あなたと健康以外何もいらない/鬱多め(8月の日記)
■8月3日
気温35度とあまりにも暑いのに、犬を日中に散歩させるひとたちが多くて頭を抱えてきた。東京のアスファルトは、暑い日だと60度以上になるというのに。でも私は犬を飼っていないため、飼い主に気安く話しかけることも躊躇われる。ただの動物を愛する者として何かできることはないか。
悩む私を見て、区に電話して相談してみようとパートナーに提案される。いくつかの部署に区民の声として意見を伝えたいところ、ポスターを作って注意喚起をするのはどうかと提案された。ポスターを貼るのは無料。だったらやってやる! ということで、暑い日には犬の散歩を控えましょうというイラストをパートナーが描き、私がパワポでデザインをして作ったポスターを掲示板に貼りに行った。小さく社会活動。少しでも、暑い日の犬の散歩が減りますように。
■8月4日
ジムに行き、保護猫カフェに行って猫と遊んで帰る。かなり疲れる。少し外出するだけでへとへと。
■8月5日
朝から代官山へ仕事。とても疲れる。そんなに頭も使っていないはずなのに、疲れてしまい帰って3時間昼寝をした。最悪な気分のままだらだらとTikTokを見て時間をつぶす。20時くらいに料理をして、夕飯をたべたのに、0時ちょうどにいっぺいちゃん焼きそばを食べてしまう。気持ちも生活を終わってる。
飲み会から帰ってきたパートナーがドクターペッパーを買ってきてくれる。ふわちゃんがツイッターで炎上していた。
■8月6日
とても疲れているが、仕事がまあまあある。のだが、このままではいけないと思ってひとりで近所のカフェに行く。昔描いた日記のようなメモが見つかりふっと読んでみたら静かに泣けてきた。あまりにも当時の私が辛そうで(特に仕事)これが嫌だけどやるしかない。編集をやめたい。休みたい。そういう叫びがリアルで、でも今当時つらいと思っていたことは全部なくなったよ。今やっとここにきたんだね、よかったね、つらいことはもうないよという気持ちになる。インナーチャイルドに語りかけるのもこんな感じ?
ジェーン・スーの相談ラジオを書き起こしする。手でもパソコンでも書いていると心が落ち着いていく。
■8月7日
校正の重たい仕事が終わる。納品するたび不安になるけれど、それでも大丈夫だったね、なんとかなったねってことを繰り返していく。忙しい日とそうではない日の差がかなりある。
■8月8日
朝からインタビュー取材へ。案外とても楽しくて、また複雑な気分になる。人が好きなのか、一人でいるべきなのか。ライターの仕事って楽しいよなあ。でもまたきつくなるのは嫌だしなあ。「そういう楽しい記憶を積み重ねてください」とパートナーに釘を刺される。毎回私は言うことが変わるよね。だから日記を書いている。仕事相手からメールがきて、「ひさこさんとお仕事する日をいつも楽しみにしているんです」と言われてさらに心があたたかくなる。
今日は、あまりにも働きすぎの私の夏休み第一弾。半日だけの休みだけど、表参道で地中海料理を食べた。
料理はとてもおいしかったのだけど、おすすめのワインを頼んだら途中でイスラエルのワインが出てきた。ワインを注ぐのと同時に「これはイスラエル産のワインで〜」と説明されたので、面食らって注文を止められず、グラスに注がれてしまった。唖然としたが注がれてしまったので仕方がない飲むしかないか、と諦めていたら私がトイレで離席しているときにパートナーがスペイン産のものと取り替えていた。
「どうやったの?」と聞いたら「今ガザ侵攻をしているイスラエル産のものを僕たちはボイコットしてます。お金は払うので取り替えてくださいと言った。気持ちよく食事したかったから」彼の行動にとても感動して、ありがたく思った。言葉を尽くして行動に反映させることのすばらしさよ。
でも、店員さんにガザ侵攻の話をしたら、「?」という顔をされたらしい。それでも「なんか今日お客さんにガザ侵攻のせいでイスラエル産のワイン飲みたくないって言われてさ〜」みたく、少しでも知るきっかけになってくれたらうれしいと思った。
帰宅したら、宮崎で大きな地震があった。とても焦る。南海トラフのことも一気に不安になる。
■8月9日
今日からパートナーが帰省。朝から東京駅へ送りに行く。東京駅内のパン屋で朝ごはんを食べ、お土産としていくつかパンを買ってもらった。帰宅して今日締め切りの仕事があったので夕方ごろやる。
今日から3〜4日一人なのでタガがはずれ、チートデイと称して辛ラーメンを食べた。けれどなんだかおいしくなくて、最後まで食べられなかった。TikTokで辛ラーメンなど麺類をすする動画が好きなのだが、いざ自分がやろうとするとおいしく食べられない。なんで?
神奈川で大きな地震があった。なんだか地震よりもアラームのほうが怖い。
◼︎10日
三連休が始まったが、私は仕事。重ための校正の仕事がある。この前のインタビューの文字起こしも終えておきたい。
夕方に、来週から始まる新しい仕事のことでメールがありいっぱいいっぱいになり、軽くパニックを起こす。校正の仕事なのに、チャットをしないといけないらしい。チャットをはじめとするSNSを苦手としている私にはかなり負荷。
夕方なんとか校正仕事のノルマを終えたが、辛い気持ちは消えず遠くの銭湯へ行く。サウナに入ってヘトヘトで帰宅。さっぱりしたはずなのに、帰りの電車で汗ベトベト。気絶するように寝たが、何度か目覚めてしまう。一人で寝ることに慣れない。
◼︎11日
朝帰省先のパートナーと電話した。まだ仕事も始まっていないのに責任感が強すぎる。少しだけその緊張感を緩めようという話をした。一度も起こったことのないことで、ひさこちゃんをいつも責めているのは自分自身なんだよ、とも言われる。じつは、新しい仕事の校正フィードバックがあり、それが思うような結果ではなくショックを受けていた(数日後、会社の人と話したときに「(ひさこの校正をみて)大丈夫そうだと思ったよ」と言われたのでこの日のショックは無駄だったのだが)。完璧でなければならないという呪縛があり、できたことに目を向けられなかった。
その後、切り替えて仕事をする。珈琲屋でポッドキャストの書き起こしをしたりして気分を整え、夕方仕事を終えた。食べることが面倒すぎてすき家をテイクアウト。帰宅して、ガンダムSEEDを見ながら食べる。NHKでガンダムSEEDと戦争の特番がやっていて興味が湧いたので。
私は一人じゃ不安に覆い被さられて身動きができない。パートナーがいることに大きな意味を感じ、幸せを感じる。早くここに帰ってきてほしい。
■8月12日
少し休まなくちゃと思って、午前中休んだものの、精神的にしんどくてソファで横になったまま苦しむ。原稿の文字起こしはそれなりに終わった。夕方から友達との予定があったので、それに向けて準備する。
友達と会ってそれなりに気が晴れたが、長時間労働できるかなと不安が出てきて苦しむ。私、7時間も連続で働いたのって何年前だ? 時間給の仕事なんてしばらくやっていないし、編集もライターも会社員でもほとんど自由業みたいなものだったし。思い返せば、「やる気を待ってる」とか言って昼間から喫茶店に行く人、ビール飲みながら原稿書いている人、ランチを普通に2時間くらい費やす人、飲みが終わって会社に戻る人などもいた。自由な働き方ができる特殊な世界にいたんだな。でもこうやって時間給の仕事をしてみるのも自分の経験になるかもしれないな、などと考える。
夜、パートナー氏が帰京。これで、心配事がひとつ減った。ぐっすり眠る。
■8月13日
ここ数日の不眠が嘘のように快適に眠り、目覚める。もうあなたと健康以外は何もいらないと本気で思う。
新しい仕事が始まる。思っていたよりも集中できて時間があっという間だった。でもずっと座りっぱなしで足が痛い。長時間労働ができた。すごい。自分をすごいと褒めてやりたい。楽しくはなかったけどすごい。
最近読んだゲラの知識で、水出しの緑茶を始める。カテキンってやっぱり体にいいんだって。麦茶より100円ほど茶葉は高いが、健康に優るものなし。夜ご飯は残り物野菜をクミンとカレーパウダーで炒めた。何ヶ月も前に冷凍したコロッケを揚げたら中の芋がへんな感じに解凍されていてまずかった。
■8月15日
長くストレスのかかる仕事があった。先日の朝に小さなミスをしてしまい、少し凹んだけれどさっとクライアントに報告をしてことなきを得た。なんとかなったやん。
ナルトのアニメのエンディングテーマだった「ALIVE」という曲を聴き(誰だって失敗はあるんだ〜恥ずかしいことじゃな〜い〜という歌)、なんとか気持ちを持ち直す。ミスが恥ずかしくて、思わずTikTokで「失敗 誰にでもある」と検索したらこの曲が出てきたのだけど、思わぬ懐かしさとの遭遇。
◼︎8月16日
朝からずっと事務仕事。嫌になるけど、作業は単純。でもどこにストレスを感じているんだろう?考えなくちゃ。
台風が来るとのことで、街がそわそわしている。もう少し残業ができるかと聞かれたが、パートナー氏と台風が来る前に買い物に行く約束をしていたので断り、突風が吹く中スーパーへ買い出し。今日はどこも早めに閉店するらしい。でも近くのライブハウスではアイドルの生誕祭をやるみたいで「中止にしないの!?」と思った。今はよくても電車で帰れなくなっちゃうよ。
スーパーで買い出したものをで適当に夕飯(焼売、なんかチンする簡単な鶏肉など)でふしぎな夕食を食べ、Netflix「アンブレラアカデミー」の最終シーズンを見る。ネトフリあるあるだと思うんだけど、長期シーズンのものって内容忘れてしまって続きを見るのが億劫になる。
でもシーズン1から見直すほうが面倒なので、そのまま最終シーズンを見たけど、アンブレラアカデミーやっぱり引き込まれます。一気見はせず、途中で寝た。
◼︎8月17日
先週から働き詰めだったので、久しぶりの休み。ひさこちゃんに休んでほしいとパートナーが言ってくれたので、前から行きたかった「デ・キリコ展」に上野へ。台風一過でピーカンだったので、洗濯物を干してから家を出たのだけど、とても気持ちよかった。
芸術家って早く死ぬイメージもあるが、キリコは90歳まで生きた。「この技法を試してみよう」みたいなことを繰り返してきた芸術家の人で、トライアンドエラーを常にする人なんだなと作品を見ていて思った。とりあえずやってみるという意識って大事だよね。晩年の作品のほうがすごく面白かったのはそういう生きる姿勢があったからに違いない。美術館はその芸術家の人生が見えるから面白い。
B2の大きなポスターを買って帰宅する。額縁を買って、部屋に飾る予定だ。
アンブレラアカデミーの最終シーズンを最後まで見たが、終わり方が思ってたんと違くて動揺する。ネタバレするので何も言いません。
■8月18日
衝撃的なメンタル系の本に出会って激震。これだから読書はやめられない。ノートいっぱいにメモをしながら2時間ぎっちり読み込んだ。
本は『「なんとかなる」と思えるレッスン』という本で、「首尾一貫感覚」という心理概念と初めて出会った。ホロコーストを生き抜き、その後更年期を経てなお健康を保っていた女性たちを研究して出てきた概念らしく、簡単にいうと「大変な仕事やストレスのある出来事に出会っても明るく健康に生きていく力」というのが首尾一貫感覚である。
首尾一貫感覚は①把握可能感(だいたいわかった)②処理可能感(なんとかなる)③有意味感(どんなことにも意味がある)の三つから成るのだけど、なんとこの感覚は後天的に高めることができるのだ。先天的な気質や生育環境の影響のなんやらで悩んできた私にとって、「後天的に考え方次第で変えられる」ことの喜びといったら!
この手のメンタル系の心理本は本当に本当にたくさん読んできたのだけど、そのときの自分とフィットしないとなかなか腹落ちしない。でも今回は雷に打たれたかのように納得。私、なんとかなる気がする。
https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2991-7
そういえば、例の首尾一貫感覚の本を読んでいるとき、ウィッシュリストを20個作ろうというワークがあってやっていたら急に「子育てをしてみたい」と思った。え、急じゃない!?
■8月19日
個人的三連休にするために今日はあまり予定を入れていない月曜日(仕事しないわけではない)自分の体力とメンタル的に、週4日くらいで働くスケジューリングをすると楽なのかもしれない。
午前中は少し原稿を書き、出来に満足したあとそのままジムへ。30分間走り、適当に筋トレマシーンを流して帰宅。シャワーは冷水で浴びてみた。昨晩の残りのお好み焼きを食べたけれどお腹が膨れず、魔の辛ラーメンをまた作ってしまった。しかしまたしても最後まで食べることができなかった。お腹もいっぱいなんだけど、なんというか味? 味が無理になったのかな。ジャンクなものが年々食べられなくなっていくことで、年をとったと感じる。
昼食後はベッドでYouTubeを見た。YouTubeの収益を父への親孝行に使います!という好青年と父親のチャンネルが面白く、そのまま「100億年LOVE」というAマッソ 加納と、ラランド サーヤと、3時のヒロイン 福田のチャンネルを見て腹を抱えて笑った。こういう午後の時間、私に必要なものだったと思う。無理せず、ゆっくりやっていきたい。
もう連絡の取れなくなってしまった友達の誕生日をその当日に思い出したりして、せつなくなる。子どもの頃あまり仲良くなかった人の誕生日ほどよく覚えているのはなぜだろう。残りの原稿を少しやってクライアントに送った。
■8月20日
少しだけ仕事がある。死にたい気持ちになったときに使う荻上チキが作ったコーピングリストのワークをやったりする。重い腰を上げて「インサイド・ヘッド2」を新宿へ観に行くが、ちょうど外を歩いているときに首都豪雨に見舞われびしょびしょに。
「インサイド・ヘッド2」を観て、自分の頭の中もあのようになっているのかと考え、少しまた楽になった。とりわけ私には「シンパイ」があーだこーだ喚いていることが多いから、まあまあとりあえず座ってとリラックスしてもらおうと思う。SEKAI NO OWARIの「プレゼント」という曲の歌詞がとてもよかった。
■8月22日
昨日の仕事、なんとかなった。今日は休みにした。連続で仕事を入れると体調が悪くなることを知ったから、自分のペースで働いていきたい。
午前中は甲子園の決勝戦がやっていて、なんとなくテレビをつけていたらそのままなんとなく見てしまい、パートナーと共に延長10回ウラまで観戦。京都国際高校おめでとう。韓国語の校歌が流れたことでヘイターたちが喚いていたみたいだけど、どうして他者の文化やルーツをリスペクトできないんだろう。
昨日から緊張の糸がまだ切れていなくて、今月も後半に差し掛かって徐々に大丈夫になってきたつもりだったのだけど、昼食を食べたら一気に鬱の気分になり、ベッドに寝転んで「鬱 VLOG」などとTikTokで調べる始末。パートナーに連絡したら折り返しをくれたので「何もないのに不安な気持ちに押しつぶされそう」という話を聞いてもらう。人に話すことがあなたのコーピングなのだから、話して見なさいよ、と言われ、「仕事がない日の安定感がない」という結論に至る。忙しかったりプレッシャーがありすぎてもダメだけど、暇すぎても不安を増大させてしまうから、休みの日にもやることを決めておこうと話した。
気分を変えるために阿佐ヶ谷の書店へ、注文していた本が届いたので向かう。コメダ珈琲に寄って作業しようと思ったが(新しい仕事の受注があった)かなり混んでいたので荻窪にある大きな図書館へ行く。今日は20時からパートナー氏と新宿でタイスキを食べる予定なので、それまで図書館で時間を潰す。ジェーン・スーの「おつかれ、今日の私」という本を読んでいたらまた泣いていた。「何のために生きるの?」の答えに「自分を好きでいるため」と書いてあり、「自分を好きなまま死にたいから」と考える彼女の考え方がやっぱり好き。
◼︎8月24日
土曜日は高円寺の阿波踊りに行くが、汗だくで疲れてすぐ帰る。なんと急な子どもが欲しいモードに突入している私。恐ろしいが、本当に自分の気持ちなんてわからないものだ。これは近々詳しく書きたいと思う。ただ、今の鬱状態によって、子どもがいる生活に救いを求めているのか? 今日も苦しい。
◼︎8月25日
ニトリとユザワヤに用があるので、両方がある赤羽へ行くことになった日曜日。しかし、ニトリは駅から思ったより遠かったこと、ユザワヤで布を買う予定が肝心の採寸をし忘れていたことなど重なり、結局目的は達成されなかった。でもずっと探していた洗顔料が赤羽の薬局にあり、購入できた。
明日からまた平日が始まるかと思うと、心臓がちぎれそう。
◼︎8月26日
朝から多汗症の病院で池袋へ。薬が合わなくてかぶれているけれど、薬を薄めてもう少しやってみようと思う。
障害者手帳の申請をしようと思い立ち、調べ始める。私レベルだとたぶん3級になるけど、障害年金がほしいというよりも自分が健常者ではないという証明書がほしい感覚だ。苦しい、苦しい。
◼︎8月27日
通院でいつもの精神科へ。ここ数日の緊張の糸が途切れて大泣きしてしまう。今日は研修医の先生が診察に同席していて少し嫌だった。薬が増えた。障害者手帳の申請のための診断書を書いてもらって帰宅。帰ってまた苦しみながら寝る。
夜は友達に呼び出されたので会う。友達の緊急相談にのれることは幸せ。毎日うつ状態で辛いという話をすると、「フリーなんだからやめちまいな!」と言われて勇気が出て、とある仕事を辞める決意をする。帰って風呂にも入らず、そのまま泥のように眠ってしまった。
◼︎8月28日
朝パートナーに話を聞いてもらい、少し落ち着いた。ここ数日の鬱な気分から解放され、久しぶりに料理ができた。
◼︎8月29日
仕事をやめる連絡をしてから、かなり気持ちが楽になる。裏を返せば仕事が続かない表れでもあるが。
今日は仕事の合間に障害者手帳申請に行ったところ、自立支援の申請も一緒にしないかと聞かれた。自立支援は特定の精神医療機関の医療費負担が1割になるものだが、うちは世帯年収的にNGだと勝手に勘違いしており、自分が申請できるなんて! と驚き、窓口の人に救われた。
■8月30日
頭を使う仕事。自分でペース配分ができる仕事。人と関わらない仕事。自分に合う仕事がなんなのかがわかってきたような気がする。来月はもっと穏やかな日々が過ごせますように。うつになる日が減って、生きる意味とか考えず、楽しいことに一生懸命になれますように。