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【ネタバレあり感想】映画『憐れみの3章』観てきた

『憐れみの3章』を観てきた。
9/27公開の翌日、28日に観に行って、私合わせて観客わずか4人。
大丈夫なのか、、、
まあそんな不安は置いといて。

結論からいうと、個人的には好き、でもおすすめしにくい映画という印象。

まずとっつきにくい。
予告でもあらすじでも特に話の本筋が書いてあるわけではないので、はじめから何が起こっているのかが分からない。

話が進んでいくにつれて、「ああこういう関係性ね」とか「こういうことがしたかったのね」とか分かってくる。

そして、極めつけが最後まで観てもなんだかよく分からないということ。

だから、スリル・迫力満点のどんでん返しぶっちぎりスッキリ映画が観たいのであれば、おすすめはしない。

ただ、私はそういう意味の分からないところがたまらなく愛せてしまうのだ。

ヨルゴスランティモス監督の作品は、設定がまず突飛で刺激的。
そんな世界観ある??と思うような意味の分からない作品も多い。

『籠の中の乙女』では、一見普通に見える家族がとんでもないしつけを受けていたり、『ロブスター』では、独身者が許される社会と許されない社会を描いていたり。
前作の『哀れなるものたち』では、脳手術された女性の人生をエロス満載で描いている。

とにかくランティモス監督は異常なのだ。

でもそこが映画ファンの心を掴むのだろう。

そんな映画、普通考えられないから。

そして、もちろんこの『憐れみの3章』も例外ではない。

ちなみに、原題は"Kinds of Kindness"。

直訳すると、何種類かの○○。
この○○に当てはまるところが難しい。
普通、kindnessというと、「親切さ」がまず初めに思い浮かぶと思うんだけど、「親切さ」というのはなんだか合わないような気もする。

確かに「憐れみ」という翻訳もさすがだと言いたい(何様)。

しかし、憐れみの3章という以外に、何か良いタイトルがあったのではないかとも思う。
これはなんでもそうだが、あわれな視聴者は「ここは違う」「絶対にああした方が良い」と言う。

本当に哀れだと思う。

ただ私は恥を承知で答えてみようと思う。

いや、その必要はない、というよりも『憐れみの3章』はとても良いタイトルのような気がしてきたからだ(なんなん)。



さて、この映画のストーリーに迫ろう。

ここからはネタバレを含むので、まだ見ていない方にはご理解いただきたい。

あらすじには、

選択肢を取り上げられた中、自分の人生を取り戻そうと格闘する男、海難事故から帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官、奇跡的な能力を持つ特別な人物を懸命に探す女…

https://www.searchlightpictures.jp/movies/kindsofkindness

と書いてある。
なんだこれは。
ランティモス監督とは思えない、あまりひねった内容ではなさそうに感じる。

実際はどうだったか。

ひねってあるのかどうかも分からない。

ひねりすぎて何が言いたいのか分からなかったのだろうか。

この映画には、RMFという男が出てくる。

この男が重要そうで重要でないというところも意味が分からない。

RMFってなんだ?と考えているうちに、ストーリーがどんどん進んでいく。

そして、そのストーリーも最初何をしているのかさっぱり分からない。

これこそランティモス監督のしたかったことなのかもしれない。

映画についていこうとしても、訳が分からない。
1つ考え出すと、もう訳が分からなくなる。
「憐れな」観客ということ。

映画館というものは、映画だけでなく、観客も合わせて1つだと言っているのかもしれない。
観客を入れてはじめて映画が完成するといったことだろうか。

まあそれもいいが、もっと他にあるはずだ。

今回の話は3部構成。
それぞれの話のキャストはほぼ同じ。
①上司の言う通りに生きている男(上司の言う通り、最後はRMFを〇せた)
②旦那の言うことを聞く女(最後は「本物の」女が現れた、そしてRMFどこ?)
③何が無垢か分からない世界に陶酔する女(最後は双子を見つけられて、RMFが生き返った)

どこにどんなつながりがあるのかについては、RMFしかわからない。

それに第2章でも、RMFがどこにいたのか分からない(おそらく授賞式みたいなところに居た?)

で、3章ではなぜか生き返る。

世界線は違うのに、RMFだけが違う世界を生きられている。

なんとも不思議な世界だ。

まあ『憐れみの3章』というタイトルだけあって、「憐れみ」は随所に感じられた。

上司に従ってばかりの人生は大変そうだし、おかしくなってしまった旦那の言うことを聞こうとする妻には同情するし、良く分からない教えを信じてしまうのにも憐れさを感じる。

人間は何かを信じる生き物だと思う。
それは他人から見たら憐れに見えるのかもしれない。

ある人はブランド物が好き、ある人はアイドルが好き、ある人は旅行巣が好き、ある人は宗教にハマっている。

みんな何かに支配されているのだ。

当人にとっては、全く憐れなことではないんだけど、外から見てみると憐れだということは多くある。
というよりも、すべてがそうなんだと思う。

この映画はいろんな「憐れみ」の形を描いていて、でもそれは自分たちの裏返しで、「実はあなたも憐れなんだ」ということを言っているのではないかと感じた。

意味わからなすぎで、ランティモスワールド全開の今作。

ランティモス好きならハマる人は続出するだろう。

P.S. いやーRMFはわからなすぎた、、、

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