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コミュニケーションが難しく面倒臭い原因

コミュニケーション、と言っても概念としてはとっても広いので、ここで言うコミュニケーションとは同期型のバーバルコミュニケーションや、非同期型のテキストコミュニケーションに絞って述べています(※1)
具体的に言うと、僕が主に軸足を置いている「B2B営業領域」における売り手である営業パーソンと買い手である顧客及び見込み顧客間におけるコミュニケーションと、売り手の営業組織内で行われるコミュニケーションに絞って述べています。

…と、こういう前提を述べておかないと「コミュニケーションとはー」とか言ってくる人がいるので、ぶっちゃけ面倒臭いんです。
僕はX(旧Twitter)やブログ類(noteもブログですよね)を自分の意見や考えを発信する・表現する場であると捉えて活用していますが、中には議論する・論破する場・知識マウントを取る場として捉えている人もいるわけで。そういう人たちと僕とはこれらプラットフォームを使う目的が異なるため、基本的にスルーした上でミュートをするようにしています。

そう、コミュニケーションは時にとても難しく面倒臭いものだったりします。とても暇で時間を持て余しているのであれば良いのですが、他にやりたいこと・やるべきことが多い場合は「面倒臭さ」が勝ってしまいます。

こういうインターネット上におけるコミュニケーションのみならず、リアル世界におけるコミュニケーションにおいても「いや、そういうつもりで書いたんじゃないんだけどな。でもいちいち説明するのも面倒臭いよな」というシーンは発生しますし、なんなら「え、そういうことだったの?勘違いしてた。やばいなお客さんを怒らせちゃったよ」みたいなことも起きるわけです。商売をやっている人からすると避けたい状況です。

ということで、主にB2B営業活動における言葉の解釈と、その代表とでも言える「問題と課題」の解釈について述べていきたいと思います。

こうなる前に、ね

言葉の解釈

童話「一休さん」で有名な「この"はし"わたるべからず」がまさに、です。"はし"を「橋」と捉えるのか「端」と捉えるのか、というストーリーですよね。

似たような話はビジネスの世界でも起きています。例えば「もっと気合い入れて頑張れよ!」と上司が部下に言うシーン。上司にとって「もっと気合いが入っている状態」というのは上司の解釈しているイメージがあるわけです。でも部下にとって「気合いが入っている状態」は必ずしも上司のそれとは同じであるわけでもなく。
で、「気合い入ってんのか!?」と上司に問われた部下は「入ってます!!」としか言えない。なんだこのやり取り。
つまり「人が気合い入っている状態」について解釈が揃っていない、その前に言語化されていない、ということです。

他人と意思疎通をしていく上で、バーバル(口語)のコミュニケーションとテキスト(文字)のコミュニケーションは手段として僕らが日々使っているものである一方で、こうしている間にあちこちで「ミスコミュニケーション」や「勘違い・誤解」が生まれているというわけです。

古典落語の「こんにゃく問答」を出すまでもなく、このテーマは古来より扱われてきたものです。言い換えると言葉や文字を扱えるようになったホモサピエンスにとって言わば永遠のテーマとも言えるのかもしれませんね。

ということで、100%完璧に意思疎通できている状態を目指すことはあまりにも現実的ではないため、少しでも誤解を生まないよう、そして双方において意思が通じ合う状態を作るよう、営業活動において多くの解釈が存在している「問題」と「課題」について述べていきたいと思います。

意思疎通できないと、人間関係は育めないと思います

営業活動における「問題」と「課題」の解釈

問題と課題という言葉の辞書の意味について述べるつもりはありません。また学術的にどうか、とかでもありません。
僕のスタンスをはっきりさせておくと「営業活動を進めていく上で、買い手とのコミュニケーション(※1)を通じて商売を成立させていくために、問題・課題といった言葉の解釈をどのように捉えるとよいか」という観点で述べます。これが前提なので、前提が違う場合は議論にならないです。
加えて、正解もしくは言葉の定義を述べているものでもありません。解釈は人によって様々あってよいですし、解釈が複数あることを否定するものでもありません。
上記の前提において、このように解釈したら商売を成立させていくコミュニケーションはしやすくないですか?という私の考え方の提案です。なので「しっくりこないから少し自分なりの解釈を加えよう」というのは自由です。買い手がより良い購買活動をし、加えて自身の営業活動がよくなるのであればそれが一番なので。

ただし、解釈を言語化したら、社内外のステークホルダーとは解釈を合わせるようにしてくださいね。つまりあなたが営業活動を進めていくにあたってコミュニケーションをとるお相手とは、解釈を揃えてね、ということです。これがないとコミュニケーションは成り立ちづらくなります。そういうつもりじゃないんだけど、となります。

ここまでご理解いただけた方はこのまま読み進めてください。



結論から申し上げます。

営業活動において、問題と課題は以下の構造にある、と整理しています。問題というのは起きている症状・困りごとと解釈し、そしてその問題には必ず原因が存在している。そしてその原因は何かしらの不足や障壁によって生じている。この不足や障壁を課題と呼び、その課題解決をするものを解決策(ソリューション)と言う。

ビジネスにおいて起きている症状や困りごとというのは何を指すのか、具体的な例を用いながら解説していきます。

例えば「人材難の状況下、離職率が下がらない」という問題は耳にする人も多いのではないのでしょうか。これは「離職する人がおらず、貴重な人材が定着している状況」を理想として置いたときに、実際の状況とギャップが生じている、と言えます。

そして問題というのは自覚症状があるものを指します。離職率が下がらない、という症状は自覚できます。痛みを伴う状態を指します。なので「今何に特にお困りですか?」と聞いて相手の口から出てくるのは「問題」について、となります。

そして問題には原因があります。離職率が下がらない問題の原因として挙げられるのは、例えば以下のようなものです。

【①相対的な魅力度の低下】
 - 給与が相対的に業界内で低い
 - 福利厚生が薄い
 - 業界内における魅力度が下がっている

【②時代に合わない環境・文化】
 - ハラスメントが横行している等の文化が劣悪
 - 労働環境が劣悪
 - 副業禁止だから

【③避けられない状況】
 - 従業員の高齢化に伴う定年退職数の増加

【④社内意思疎通】
 - 経営の意図や意思が従業員に伝わっていない
 - 現場従業員の声が経営に伝わっていない

このように、4種類の原因に分類してみると、どれが最も離職につながる原因なのか相手と会話してみないとわかりませんよね。

相手とコミュニケーションし、仮に②が原因として確からしい、ということが判明されたら、その原因は何が不足していることで起きているのか、を整理します。例えば↓

  • 経営の組織内文化醸成に対する意識がない

  • 文化醸成の責任の所在が不明確

  • 労働環境に対する従業員からの意見を収集できていない

  • 副業の是非に関する議論の場がない

といった具合です。これがいわゆる「課題」というものになります。だいぶ具体的ですよね。例えばCCO(Chief Culture Officer)を任命するというのが解決方法になるでしょうし、意識づけはCCOを中心にタスクフォースを立ち上げてMMVを作り浸透させるための活動を行ったり、といったものが解決方法として提示される、という具合です。

そしてこれら課題とは「問題を解決するために具体的に取り組むべきタスク、解決するための取り組み」と表現することができます。この表現は私が尊敬するマーケティング・事業開発コンサルタントの高広さんの表現をお借りしております。

ただ、大事なことですが、②の原因に紐づく課題を解決しても、問題が解決されるわけではない、ということです。これとても大事です。②以外の原因も潰すことで問題は解決される、という構造です。


この「問題-原因-課題-解決」という構造、何かと同じなんです。わかりますか?僕らが日常生活で関わっているものです。

そう、医療をはじめとする健康に関するサービスと同じです。

咳が止まらなくて病院に行き、「風邪をひいたみたいです」と言うと、医者によっては「風邪かどうかを判断するのは私だ」と怒ったりします。

風邪、つまり風邪の菌ウイルスや細菌などの微生物が感染して炎症を起こすことで起こる急性の感染症にかかっているかどうかは、止まらない咳の原因を探究する必要があります。そのために問診や触診、検査等を行います。

そしてその原因探究の結果、どうやら扁桃腺が特に炎症を起こしており(原因)その原因は慢性的な疲労と免疫力の低下(課題)であると医者が判断します。

その課題を解決するために、自己免疫力では対処が難しいため、投薬の力でウイルスを退治しましょう、ということで抗生物質が処方される(解決策)という流れです。

問題:咳が止まらない、という症状。自覚がある。咳が出ない理想の状態とギャップが生じている状態。

課題:その問題の原因に紐付く、問題を解決するための具体的なタスクや取り組みとして、扁桃腺の炎症を抑える必要がある。

と整理されます。

おわりに

インターネットが普及し、生成AIがものすごい勢いで成長している現代、営業として商売のプロセスに介在する意味は、「その業務領域の専門家・エキスパートとして買い手の問題解決に向けた原因と課題の整理をし、問題解決に向けて道筋を共につくっていくこと」だと捉えています。

そのための1つの考え方として本noteの整理をしながら困っている買い手と向き合って頂ければと思います。

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