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イスラム教|明太マヨ

何年か前のお笑い番組で、「〇〇には何が合うかな」と何を振られても「明太マヨ!」と応えるシーンがありました。その時は料理だけでなく、革靴なんてものにまで発展していってました。
今回のテーマ、イスラム教もそんな感じだなと思ったわけです。

イスラム教はどんな宗教なのか。具体的なことはさておき、根本的な考え方を見ていきます。


イスラム教、なんて呼ぶ?

本題に入る前に、名前をはっきりさせておきましょう。私は、普段「イスラム教」と聞くことが多かったのですが、最近は「イスラーム教」や「イスラーム」という呼称も耳にします。より古い言い方では、「回教」「マホメット教」などと聞いた方もいるでしょう。

じゃあどれが正しいか、というと「イスラム」に近ければ何でもいいんじゃないかと思います。正確な発音はラを伸ばすとかいいますが、私達が話すのは日本語だもの。どうしたって違います。イの時点で違います。だからいいんです!
ただし、コーランには、アッラーの教えはイスラームである(イムラーン家章19ほか)と書かれているので、それを基にすることは大事だと思います。だから、「マホメット教」はナシでしょうね。あと、「ムスリム」というのは、イスラム教徒のことです。
まじめにやるならالإسلامと言う他ありません。ハムザとラームの発音練習して来やがれってんだ!!

「教」をつけるかどうかについても、色々意見があるようですが、このnoteでは宗教とわかりやすくするためイスラム教と呼ぶのを基本にします。宗教の名前だけに触れましたが、その他の単語でも表記の違いがでることは多いです。

イスラム教の始まりのストーリー

イスラム教を知るために、まずは彼らの物語をサラーッと見てみます。まず主人公はムハンマドさんです。彼はすごく敬虔ですが、普通の人間です。

ある日、彼のもとに天使がやって来て告げます。「読め!!」
ムハンマドさんは、当然困惑「え…何を?」と答えますが、「読めっつってんだろー!!」と首を絞められます。そんなこんなで、神からの言葉が伝えられるのです。こうして、ムハンマドさんは神の言葉を預かるもの、預言者となります。予言ではありません。

以後、ムハンマドさんには何度も神からメッセージが伝えられます。この言葉を文書として書き記したのがコーラン(聖クルアーン)と呼ばれる啓典です。

ちなみに、預言者はムハンマドさんだけではありません。彼の前に数十人の預言者がいて、たとえばキリスト教のイエスもそのひとり。聖書も啓典となります。しかし、前の預言者たちの教えは徐々に変化し、間違って伝わってしまったものなので、最後にして完成された教えをムハンマドさんに伝えたというわけです。そのため、コーランは一字も変更せず、翻訳もせず伝えることが重要なのです。

何を信じているのか

イスラム教徒が何を信じるか。6つの項目があるのですが、結局は全知全能唯一の神(アッラー)に尽きます。

神。つまりムハンマドに言葉を伝えた方は、何でも造れる消せるし、何でも知っています。それが、「まあ神だもんな。」という漠然とした程度じゃないのです。コップを傾ければ水がこぼれるのだって神がしているだけだし、私の髪の毛の本数も知っている。自然の法則など無く、一瞬ごとに神が世界の全てを創造している。そんなレベルです。

そして、神はいつか世界を破壊し、信者のみを次の世界に生まれさせます。そんな圧倒的な神ですから、信者とすれば命令したことには従うし、禁止されたことはしない。理由は「神が言ったから。」それで十分なのです。

あとは、ある意味派生で、神の命令を書いたのがコーランです。言葉を伝えまた自ら模範となって神に従ったのがムハンマドさんです。彼に言葉を伝えたのが天使です。…といったことを信じる訳です。

イスラム教として「信仰している」は、これら全てを信じることを指します。全ての根本は神なので、一部でも否定することは神を否定することになるのです。

何をするのか

イスラム教徒は何をするのか。5つの項目があるのですが、結局は全知全能唯一の神(アッラー)が命令したことに尽きます。

例を挙げれば、毎日の行為として礼拝から、信仰告白、喜捨(自分の財を神のために支払うこと)や断食、もっと頻度少ないものでは聖地巡礼などがあります。

こうした行為には、神を称えたり、自らの改悛などの意味がありますが、結局何でするかといえば「神の命令だから。」です。でも、神がはっきりと示した言葉、つまりコーランには、こまかーい所まで書いてないことがあります。そこで役立つのが、ムハンマドさんがこういう時何をしたという記録の本、ハディースです。最も規範的なムハンマドさんがしたことなら、した方が良い(もしくは、しても良い)と考える訳です。

イスラム教徒がすることとして、よく聞いたりイメージするのは礼拝と断食だと思いますので、少しだけ説明します。

~礼拝~ 1日5回行います。日の動きによって時間は変わるのでwebサイトやモスクなどで確認します。時間が来たら、水で体を清めたあと、決まり文句を唱えながら、立ったり座ったりお辞儀をしたりと、決まった動作を行います。私が行っていた大学では、イスラム教徒の友人がすっと席を立つと、しばらくして廊下がぴちゃぴちゃになって小部屋から声が聞こえてきました。

~断食~ 「知ってるよ!ラマダンでしょ!」違います。ラマダンは、断食をする月の名前のことなので、「4月」みたいなことです。ラマダンの間は、日が出ている間食べ物を食べず、水も飲まない場合もあります。日没が来ると、お祈りのあと、みんなでご飯を食べます。みんなでワイワイするのが恒例です。

意志と清潔さ

イスラム教には大切なキーワードが2つあります。それは、意志と清潔さです。

圧倒的な力をもつ神ですが、人間には自由意志が与えられています。イスラム教では自ら考えて神の心に適う行動をすることが「正しい」「善い」なのです。反対に、無理強いや死の直前の入信などは無効となります。また、意志を悪用して自分勝手に生きる人間を導く存在が神である。と言えるでしょう。

清潔さについて、ムハンマドさんは「清潔は信仰の半分である」というほど重要視しています。礼拝前に水で清めるように、物質的な面はもちろんのこと、嘘を言わない、妬まない、禁止されていることをしないといった精神的な面も含まれています。

ぜーんぶ神

いくつかの側面からイスラム教を見てきましたが、
世界作ったの誰?…それ神!
なんでお祈りするの?…神のため!
今日良い日なのなんで?…神がそうしたから!
転んだのなんで?…神が望んだから!
「いいね」誰が?..神!
いま、何してる?…神の命令に従ってる!

という具合に、全ての根拠が神になるのが、イスラム教の一番基本となるでしょう。

ラマダンです

さて、2024年は本日3月11日からラマダン月が始まります。お近くにモスクがある人は行ってみても良いかもしれませんね


主要参考文献

  • 井筒俊彦(1991)イスラーム文化、岩波文庫

  • 日本ムスリム協会(2018)日亜対訳・注解 聖クルアーン

  • 東京・トルコ・ディヤーナト・ジャーミイ(2007)イスラーム ―正しい理解のために―

  • ルティフィ・シェントルク(2014)イスラームにおける信仰の基本、東京・トルコ・ディヤーナト・ジャーミイ

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