(2)非熟練者での結果であることを考慮する必要がある.
この研究から言えることは,エクスターナルフォーカスよりも(少なくとも上腕二頭筋において)インターナルフォーカスは筋肥大を目的とした場合効果的であるということです.
BRAD JON SCHOENFELD, ANDREW VIGOTSKY, BRET CONTRERAS,SHEONA GOLDEN, ANDREW ALTO, RACHEL LARSON, NICK WINKELMAN, & ANTONIO PAOLI(2018)Differential effects of attentional focus strategies during long-term resistance training,European Journal of Sport Science,18,5,705-712
結論
運動学習や,パフォーマンス向上にはエクスターナルフォーカス
筋肥大を目的としたトレーニングはインターナルフォーカス
で行うと効率が良いだろう.
さらに,マッスルマインドコネクションは確かにありそう
だが,不明なことが多い.
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