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ナツの不登校日記vol.2「理由」

どうして学校に行きたくないんだろう

子どもが「学校に行きたくない」というと、
親は必ず理由を聞くだろう。
でも、不登校の子には、
自分がなんで行きたくないのか なんて、
分からないことも多いんだって。
10年以上経って、おとなになってから、
やっと理由が分かった、という人もいるそうだ。

ナツの場合はどうだろう。

理由その1 乱暴な男の子がいる

2年生になったばかりの頃。
まだ新しいクラスにも慣れていない。
そんなある日、泣きながらナツは、
お友だちからひどい言葉を言われて辛いと話してくれた。
学校での子どもの喧嘩は基本的に、
子どもたちと先生に任せたいと考えているけど、
あんまりつらそうだったので、担任の先生にお手紙を書いた。
その時はすぐナツとその子と先生で話し合いしてくれた。

彼はどうやら、ちょっぴり不器用で、
誰に対しても乱暴になってしまうだけみたいだった。
そのうちその子と仲良く遊ぶようになった。

理由その2 学童保育が嫌だ

ナツが不登校になる前に、学童保育を嫌がり始めた。
比較的おとなしい性格のナツは、
学童保育でも男の子とトラブルになって、
上手く自分の気持を言えなくて、
怒って泣いたことがあるらしい。
先生もどうして怒ったのかわからなかった、と言っていた。

そんなトラブルは頻繁には起こらなかったけど、
それでも日々学童保育に行きたくない気持ちは強くなって、
去年の11月には鍵っ子になった。

ナツは一人で家にいるのがあまり苦痛ではないのだ。

夫が電話のかけ方を教えてくれたおかげで、
ナツも好きな時にわたしの携帯を鳴らしてくれるので、
それほど心配なく、学童から卒業できた。

理由その3 女子が強い

今も昔も同じなのだろうか。
教室では、女子がとても強いらしい。
音楽の授業で女子とグループなんかになったら大変だ。
ものすごい勢いでダメ出しをされる。

ナツの話だから、実際どんなふうなのかはわからないけれど、
懇談で担任の先生に聞いたら、
「女の子は他の子の世話をしたがったり、教えたがったりするんですが、
男の子にとっては嫌なこともあるみたいです…」
どうやらちょっぴり口うるさい小さなお母さんが、
教室にたくさんいるようだ。

ナツは、大雑把で面倒くさがりなところもあるが、
気持ちは真面目だ。自分の正義を持っている。
それが表に出ることがあまりないだけで。
そんな彼が、自分のペースを乱されて、
ダメ出しされまくるのがストレスなのは、なんとなく分かる。

もちろん女子が悪いわけではない。
ただ、そんなストレスを、ナツは普段それほど表に出せない。
面と向かって戦うこともできない。
日々のストレスが外に出されることなく、
澱のように心に積もっているんだろう。

理由その4 子どもとのコミュニケーションが難しい

ナツは長男で、ツキが生まれるまでの4年半、
家では大人とばかり関わっていたし、
保育園でそれほど仲のいい家族もいなかったから、
園外で子どもと遊ぶという機会が殆どなかった。

そのせいか、彼の使う言葉は、
時に大人が驚くほど大人びていて、
その表現力の豊かさに感心することもある。

ところが学校でクラスの子とトラブルや議論になった際、
どうもコミュニケーションがうまくいかないらしいのだ。

担任の先生に聞いた話だが、
ナツの言葉は、クラスの子には伝わらないことも多く、
先生が間に入って通訳してくれているようだ。

もちろん日常会話が成り立たないわけではない。
だけど、大事な時に自分の言葉が相手に伝わらない歯がゆさ、絶望、
それは一人で言葉の違う外国に放り出されたような、
孤独感や不安を感じるのかもしれない。

そういえば、わたしも子どもの頃、
小学生にしては難しい言葉を使うことがあった。
そんな時、クラスメイトには、「わけわからん言葉使ってる~!」
とバカにされた記憶がある。

相手は悪気がないのだろうが、
学校にしか居場所がない小学生の心に傷をつけるには、
十分な出来事だった。

簡単には解決できない理由たち

ナツにとっては、どれかひとつが特定の理由というわけではない気がする。
根底にコミュニケーションが上手くいかない、
という問題が脈々と地下水のように流れているんじゃないだろうか。

それはどうすれば解決できるのだろう。

わたしも人とのコミュニケーションが少し苦手だ。
とても緊張するし、
相手の気持や考えていることを先回りして考えて、
おかしな受け答えをしないことに苦心している。
基本的に相手のことを否定しないし、
波風立たないことばかり考えている。

ナツの課題はわたしの課題かもしれないな、
なんてことをぼんやりと考えている。

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