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映画感想「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」

観た映画

あらすじ

一流レストランのシェフ、カール・キャスパーは、独創的な料理を創りたいが、オーナーと意見が合わず、店を辞めてしまう。元・妻の提案から、心機一転、フードトラックを始めて全米を横断することになり…。

心に残った場面

本作では、感情的なトラブルから仕事や名誉を突如失い、失意のどん底に陥った主人公が、その後周囲の人々の協力もあり、自分らしく生きる道を見つけ回復していく様子が描かれている。キャリアの節目(トランジション)にある人は特に、勇気をもらえる作品である。

全編通じて美味しそうな料理が登場する楽しい場面が多いが、中でも自分にとって印象的だった場面は、少し焦げ目ができてしまったキューバサンドを息子が客に出そうとした際に、主人公が諭す場面だ。
主人公の台詞から、料理への感謝とプロフェッショナル意識が伝わってくる。

料理で人をちょっと幸せにできる。
それがパパの喜びなんだよ。お前もやったら理解るかもしれないぞ。

映画本編より抜粋

なぜ心に残ったのか

この場面を見て、美味しいものを食べることの幸せと、料理を作ることで人を幸せにできることの喜びが伝わってきた。
自分が学んだ大事なことを伝えたいと語るこの場面は、主人公の父親らしさを最も感じられた場面の一つだと感じた。映画の前半では、あまり父らしく振舞えていなかった様子を見ていたからこそ、このシーンでは、親子のよい関係性が感じられ、心に残ったのだと思う。

登場人物の行動から自分の生活を振り返る

料理ができる男はカッコいい。日々の幸せのため、自分も自宅で料理を少しずつでも作っていきたい。キューバサンドも作ってみたい。
と同時に、仕事を通じて誰かの幸せに貢献している、という主体的な意識を大事にしたいと思った。

また、キャリアのトランジションに関して参考になった点は、実際に行動していくことの重要性である。心理学者ジョン・クランボルツ教授が提唱する計画的偶発性理論でも、以下のように述べられている。

<計画的偶発性理論の骨子>
1.予期せぬ出来事がキャリアを左右する
2.偶然の出来事が起きたとき、行動や努力で新たなキャリアにつながる
3.何か起きるのを待つのではなく、意図的に行動することでチャンスが増える

「計画的偶発性理論とは?クランボルツ教授に学ぶキャリアデザイン」
https://www.rgf-professional.jp/insights/2020-06-what-is-planned-happenstance-theory-how-to-create-a-career-contingency-career-plan

本作の主人公も、初めは乗り気でなかった案に対しても、実際にキューバサンドを味わう体験を通じて、取り組む意欲を持った。そして、一度始めた行動が家族や仲間の協力を得てさらなる好循環を生んでいった。
そのように、よい新たなスタートを切るためには、日頃から偶発的な出来事に対して準備しておくことと、好機を逃さない開かれた心が重要だろう。

作品を作った人に感じたこと

本作の主演、ジョン・ファヴローは、映画「アイアンマン」の監督であり、本作では監督・脚本・製作・主演を務めていることを映画鑑賞後に知った。

主演の方を事前に存じ上げておらず、あまりに料理の手際が良いので本職はシェフの方なのだろうかなどと思っていたので、驚いてしまった。
料理の腕前に関しては、今回の作品のために、本作製作のモデルとなったフードトラックブーム火付け役のプロ料理人に指導を受けて会得したらしい。

転機を乗り越えた本作の主人公だけでなく、自分が作りたい作品をこのような形で実現させたジョン・ファヴロー監督本人からも、自分の役割を狭めないチャレンジ精神や、ある出逢いから作品を作り上げる熱意と柔軟性、創造力に勇気をもらうことができた。

以上

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