IP-SANとFC-SAN
最近、IP-SANとFC-SANに関して新たに知ったので
記事にまとめてみました,
はじめに
ストレージネットワークの設計は、企業のデータ管理、パフォーマンス、運用効率に大きく影響を与えます。本記事では、IP-SANとFC-SAN(ファイバーチャネルSAN)の基本から、選定、構築、運用方法について、具体的な手順を解説します。
1. 基礎知識と選定基準
1.1 SANの基本
Storage Area Network(SAN)は、サーバーとストレージを専用のネットワークで接続する技術です。従来の直接接続(DAS)に比べ、複数のサーバーがストレージリソースを共有できるため、効率的なストレージ管理が可能です。
1.2 IP-SANとFC-SANの比較
1.3 選定基準
IP-SAN: コストを抑え、既存ネットワーク活用が可能。中小規模向け。
FC-SAN: 高性能が要求される大規模システム向け。専門知識必要。
2. IP-SANの実装手順
2.1 サーバー側設定(Linux)
# iSCSIイニシエーターのインストール
sudo apt-get install open-iscsi
# サービスの有効化と起動
sudo systemctl enable iscsid
sudo systemctl start iscsid
# ターゲットの検出
sudo iscsiadm -m discovery -t sendtargets -p <ストレージIP>
2.2 ストレージ側設定
# ターゲットのインストール
sudo apt-get install targetcli-fb
# ストレージの設定
sudo targetcli /backstores/block create name=disk1 dev=/dev/sdb
sudo targetcli /iscsi create iqn.2024-03.com.example:storage
2.3 セキュリティ設定(CHAP認証)
sudo targetcli /iscsi/iqn.2024-03.com.example:storage/tpg1/acls \
create iqn.2024-03.com.example:initiator
3. FC-SANの実装手順
3.1 構成の基本要素
FCスイッチ(冗長化推奨)
HBA(Host Bus Adapter)
FCケーブル
ストレージシステム
3.2 重要設定
# ゾーニング設定例
zoneCreate "host1_storage1", "10:00:00:00:c9:2b:6a:3c"
cfgAdd "PROD_CONFIG", "host1_storage1"
cfgEnable "PROD_CONFIG"
4. トラブルシューティングと運用管理
4.1 基本的な確認コマンド
# IP-SAN確認
iscsiadm -m session # セッション確認
multipath -ll # マルチパス状態確認
# FC-SAN確認
systool -c fc_host -v # FCホスト情報
multipath -ll # パス状態確認
4.2 性能監視
# I/O監視
iostat -x 1
# ネットワーク監視
iftop -i eth0 # IP-SAN用
4.3 バックアップ設定
# スナップショット作成
lvcreate -L10G -s -n backup /dev/vg0/lv0
# バックアップ実行
rsync -av /source/ remote:/destination/
まとめ:適切なストレージネットワークの選定と導入
1. IP-SANの適用シナリオ
システム規模
サーバー数:50台以下
ストレージ容量:~100TB程度
同時アクセス数:中程度
コスト目安
初期費用:100-500万円程度
既存のIPネットワークインフラが活用可能
専門的なトレーニング費用が最小限
適した用途
開発・検証環境
部門システム
バックアップ用途
中小規模のファイルサーバー
2. FC-SANの適用シナリオ
システム規模
サーバー数:50台以上
ストレージ容量:100TB以上
同時アクセス数:大規模
コスト目安
初期費用:1000万円以上
専用のファブリック構築が必要
運用要員の専門教育が必要
適した用途
基幹システム
データベース
仮想化基盤
ミッションクリティカルシステム
3. 選定時の重要検討項目
パフォーマンス要件
必要な帯域幅
レイテンシ要件
IOPS要件
予算制約
初期導入コスト
運用管理コスト
トレーニング費用
運用体制
既存の技術スキル
運用要員の確保
監視体制の整備
4. 導入ステップ
要件定義
性能要件の明確化
予算の確定
運用体制の検討
設計
ネットワーク構成の決定
冗長構成の検討
セキュリティ設計
構築
テスト環境での検証
段階的な導入
運用手順の整備
運用管理
監視体制の確立
バックアップ計画の実施
定期的な性能評価