下手の考え休みに似たり#ニコニコ内定塾#2017年就活編#5th#2/23
「あなたはインターンに参加しましたか?」
急に表示されたポップを、ちょっとした満足感を感じながら「はい」を押す。
次々と現れる余計なチェックボックスのチェックを外しながら、岩渕はみんしゅうの登録を無心で進めていった。
土日に異常な混雑を見せる渋谷のドトールも、さすがに平日の昼前だからか人は少ない。
さすがにいざ掲示板を見ようとした時に「授業を評価しよう」と言われた時は少しキレそうになったが、それもぐっとこらえて二つ、登録をする。
左上の欄に企業名を打ち込み、一番上に表示される企業名をクリックした。
「三次選考のあと、どれくらいで連絡きました?」
「落ちました。テストも面接も自身あったんだけどな。受かった人頑張ってください」
「グルディスの予約って満席になってたんですか‥予約できた人いますか?」
希望と失望と困惑が入り混じった投稿がずらっと秩序なく並んでいる。
気づけば、30というタブの数字が青く表示され、時計は13時を知らせていた。
岩渕はふと我に返り周りを見渡す。知り合いがいないことを確認し、少しホッとした。こんな姿、絶対に友達に見られたくない。
やっぱり、もう一般枠でも三次選考まで行っている奴がいるのか‥
岩渕のエントリーしたマイページには、ESとウェブテスト後、特に音沙汰はない。
もう冷たくなったSサイズのコーヒーを舐めるように飲む。
まさか、サマーインターンに3社、ウインターインターンに2社参加した自分がこんなことになるとは思っていなかった。
無意識に開いたインスタはほとんど更新されておらず、最近は外資に内定を決めて一足早く就活から抜け出した奴らの浮かれた写真しか投稿されていない。
インスタでもはやファンタジーといっていいぐらい加工された写真を投稿していた大多数は、リアルな就活に対する等身大の愚痴、不安、苛立ちをツイッターで吐いていた。無機質なテキストなのに、なぜか呟いた奴らの心情が痛いくらい伝わってくる。
ふと、メッセージに通知が来ていることに気づき、タップをするとニコニコ就活塾と書かれた欄がうす青く表示されている。
少し躊躇してメッセージを開く。
この間ふざけて「月曜日に午後に参加する」といった連絡はしたが、当日は外に出ると大雨で風も強く、急にだるくなって当日、体調が悪くなったとドタキャンしたばっかりだった。
メッセージを読むと、どうやら今週末にグループディスカション対策の講座があるらしく、それにこないか?といった内容だった。
グループディスカションはインターンの選考で何回も経験したが、そういえば最近やっていない。これからに備えてアップしておくのもいいか、と考えスケジュールに「グルディス」と打ち込んだ。
○この物語はフィクションです。実在する団体や個人、事件などは一切関係がありません。