システム障害対応を改善したい方へ。書籍『3カ月で改善!システム障害対応実践ガイド』を執筆しました。
いずれnoteに文章を書いていこう、と思っていたのですが、いまだそれが叶わず、それもそのはず、この書籍執筆に勤しんでいたからなのでした。
2023/9/19に翔泳社から発売です。端的に言うと、障害対応の改善本です。
主な想定読者としては、SIer、ユーザー企業の情報システム部門、ITディレクター、ITサービスマネージャーです。職種は異なっても、障害対応の改善に取り組む立場ならおすすめです。例えばプロダクトマネジメントに関わる方に読んで頂いたところ、共感して頂けました。
あらら、Amazonアソシエイトなんてはじめちゃって、どうしちゃったの、と思わないでください。トラッキングして分析をしたいからなんですね。
そもそも、今回の書籍出版は印税やアフィリ収入が目的ではありませんし、また、これは、書籍を執筆した方からこれまで何度か聞いたことがある話ですが、かけた時間に対して収入は割に合わないよ、と。(確かに、実感値はその通りです)
では、何目的で執筆しようと思ったのか。
そのあたりのことについて、書籍執筆から解放されて束の間のこのタイミングで、書き記しておくことにします。
これは個人のブログですので、非常に緩い筆致となっている旨、ご容赦ください。
あなたにとって、システム障害対応とは…?
システム障害対応って、辛いことですか?
それとも、自分が何とかするんだ!お客様(エンドユーザー)を困らせないためにやるんだ!と(あまり大きな声では言えないけど)アドレナリンが出るようなことですか?
私は、どちらもです。
それなら、辛い状況を何とかしたくなります。
また、何とかするんだ!という気合だけでも、うまく行かないです。なぜなら、誰かの頑張りだけに依存してしまっては、結局、持続しにくくなるからです。だから、そのような使命感を持った方々の努力と知恵を、チームで対応できるようにしたくなります。
なぜ執筆しようと思ったか
この世の中、各社、各チームは、システム障害対応に関する素晴らしい努力と知恵の結晶をお持ちなのではないか、と思います。しかし、なかなかこれが表に出てきません。つまり、改善事例やノウハウの集合知が⾜りません。
もちろん、機密保持の観点もあるからなのだと思いますが、改善事例を抽象化して、手法として整理し、再現性を高めてシェアすることができたら、どんなに良いことでしょうか。
ただでさえ辛い障害対応。せめて、その改善については皆さんで知恵を出し合っていきたい。困った時は助け合えるようにしたい。
それなら、と筆を執ったわけです。
(本当のところは、筆ではなくて、執筆はMacにインストールされたWordと、校閲の赤入れはPDFだったわけですが。書籍を書いたきっかけに「筆を執りました」っていうのを、なんとなく書いてみたかっただけです)
執筆のきっかけ
共著者の野村浩司さんとは、グロービス経営大学院の卒業後に知り合いました。(ここからは、書籍に書かなかったプライベートストーリーを少し)
卒業間際に「ベンチャーマネジメント」というクラスを受講したのですが、これまで変革系科目しか学んでこなかった私は、卒業間際に、教養として取っておこう、くらいの創造系科目でした。
ケースメソッドによる先輩起業家たちの行動を目の当たりにし、講師の若山さんによるベンチャー取締役会を彷彿とするようなクラス運営に触れ、非常にエキサイティングな3カ月でした。(Globisは本当におすすめです。人生が変わります。世界の見え方も変わりました。)
そこで私に大いなる勘違いが生じてしまい、ITサービスマネジメントの領域で創業しようかなあ、できる気がしてきたなあ、と思ってしまったのです。
Globisには公認クラブ活動という制度があり、その中に、IT業界メンバーのクラブ(コミュニティ)があります。早速そこで発信したところ、野村さんが反応してくれました。すぐにオンラインで会話をして、さらに週末にわざわざ近くまで来てくれて、ファミレスで半日会話して、SIerとユーザー企業が協同していくと改善はうまくいくよね、そして困った時は助け合える世界にしたいね、と意気投合しました。
書籍執筆の企画も、その中に含まれていたわけです。
この辺のことは、書籍の「はじめに」で、触れています。
書籍の特徴1 実践
とにかく実践を意識して作りました。だから実践ガイドと名乗っています。
イントロダクションでは、忙しい現場の方を想定し、本書の効率的な読み方を丁寧に解説。例えば、書籍の全体像をチャートで図式化。
前半では、実践に入る前の基本的な前提を揃える目的で、システム障害対応とは何なのか、改善の難所、成功の鍵について記述。
いきなり改善に着手するのではなく、課題解決のステップを、クリティカルシンキングの考え方を活用して解説。
後半の実践編では、3カ月12週にわたって、どんな考え方で、何をどのように行なって、何をチェックすべきか、まで記載。
読者の方が現場と照らし合わせて、ここから取り組むと良さそうだ、と、部分的に実施することも意識。
書籍の特徴2 ダウンロードコンテンツ
現場で利用できる、改善のためのExcelファイルの雛形を収納しました。
ちょっと、やりすぎた感があります笑。個人的な記憶では、書籍のダウンロードコンテンツでここまで作り込まれている事例は見たことがありません。(いや、こんなのがあるよ!という事例があったらごめんなさい)
ややSIer寄りの仕立てになっているものの(アラートの数を減らすところ)、考え方は、ユーザー企業の障害対応の改善にも役立てられるはずです。
例えば、このような観点を意識して作りました。
書籍と連動して、改善を実践する際の具体的な手順がわかること
その手順を実行するために、どのような表(列情報)で、どんな内容を、どんな順番で整理していけば良いかわかること
改善の進捗について、何を何件改善すれば、どれくらいの改善が進むのか、進捗管理の手法がわかること(改善の進捗が可視化されることによる、管理者への説明しやすさ、メンバーのモチベーション維持のしやすさ)
書籍の特徴3 コミュニティとの連動
ここからは、チャレンジです。
書籍では、「はじめに」「おわりに」で述べている通り、改善は皆さんで知恵を出し合っていこう、改善の経験やノウハウを発信していこう、と呼びかけています。
それを実行に移すためには、その発信のための礎が必要です。つまり、システム障害対応の改善に取り組むコミュニティを立ち上げようとしています。
この記事を書いている時点では、スモールスタートとして、書籍のQAができるFacebookグループを期間限定で運営予定です
詳しくは、ダウンロードコンテンツの取得時や、後ほど紹介する、著者らが運営するメディアで案内予定です。
なにしろ、ITサービスマネージャの経験はあるものの、コミュニティマネージャの経験はゼロです。
そこで、共著者の野村さんと協議し、まずは、できるところから小さく始めて、目の前で困っている読者の方々のQA対応から実施しよう、ということになりました。
いずれ、本格的なコミュニティを立ち上げたいと思っていまして、そこでは、文字通り、改善手法のシェアや、書籍を使ったもくもく改善会や、ダウンロードコンテンツのブラッシュアップができるといいなと思っています。もしかすると、書籍よりも、もっとこんないい方法があるよ、などという会話が交わされるかもしれません。
システム障害対応の改善が日本一語られ、新しい障害対応のスタイルが生まれている場にしていきます。これが協同です。
最後に。
改めて、書籍の再掲です。
興味を持って頂いた方が、上までスクロールしてリンクを押すの大変かなと思いまして、ここにも配置しておきます。(いや、すでに別タブとして開いているから、隣のタブをクリックするだけですかね!?)
それから、前述の、野村さんと運営しているサイトの紹介もしておきます。このnote投稿時点では、コンテンツはまだまだ少ないのですが、興味を持って頂けたら、書籍QAができるFacebookグループや、今後いずれ立ち上げ予定のコミュニティについて、様子を見に来て頂けると嬉しいです。
それでは、書籍を読んで頂けることを楽しみにお待ちしています。