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色覚異常者と遺伝

色覚異常は遺伝性の病気である、と前回、前々回を通して述べてきました。つまり今の医療技術では治せないんですね。近頃では、ゲノム編集という技術で遺伝子の書き換えをする方法も理論化され、実際に臨床試験まで行われた、という話を目にした記憶はありますが、まだまだ先は長そうです。

さて、色覚異常は遺伝性ですが、どのような仕組みなのでしょうか。
だいぶ大雑把に書きますが、色覚異常をもたらす遺伝子は、私たちの性染色体にあります。中学で習ってると思いますが、「XX」の組み合わせだと「女性」で「XY」組み合わせだと「男性」になる、というの、覚えていますか?

色覚異常になる因子、原因をもつ遺伝子はX、Yの遺伝子のうち、Xの方にあります。色覚異常になる因子となるXの遺伝子をX'と表すとします。このとき、どのようになったら、色覚異常が発現すると思いますか?

色覚異常の因子があるとき、性染色体の組み合わせを考えると次の3種類が考えられます。

X'X X'X' X'Y

このとき、X'X'は色覚異常の女性、X'Yは色覚異常の男性となります。
では、X'Xが何なのかというと、これは「保因者」と呼ばれます。端的に言うと、色覚異常の因子を持つ健常者です。つまり、色覚異常ではないけど、色覚異常者を将来産む可能性をもっている、ということです。

XY X'Y 

XX X'X X'X'

可能性としては、上に挙げた、男性(健常者・色覚異常者)と女性(健常者・保因者・色覚異常者)の2通り×3通りの6通りの組み合わせが考えられますね。ここからさらにどのX染色体が新たな命の基盤として採用されるかにも左右されますが、これを見るだけでも、なんとなく色覚異常者って多いのかな?って思えてきませんか?

事実、日本では、20人に一人、女性は500人に一人は色覚異常者であるそうです。男女あわせれば40人に一人、つまり一般的な学校のクラスに一人はいてもおかしくない確率です。日本全体で見ると、統計で350万人いるそうです。これはAB型の日本人の数とほぼ同じ数です。当たり前の存在であるということです。

今日はここまでです。知っておいてほしいことは次の3点です。

・色覚異常は遺伝性である
・色覚異常を治すことはまだ出来ない。
・色覚異常者はごくありふれた存在である。

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