企業LINEを70件以上溜めて安心する(2024年7月の日記)
◼︎7月1日
何をしても疲れるのでどうせ疲れるのなら、人のためになることをやって疲れてみるのいいのかもしれないとふと思った。
コメダ珈琲にいる。雨が降って気が滅入っている。興味のあって書いてみたかった分野について調べてみた。それなら書けるかも、ライターを続ける気力が湧くかもと思ったから。でもそこに飛び込む勇気が昔ほど湧かなかった。なぜだかわからない。
自分を終わった人だとは思いたくないけれど、「やりたいことをやってみる」のはもう自分にはできることではないと知る。雨のせいかかなりのバッドモード。
「アンメット」というドラマを見ている。脳の障害で毎日記憶がリセットされてしまう主人公は、2年間の日記を毎朝読み直し、これまでの経験と記録を朝丸暗記してから仕事に出かける。とてもつらい状況ではあるけれど、自分の経験をフラットに俯瞰することができ、”いまここ”にある自分として意見を言うことができるのはうらやましいと思った。
■7月2日
現在つらい気持ちを持ってしまっている、とパートナーに打ち明けたところ、ファミレスで朝ごはんを食べながら話を聞くよ、ということに。
不安を話す。お金のこと、仕事のこと、胸の手術のこと。仕事はあるにはあるけど、十分には稼げていないからもっと稼ぎたい。編集もライターも量を減らして、ひとりでもくもくとできる校正の仕事を増やしたい。それで安心したい。話したら、少し楽になった。
◼︎7月3日
昨日とは打って変わって目覚めのいい感じの一日。朝散歩を兼ねて、買い物に行った。昼ごはんはニラそば。
家で集中できなくて外で作業しようと思ったら、ボイコットしていたはずのドトールにふらっと入ってしまった。暑すぎてどうかしていたのか、でもコーヒーを頼んじゃったしな、と観念して作業進める。
校正仕事の依頼が2件きた。17時ごろ帰宅して倒れ込む。またへとへと。それなりにいい日だったと思う。
■7月4日 木曜日
急な校正の案件がある。仕事をする。請求書の要求がある。請求書苦手。
■7月7日
都知事選の結果に絶望して、しばらくパートナーとともに落ち込む。あまりにも落ち込んだので、コンビニにアイスを買いに行った。
むなしくならないのかな、と思う。自分の権力の維持のために、金銭的な旨みのために、弱い立場の人たちを踏み続けるの、ぶっちゃけつらくないすか? 私だったら「10億円あげます。そのかわり、これから4年間かけて毎日ひとりずつ都民の顔を土足で踏んでいってください」とか言われたら、そんなことしたくないので10億いらないです、って言っちゃうけどな。
たとえがわかりにくかったですね。都民、強く生きようね。
アイスはパルムのミルクティー味を食べました。
■7月11日 火曜日
通院日。薬が切れたので。つらいことはたくさんあるが、いい日もあると主治医に話すと「いい感じに過ごせた日を忘れないようにしたいね」と言われた。
どっと疲れて、最低限の仕事だけこなして夕方に昼寝をした。なんだか体が重たい感じ。通院日は精力を吸い取られてしまう。
■7月10日
外で人に会う仕事でドキドキした。朝、お腹が痛くなったら嫌だなとか、電車が遅れたら嫌だなとか、いろいろ不安で30分以上も早く待ち合わせ場所に着いてしまった。今回取材する相手は、写真では少しコワモテな感じだったのに、会ったらとてもいい人だった。わたしは、人は苦手。でも会えば楽しいのってなんでだろう? お風呂は苦手だけど、入ればよかったと必ず思える感覚によく似ている。
夜は学生時代の友達に会い、その人の仕事の相談に乗った。疲れて泥のように眠る。体がぬかるみのようだ。
■7月11日
何もない一日。ジムには行った。
ふっと「絶対という言葉が嫌いなの」と言う友達のことを思い出す。世の中には死ぬこと以外絶対はない、というのが彼女の持論で「絶対◯◯だよ」と口癖のように言ってしまう私にとっては耳が痛い話だった。
「絶対」「必ず」「死ぬほど」は、いわゆる境界性パーソナリティー障害の特徴的な口癖だと思っているので(ゼロ100思考という意味で)その友達の言葉を胸に、できるだけ絶対は言わないようにしている。
■7月12日
夕方までうごけず。仕事を探すが、うまくいかない。
■7月13日
ノンバイナリーの友達に会う。映画やドラマにおけるノンバイナリー表象の話、少なくとも同性婚が認められないと私たちやってけないよねという話などほかにもたくさん話をした。こんなに人と話したのは久々。満たされてぐっすりと安眠する。
■7月14日
「女こどもに容赦しない」とか言う大人の政治家がまともとは思えない。何かすごいことを言っているように見える利発そうな40代の男、石丸。何か変えてくれそうな雰囲気だけが漂い、そして実現性の有無は問わないビッグマウス。そういったガラクタみたいな武器を身につけていることのほうが若者にとって重要なのだったら、うちらマジでくだらない世界に生きているよね。
正しいことを行うのではなく、相手の揚げ足を取ってすべらせることのほうがパフォーマンスとしてはかっこよくうつるのか? だとしたら、若者よ、あんたたちは本当に頭のいい人にまだ出会っていないだけだ。
本当に頭のいい人は、その場にいる人を、だれひとりとして置いてけぼりにはしない話し方をする。そういう振る舞いをする。少なくとも私の経験上はそうだ。
化けの皮はいずれ剥がれる。かんたんには騙せない層もいる。おまえのボロが出る瞬間を私たちはよく見ている。弱い犬ほどよく吠えることを、私たちは知っている。
■7月15日
Netflixの「ボーイフレンド」にハマる。異性愛のドラマはもうお腹いっぱいなので、クィアな物語を日々求めているのですがこれはいいです。人間ドラマです。
◼︎7月16日
なんか喉痛い。きっとエアコンにあたりすぎたせいだろう。龍角散をずっと舐めて過ごしていた。
Filmarksという映画アプリが、よりにもよってAIを使った作った「架空の映画」を自社CMとして流していた。あんたたちにとっての映画ってそんなもんなんだ、がっかりだよ、という気持ち。去年のハリウッドのストライキを知らないのか。AIが俳優たちにとってどんな脅威なのか知らないのか。まさかね。
■7月17日
なんとコロナになってしまった。どうしてこんなに!ずっと家にいるのに!在宅ワーカーなのに!なぜ!私が!と思ったけれど、今また流行しているんですね。この前電車に乗ったとき後ろにいたおじさんがマスクなしで咳をしていたからそれかなあ、などと諸悪の根源探しを無駄にする。
しかし、フリーランス。休めない。今月前半あんなに暇だったのに、なぜ今忙しいんだろう。仕事があるのはありがたい。とにかく仕事を頑張る。熱はなく、咳だけなのは幸い。
パートナー氏が夕飯を作ってくれる。今日から別々に寝ることになる。眠れないかも、と思ったけれど、普通に眠る。
■7月18日
ゲホゲホしながら仕事。しかし忙しいのは幸せだと思う。
■7月19日
咳がひどくなり、追加で薬をもらいに病院へ。コロナは五類になったので外出制限とかは特にないのだけど、病院でも診察は隔離され、おつりの受け渡しでさえも非接触(お釣りトレーをつままれた)で行われて、なんだか心が折れる。薬局へはパートナーに代わりに行ってもらい、帰ってしくしく落ち込む。落ち込むのはきっとコロナのせいだよね。
■7月20日
土曜日。なぜか今日がいちばん体調悪かった。夜は空気階段の単独公演の配信。毎年楽しみにしている。芸人の単独公演を毎年楽しみにするなんてびっくりだけど、私はお笑いが好きなんじゃなくて、空気階段が好きなのだ。
◼︎7月21日
一日中家にいた日曜日。体調が昨日よりよくなったので、そうじなどをする。明日で一応5日間の療養が終わる。やったぜ!
◼︎7月22日
バイデンが大統領選を撤退とのニュース。連日の大統領選のニュースを報じる熱量で、どうして東京都知事選を報じなかったんですか?
仕事の依頼がきて、編集の仕事だったので断る。それが嫌になって寝込む。得意ことは編集、ライター。でもその仕事を受け続けるとまた心がダメになるってわかってる。求められていることと、やりたいことの帳尻が合わなくて苦しい。これを苦しいと感じる感情はいつになったら捨てられるのだろう。いやきっと捨てられる。生きやすいようにものを考えられるようになるはず。
5日ぶりに料理をする。大根の炊いたんを丁寧に作った。料理をじっくりすると、生活を丁寧に重ねられている実感になる。私は、いまここに生きていると思える。足元はぐらつかない。
■7月23日
また友達の連絡を止めていたのでやっと返事をする。LINEを70件ためてやっと返事できるくらいのメンタルなことを認めなさい。
ちなみに70件全部が友達のメッセージじゃなく、企業のメッセージとかです(出前館とか、ニュースの通知とか)LINEを無意味な通知でいっぱいにして、常に緑色のLINEアイコンの右上に真っ赤な丸を灯しておくのが、精神の安寧を保つ秘訣です。
■7月25日
午後から美容室の予定を入れていたが、美容師さんの都合でなくなる。予定がひとつずれたのがかなりショックで、落ち込んで寝込んでしまう。そこで?という感じなのだけど、今はまだそういうメンタル。
新しいヘッドフォンが到着する。ヘッドフォン2つとAirPodsで、常に外界と音を遮断しているわたくし。完全に外の音を聞きたくないときは、AirPodsのノイズキャンセリングで。そうでもないデイリー使いとして、今回ヘッドフォンを新調した。外の音によって、気持ちや体調を左右されることが、ヘッドフォンによって減った。
■7月26日
なんだか胸が大きくなったような気がして、すごく嫌な気分になる。最近TikTokで理想の胸オペをした人を見つけて釘付けになっている。それにしても胸オペはお金がかかるため貯金を開始しなければ。そのためには、貯金口座を作らなければ。胸の肉を手で引きちぎるように掴み、これがなくなったら?と時々想像する。乳腺もいらないが、それよりもこの肉がいらぬ。外のショーウィンドウに映る自分の胸の凹凸を心から憎む。
新しいヘッドホン音はすごくいいのに、耳を覆ったまま歩くと汗でびしょびしょになるから迂闊につけていけない。悲しみ。
◼︎7月28日
じつはキクイムシとの闘っています。幼虫は木材の中にいて、成虫が外に出てくるやつで、小さく害もないのだけど(すぐ死ぬ)窓の縁の木材が劣化(?)してしまい、そこが絶好の住居になっているようで、絶滅してくれない。調べたら、新しい家具とか買ってもその木材に卵が埋めつけられてることもあるみたいで悲惨だー。押入れなどを一掃して、スプレーをかけまくる。ごめんなさい、この家はもう安全じゃなから他にいってくれ。
この賃貸の家も5年目、もうそろそろ引っ越してもいいのかも。でも杉並区を出るつもりにはなれないなあ。
◼︎7月29日
久しぶりに打ち合わせがあり、2時間ぶっ通しで人と関わる。オンラインだったのにこんなに疲れるなんて。泥のように寝てリカバリーをする。
夜は、鶏胸肉をひき肉にして、しゅうまいにする。せいろで蒸す。
■7月30日
池袋の多汗症治療の病院に行く。ずっと10代から汗で悩んでいて、じつはこれで3軒目の病院。子どもの頃から汗っかきで、悩んでいても「新陳代謝がいいのはいいことだよ!」と言いくるめられ、あまりにも汗をかくので22歳のとき甲状腺の病気の検査を受けるも何もなく「痩せてるんだから、新陳代謝がいいんだよ!」とまた言いくるめられ、ここまでなあなあにしてきただけど初めて治療らしい治療を受けられそう。
長く放置してきた自分も悪いんだけど、「体がつらい」とか「体が不快」だということに向き合う余裕がこれまでなかったんだろうな。というか、自分ごときが、そんな治療にお金をかけるなんて…と思っていたのかも。過剰に卑下して自分の価値を貶めるのが若い頃癖になっていた。
自分が不快だと思うことを、治そうとか、改善しよう、とか思えるようになってきたのは、とてもいい変化だと思う。