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「人と同じことをするのが苦手」なのはHSPの特性なのか?

僕は長所を問われたら「人と同じことをするのが苦手」と答えるようにしています。たとえば誰かと服の色が被ってるだけで「うわっ!」と思ったりもします。もちろん集団行動には向いていません(こんなんでよく学校で働けてるよなあとか思う)。

そもそも「人と同じことをするのが苦手」というのは長所なのか。だいたい「苦手」と言う文字が入ってる時点でそれは短所じゃないのか、と言われたこともあります。でも僕は「人と同じことをするのが苦手」だからこそ、今までのちょうど29年半をのらりくらりと生きてきたのです。逆に人と同じことを強要されたりしていたら、下手すりゃこの世の中からドロップアウトしていたかもしれない。だから僕の中で「人と同じことをするのが苦手」なのは長所なのです。

小学校のとき、同じ学年80人で合奏を発表することになりました。もちろん僕は複数人いるリコーダーや鍵盤ハーモニカなんて絶対にやりたくない。そこで目をつけたのが「打楽器」でした。

ところが打楽器希望者が多かったので、オーディションという形で実際に小太鼓のパートを叩くというテストを受ける必要がありました。これでだめなら、リコーダーか鍵盤ハーモニカの2択になってしまう。それなら合奏に参加しないほうがマシだとも思っていたので、オーディションはもう死ぬ気でやりました。結果は合格、ということでわりと目立つ大太鼓の役を無事にゲットすることができました。

それこそ不登校や、大学進学で関西出身の学生がほとんどいなかった岐阜の大学を選ぶのも「人と同じことをするのが苦手」だからこその行動だったと言えます。そういえばマイナビの広告に強い嫌悪感を抱いて就職活動をやらない、と決断したこともありました。あと、僕は4年前に父親を亡くしたのですが、出棺のときに親戚中が大泣きするなか僕だけはやけに冷静に涙も出ず、棺に入れる品物をどう配置すればいいか斎場の担当者に確認するほどでした。

ほかにも枚挙にいとまがないほど「人と同じことをするのが苦手」だったエピソードがあるのですが、以前から僕はこれがHSP(Highly Sensitive Person:人一倍敏感な人)によるものなのか、はたまたHSPは関係ないのかという点が気になっていました。

たとえばHSPが集団行動に向いていないという話はよくなされますが、それは周囲に気を使いすぎてしまうがゆえに疲弊してしまうという点で「向いていない」という話です。たしかに僕は前述の通り集団行動に向いてないし、周囲に気を使いすぎてしまうという点でも疲れがちなところはあります。しかしこの「人と同じことをするのが苦手」という心理の奥底には「自分の個性が埋もれてしまう怖さ」みたいなものがあるので、気を使いすぎてしまう、というのは少し違う気がします。

で、考えていくうちに、「種の生存戦略」という意味合いでは、HSPと深く関係するのではないか、という結論が少しずつ見えてきました。

本来、「同じ行動を取る」というのは実は危険な行動です。たとえば飛行機において、機長と副操縦士は必ず違う食事を取らなければなりません。それは、もしも同じ食事を取ってそれによって機長も副操縦士も体調を崩した場合、最悪飛行機が墜落するということになりかねないからです。

以前なんかの本で読んだのですが、この世の中には外向型の人間が8割、内向型の人間が2割いるそうです。これが仮に外向型の人間しかいない世界になると、外向型の人間が苦手だったり不得意な状況で何も解決できなくなる、という問題が起こってきます。だからこそ、少数とはいえ内向型の人間が生き残ることで、こうした状況を立て直せるようになっている、というわけです。

たぶん僕の「人と同じことをするのが苦手」というのは、こういう生存本能によるものなのかもしれない、と思っています。そして「周囲が同じ行動を取ろうとしている!」ということにはっと気付くという点で、HSPの敏感さ・繊細さが大いに活きているのかもしれません。

実際、僕は「人と同じことをするのが苦手」という長所を活かしてこの2年教員として働いてきました。あ、いま電話番できる人いないな、と思ったらすっと職員室に戻ったりとか、ぱっと「いまどこに手が足りていないのか」を把握して、その仕事を回収するようなこともしょっちゅうありました。もちろん頼まれた仕事も、人と同じことをする仕事もこなしてきましたが、集団の中で「いま、足りていないポジション」を見つけ出してそこを守る(手を出す)、という働き方は、かなり自分に向いたものだという実感がありました。

父親の葬式の話でも、家族全員が大泣きしたら父親も心配がるのではないか、という本能が自分の気づかないところで働いて、いま思い返しても不思議なほどの冷静さを僕にもたらしていたのだと思います。

これからもこの「人と同じことをするのが苦手」という長所はどんどん活かしていこうと思っていますし、どこにいても誰に指摘されてもこうした「いま、足りていないポジション」を見つけ出す働き方は一生続けていきたいな、と考えています。

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