セブン銀行のATM 利用増加はなぜか?
セブン&アイは、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたり、アメリカでの中間層の利用減少により業績不振に苦しんでいますが、グループ会社であるセブン銀行はATMを通じて勢いを増しています。
◆ATMとは?
ちなみにATMとは、ご存じの通り現金の引き出しができる機器ですが、ATMは何の略かというと、「Automated Teller Machine」の頭文字をとったものです。
訳すと、「Automated」は「自動」、 「Teller」は「窓口係、出納係」、 「Machine」は「機械」で、「現金自動預け払い機」です。
◆ATM利用増加の理由は?
話を戻すと、大手や地方銀行のATMは、統廃合が進んで台数が減少していますが、セブン銀行のATMは減少せず、利用が増加しています。
要因のひとつとして、キャッシュレス化があげられます。
セブンイレブンといえば、自社の電子マネーである「nanaco」がありますが、他の電子マネーもチャージができ、そのチャージの利用機会が増えているようです。
つまり、現金よりも電子マネーを使って多く買い物をしている証拠となります。
電子マネーは便利ですよね。
「ピッ!」とかざすだけで、買い物が済ませられるのですから。
一方、買い物の際に現金ですと小銭を出すのが、時間もかかり面倒でもありますよね。
こういった理由から、ATMは減少せずに利用が増加しているようです。
◆ATMのチャージ以外の利用は?
セブン銀行のATMの利用は、チャージだけではありません。
他行の預金を引き出したり、マイナポータルの情報連携や健康保険証利用の申し込みもできます。
特に紙の健康保険証が12月2日で新規発行を終了しますので、セブン銀行のATMでマイナンバーカードの健康保険証利用の申し込みができるのは便利ですね。
また12月にも、スマートホテルソリューションズ社の運営するホテルのチェックインができるようになるようです。
宿泊客は、セブン銀行のATMで予約時に発行されたQRコードをかざせば手続きが終わり、ホテル到着時のチェックイン作業は不要になります。
ホテルのチェックインは、通常キャリーバッグを携帯しながら、署名したり支払いをしたりするので不便で面倒ですが、これは画期的です。
◆セブン銀行のATMの海外展開は?
さらにセブン銀行は、海外にもATMを拡大して業績向上の活路を見出しています。
設置している国はいまのところ、アメリカ、インドネシア、フィリピンの3カ国です。
2023年末時点で海外の台数は計約2万台あり、日本国内の約2万7000台に迫る勢いで、国内ATM事業頼りの収益構造から脱却を目指しているもようです。
そのため、海外売上高を21年の253億円から25年には650億円まで拡大することを目指しています。
その目標達成に向けて、マレーシアにも進出をすることを決めました。
ATMを11月から設ける予定とのことです。
一方フィリピンでは、全国3000店舗強のセブンイレブンにATMの設置をほぼ終えたために、スーパーマーケットやショッピングモールなどへのATMの展開の検討もしているようです。
このように東南アジアへ進出し拡大を急いでいるのは、東南アジア経済圏が順調に経済成長を遂げているためです。
他社に先行することで、シェア獲得の狙いがあると思われます。
◆国内にもATM設置場所の増加を
日本国内に目を移すと、セブンイレブンや駅などにATMが設置されていますが、個人的には、商業施設以外にも市役所や区役所、病院といった公共施設であったり、ガソリンスタンドにも設置するのも面白いと思います。
◆ATMの利便性のさらなる向上へ
あとサービス面でいえば、大手・地方銀行の通帳の記帳が可能になったり、現在紙幣のみの取り扱いに加えて、硬貨も取り扱ってほしいと思います。
硬貨も取り扱い可能になると、いざ現金が必要となった際に千円未満でも引き出せるので便利になると思います。
皆さんも硬貨が突然必要になったことはありませんか?
◆今後セブン銀行ATMの行方は?
思い返すと、スマホの普及で公衆電話が激減していきましたが、キャッシュレス決済が普及するにつれ、ATMも同様に減少するかと思いきや、セブン銀行のATMは、戦略的に利便性を追求したことで利用が増え、台数が減少していかなかったのは、さすがセブン銀行といったところです。
国もデジタル化を推進していますので、規制緩和などでATMの機能がさらに高まり、便利になる可能性を秘めています。
その進化に期待したいところです。