【防衛費】防衛費増は国債で賄えば十分である
与野党9党の幹事長らは、20日のNHKの番組で、衆院選の論点の経済政策や外交安全保障について議論しました。
その中で防衛力強化の財源を確保する増税を巡り、野党から否定的な意見が相次いでありました。
自民党の森山幹事長は「12月の党の税調に向けてしっかり議論したい」と語りました。
岸田前政権が2027年度までに法人税、所得税、たばこ税で計1兆円規模を賄えるようにする方針を打ち出したのを念頭に置いた模様です。
衆議院選挙中にしっかりと防衛費の増税について是非を問うのは、正しいタイミングだと思います。
◆増税に反対の理由
それを踏まえて、私は増税に反対です。
まず例として、牛丼チェーン店の期間限定の値下げキャンペーン開催やセブンイレブンの手ごろな価格帯のブランド「うれしい値!」の品揃えを増やしています。
これは、明らかに物価高騰による消費者の節約志向に対応するためです。
言い換えれば、消費者の実際に使えるお金である可処分所得が減少しているということです。
そこで増税に踏み切った場合、さらに消費者の消費マインドが冷え込み、すでに上記で示した通り、企業は値下げをせざるを得なくなります。
そうなると、企業の業績に悪影響を与え、その結果、従業員の賃金の上昇に圧力がかかる恐れがあります。
要は、消費者の節約志向→企業は値下げ→賃上げの上昇がおさまる、の悪循環にはまります。
コスト上昇によるコストプッシュインフレによるデフレを脱却したとはいえ、コスト上昇による物価が上昇し、それが商品・サービスに価格転嫁され、賃金上昇という流れが断ち切れます。
労働団体の連合は、来年の春闘も5%以上の賃上げ要求をすることを決めています。
そうなれば、賃上げで可処分所得が増える→消費マインドが上がる→消費が活発になる→企業業績が向上する、という理想のディマンドプルインフレになる可能性が高まりますが、増税をすればその可能性は低くなります。
◆防衛費増には賛成
防衛費増は確かに必要です。
この理由は、中国、北朝鮮、ロシアという核保有国の存在にあります。
中国は、長崎で領空侵犯を行いました。
さらにNHKでは電波ジャックもありましたし、靖国神社での落書き事件もありました。
加えて中国の深せん市で残念な事件も発生しました。
北朝鮮は、ミサイルを頻繁に発射し隣国へ軍事威嚇を継続しています。
そして、拉致被害者は未だに拉致をされたままです。
ロシアは、北海道で領空侵犯を行ったにもかかわらず、それを認めませんでした。
そして現在ウクライナに軍事侵攻を続けています。
加えて北方領土を実行支配しています。
このように日本は他国に比べ、はるかに危険な国々に囲まれている地政学リスクの高い場所に位置しているため、防衛費増には賛成です。
◆防衛費増の財源は国債で
しかしそれでも防衛費増の財源を増税で行っては、やっとデフレを脱却した経済を後戻りさせます。
ですから、財源は国債で賄うべきです。
防衛費増は、企業に例えればリスクに備えて投資をすることです。
例えば、日本は自然災害が激甚化しており、工場を地方に分散することで自然災害による工場稼働ストップを最小限にとどめます。
そのため、企業はリスク分散によるものでも資金調達を金融機関に融資を求めます。
国債はそれと同じことです。
国も国の舵取りをする立場として、地政学リスクに備え防衛投資をする、要は国債を発行し財源を確保するわけです。
ここで財務省の話をしますが、国債を発行すると、財務省がこだわっている2025年プライマリーバランス黒字化に黄色信号または赤信号が灯る恐れがあります。
(※プライマリーバランスとは、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費を、税収等で賄えているかどうかを示す指標)
しかし、財務省は国民の生活よりもプライマリーバランスの黒字化、つまり国の経済収支の黒字化のほうが大切なのでしょうか?
それは違うはずです。
このタイミングで増税をせずに経済活動を進めていけば、今のところ続いている国の税収4年連続最高を更新しつづけるはずです。
そして国債で防衛費を増やすことは、将来世代に安心感を与えます。
それは好景気だけでなく、国の領空・領土・領海をより強固に守ることができ、経済活動・日常生活を安心して行うことにつながります。
以上から、私の防衛費増の財源は、国債であるべきと考えます。