資本主義的な機嫌取り(2月13日〜2月19日の日記)
■2月13日
恐ろしい低気圧の朝。明後日、朝早く取材があるため早起きの練習をする(無事成功)オット氏は10時になっても起き上がれなかった模様。ルーティン化している、ラジオを聞きながらコンビニにコーヒーを買いに行き散歩をして、雨の中自分の機嫌を取り戻す。
何かを物を買ったり買い食いをしたりして自分の機嫌をとるのは、ただ資本主義に搾取されている、自分単体だけで自分をケアする方法を見つけよ、というツイートを最近見た。昨日落ち込んだ先、まんまとマクドナルドに行き、Kindleで漫画を買って読みながら眠ったのも、資本主義の中に生きる人間らしい行動なのか。
自分単体だけで、何も買わずにどうやって自分の機嫌をとるんだろう。ストレッチするとか?瞑想するとか?AppleMusicで波の音や水の音のプレイリストを聞くのはいいの?たぶん、マックでバク食いするのも買い物してストレス発散するのは、手っ取り早いからなんだろうな。
■2月14日
頓服薬二錠。昨日の夜、仕事先の人から恐ろしく失礼なメールをCCで受信。明らかにフリーランスの人を舐めているようでかなり嫌な感じ。メールは私に向けられたものではなく、私と仲のいい別のフリーランスの人へ向けたものだったので、かなり一方的なメールのようですが?と牽制した。珍しく私は怒ったのだ。
怒ったということは、大事なものや人の存在が危ぶまれたということだ。数年前までは怒りの感情が沸いても、自分なんかが思うなどしてはいけないと自制し、怒ることができなかったから成長を感じる。先方には謝られたが、それ以外の対応もとても雑な人なのですごくすごく嫌な感じ。昼はジャジャ麺、夜はオット氏作のカオマンガイ風ご飯。
■2月15日
今日も頓服薬二錠。朝から取材があり、すばらしい取材相手と出会う。そわそわしていたが、なんなくこなせた。“ちゃんとできた”経験はたくさんあるのに、それを積み重ねることができないから、意識してちゃんとできたんだよと自分に言い聞かせたい。あなたはできている。大丈夫になる方向に歩いているよ、と。
昨日の失礼なメールの件の雑な人から、また雑な電話が来る。シリーズの新刊の提案の依頼をされたが、私はもう新規の仕事を増やすつもりはないと伝えると、わかりましたやよろしくお願いしますなどもなく電話をガチャ切りされた。人をなんだと思っているんだろう、としばらく憤慨し、オット氏に電話(オット氏も編集者なので事情がよくわかる)して怒りと悲しみを落ち着かせる。
こういうときはと思い立ち『心の容量が増えるメンタルの取り扱い説明書』を再読する。目先の怒りではなく、人生を見渡したときに必要なものは何か。そうやって規模を大きく考えるようにしたらだんだん怒りが沈んでいった。
ちょっと高いカフェラテを買い、散歩をし、夜は「エゴイスト」という映画を観に行く。完璧に自分の機嫌をとれたかに思えた(またしても資本主義的だが…)が、「エゴイスト」はカメラワークの揺れがひどく(ドキュメンタリータッチ?)鑑賞中に酔って体調を崩し途中退席。一時間そこらで映画館を出てしまったので結末はわからずじまいだが、ゲイをテーマとした映画に、積極的にLGBTについて発言してくれる鈴木亮平に対して課金したかった、という目的は叶ったのでヨシとする。おとなしく配信を待つ。
■2月16日
連日の心身の疲労からアラームをかけずに起きると決めていた朝。十時に起床し、コーヒーを水筒に入れ散歩をする。この日記を書き、「どうせ100年後はみんな死んでいる」ということについて考える。例の失礼で雑な人からのメールや電話で辟易しているのは事実で、ではどうやってあしらうか、クリアしていくか、について考える必要がある。100年後には死んでいるのは確定しているのだから、というのも考え方のひとつだ。オット氏は、考えても仕方のないことは考えない、という技を持っている。私はそれができず悩むことが多いから(今回もそう)“無駄に考えない”を実践するにはいい練習の機会なのかもしれない。頓服薬は一錠。
■2月17日
オット氏が会社の人から銀座菊廼舎のクッキー缶をもらってきた。一センチ程度のこぶりなクッキーやカラフルな金平糖がいっぱい。おひなさまのクッキーも入っており、気分がわっと上がる。
■2月18日
土曜の朝から筋トレをたっぷりする。お腹をどうしても割ってみたくて、腹筋をがんばっている。夕方から「ボーンズ・アンド・オール」を映画館に観に行く。カニバリズムを題材とした映画なのでR-18指定だったが、その不穏さよりも、主人公たちの息苦しさや純粋さに心を打たれて号泣してしまう。「飲みたい気分です」とオット氏に連絡すると、おうち居酒屋メニューを作って待っていてくれた。
■2月19日
予定していた仙台旅行へ旅立つ。いちばんの目的は、夜のライブ。今一番おもしろいライブだと教えてもらった女王蜂の歌唱を見に行くのだ。新幹線で昼頃仙台につき、狙っていた立ち食いずしへ。海の近い県へ行くときは必ず魚をたくさん食べると決めている。絶品だったのは蒸し牡蠣の握りで、磯の香りとぷりぷり感がたまらなかった。
若い頃にたむろしていたというオット氏の思い出の場所を巡ったり(結局見つからなかった)ホテルについてお風呂に入ったりしていたらすぐライブの時間になった。
女王蜂は圧倒的だった。ボーカル・アヴちゃんの存在感は神様みたいで、人を惹き付けるカリスマ性とはこういうものなのだと思い知る。楽曲をたくさん知っている状態で参戦したわけでもないのに、気づけば涙が溢れていた。パワフルで圧巻のステージ。表現するために生まれ、歌うために生まれてきた人。
上がりきったボルテージを保ったまま、夜の仙台で一杯やる。予約していた海鮮居酒屋は微妙だったけれど、なんとなく入った中華料理屋のマーボー焼きそば(仙台のB級グルメらしい)はおいしく印象深い。
今度一人暮らしするタイミングがあったら猫を飼いますね!!