なぜ「進んでいるのに遅れる」のか?失敗談:見えない遅延の正体
今回は私が過去にやってしまった失敗談にまつわる話です。
「順調に進捗してそうな雰囲気だったのにめっちゃ遅延した」という話です。WBSを作って、チケット管理してデイリーで進捗を確認するというプロジェクトの王道パターンを実践しておりました。毎回「オンスケで進んでおります」という報告を受けて、「うん、うん、進んでる進んでる」と安心するとともに駆け出しのころの私はプロジェクトを進めてるふうのある自分に「俺、仕切ってるぜ」と内心ほこらしげに思っておりました。
ただ、開発期間がいざ終わるときにふたを開けてみると、なぜか、「かたちになってない」のです。それどころから、堰を切ったように実はここのタスクが遅れているという声がメンバーから噴出しました。
私は最初何が起きてるか理解できませんでした。あとで振り返ってみると、タスクとタスクがどうくっついて、これが終わると何が組みあがってなどの全体感が自分が持っていなかったのです。今、考えれば起こって当然な、お粗末な話なのですが、たまにそのような進行を見かけるので今回書いてみました。
見えない遅延の主な原因
さて、前置きが長くなりましたが、もう少し整理して書いてみます。
因果関係を無視したタスク進行
「タスクが進んでいる」「完了した」との報告があっても、プロジェクト全体としては遅れが出てしまう原因の一つが、タスク間の因果関係を無視した進捗管理です。特に依存関係があるタスクにおいて、前の工程が完了しないと次の工程に進めないことが多く、因果関係が無視されるとそのタスク全体が進行できなくなるリスクが発生します。
例えば、ある作業が次の作業のための前提条件として必要な場合、その作業の遅延は次のタスクにも影響を及ぼします。進捗が進んでいるかのように見えても、因果関係を無視して「進行中」「完了」とみなすと、実際には次のタスクが進めない状況が発生するのです。
依存関係の理解不足
プロジェクトの多くは、タスク同士が相互に依存する構造を持っています。あるタスクが完了しない限り次のタスクを進められない場合や、複数のタスクが同時に進行しないと効果が得られない場合などが典型的です。しかし、PMがこの依存関係を理解していないと、プロジェクト全体に遅延が生じます。
特に重要なのは、依存タスクが絡む場合です。たとえば、ある外部システムの確認が必要なタスクが進行中のまま遅れていると、次の工程で必要なリソースや承認が確保されず、以降のタスクが連鎖的に遅延してしまうことが多いです。
タスク完了基準の曖昧さ
タスクの「完了」基準が曖昧だと、次の工程に支障が出る可能性があります。たとえば、チーム内で「テストが完了している」「承認が下りている」とみなしていたタスクが、実は一部未完了のまま進行していたりすると、そのタスクに依存する工程が進めなくなるリスクが発生します。
また、進捗管理が部分的に進んでいるものの、詳細な完了基準が設定されていない場合、部分完了のまま「完了」として扱われてしまうことが遅延の原因になることもあります。
見えない遅延を防ぐための心得
それを受けて、どんな姿勢で臨めばいいのかという心得的な話です。簡単に言ってしまうと現状をストーリーとして自分の言葉で誰かに伝えられる(上長、クライアント)ようになるまで理解することです。もちろん、個別に上がってくる進捗を把握するとともに大局観は忘れないということですね。鳥の目、虫の目両方を持ち合わましょう。あらためて、さらにまとめると、こんなことかなと思います。
タスク完了の定義を明確にし、表面的な報告に惑わされない
チームメンバーからの「完了しました」という報告に対して、そのタスクが本当に次の工程に進める状態で完了しているのかを確認します。特に「完了基準」が不明確な場合には、早急に基準を統一し、未完了の部分がない状態での報告をルール化することが重要です。進捗報告に加えて日常の観察を徹底する
見えない遅延は、メンバーとの日常的な対話の中で予兆を察知できることも多いため、進捗報告のタイミング以外にも、メンバーと日常的に対話を行い、プロジェクト全体の雰囲気やコンディションに注意を向けることが大切です。依存関係やリスクを考慮した進捗確認の習慣をつける
特に依存タスクの多いプロジェクトでは、タスクの進行状況を確認するだけでなく、依存タスクが円滑に進行しているかどうかも確認しましょう。遅延が発生する前に状況を把握することで、余裕を持った対応が可能になります。
まとめ
ここまで書きましたが、私もまだまだな部分が多分にあります。作業チケットの内容があまりに各論過ぎたり、テクニカル過ぎるとなかなか自分のストーリーで人に伝えることが出来なかったり、理解が鳥の目に留まってしまうことがあります。ただ、とにかく言えるのは「自分の言葉で話せる」「今起きていることをストーリーとして話せる」までもがこうというマインドセットは私の失敗談からも忘れてはならないと思っています。