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スタッフに求めること、スタッフが得られることについて改めて考えた。【スタッフ募集中】

筆者が経営する株式会社ワサビでは、以下2種の人材募集をしています。

① 2025年4月入社 新卒採用 1名
② 随時 中途採用1名

一般的な求人広告では伝えきれないことがあるなと思い、またこの機会にタイトルの通り、いったいこの会社はクライアントや社会に何を提供しているのか、スタッフには何を求め、何を与えてるのかを整理してみた方が良いと感じ、記事にしました。

少々長くなるので、まずは目次をご覧ください。
※応募フォームは文末にリンクがあります。目次の「応募方法」をクリックすると移動します。


こんなことに興味がある人に向いている仕事です

  • 古民家などの古い建物のリノベーション

  • 文化財の保全や活用に携わること

  • 設計業界のみならず、様々な事業の仕組みを知りたい

  • こだわりや独自性のあるクライアントの仕事に携わりたい

  • インテリアやファッションなど、おしゃれなものに興味がある

  • はたらく空間が心地よい(私の主観ですが、、)

事務所の風景


会社の紹介

株式会社ワサビは2007年に設立され、大阪市中央区で主に商業施設の設計と工事監理を行う会社です。

近年手がけた案件にはホテルや旅館、飲食店が多く、またそれらの多くは建てられ手から長い月日が経っている古い木造建物のリノべーションです。

日本空間デザイン賞や海外のデザイン賞の受賞歴があり、専門誌等への実績掲載も多数あります。直近ではCasa Brutus 2024年10月号 にこれまで手がけた3つの「城泊」(お城を宿にするプロジェクト)を紹介いただきました。

その他設計実績等は弊社ウェブサイトをご覧ください。


ホームページとは別に、代表の笹岡はブログサービス「note」にさまざまな記事を書いています。

下記リンクはプロフィールや直近の仕事の解説、会社のコンセプトなどを記した記事ですが、その他にも業務TIPSやクライアントに向けたもの、あるいはデザインの思考について書いていますので、気になった記事があれば是非ご一読ください。

それでは、まずは募集要項を記します。

諸条件A:(共通)

  1. 職種:商業空間の設計及び工事監理、空間デザインコンセプトの策定、ブランディング等、家具およびディスプレイのデザイン・コーディネート

  2. 対象者:建築・空間デザイン・美術系の大学を修了(修了見込み)の方

  3. 性別:不問

  4. 勤務形態:正社員

  5. 昇給:年1回・職務遂行能力等を評価

  6. ボーナス:業績及び年2回の業務査定によって決定する(直近支給実績:2023年の最大値は、年2回、それぞれ月額給与の2ヶ月分)

  7. 手当
    交通費手当(月額2万円まで)
    資格手当(2級建築士/月額5千円 1級建築士/月額1万円)

  8. 休日:土日祝休(完全週休2日制)

  9. 休暇:年末年始休暇・夏期休暇・法定有給休暇

  10. 保険:社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険)

  11. 勤務時間:9時30分〜18時30分(1時間の昼休憩を含む)

  12. 勤務地:大阪市中央区森ノ宮中央(利用交通機関:JR環状線もしくは地下鉄中央線)

  13. 必要技術:以下ソフトウェアの操作
    OS:MacOS /CAD:VectorWorks /3Dモデリング:VectorWorksもしくはSketchUp/レンダリング:TwinmotionもしくはLumion /グラフィック:Adobe Illustrator、Adobe Photoshop/プレゼンテーション:Apple Keynote もしくは MS Powerpoint/表計算:MS OfficeもしくはApple Numbers、Googleスプレッドシート/文書作成:MS WordもしくはApple Pages

諸条件B:新卒採用

  1. 年齢:2025年3月に大学もしくは大学院を卒業する方

  2. 初任給:採用より半年間 21万円、その後の半年23万円

  3. 採用試験:4回(日)の有給インターンを実施し、職務遂行能力等を査定して選考する。

採用=4回の有給インターンとはなかなかハードルが高そうに見えるはずです。売り手市場と言われる現在に、なぜ募集者が減るようなことをするのかと疑問に思った方もいるでしょう。

明確に理由がありまして、それは新卒入社の方に試用期間を設定しないためです。新卒で入社した会社で3ヶ月働いた後に、本採用無しとなると非常に困る人が多い。

なので、入社前に何度かインターンに来てもらって「お互いに」相性やスキルを測理、試用期間なしで働いてもらえるようにしたいと考えました。

もちろんこの期間に学生さんの方から何か違うな、と思われることもあるでしょうから、断るにも早い方が良いのでこのような仕組みにしています。

諸条件C:中途採用

  1. 年齢:不問

  2. 給与:26万円以上 経験や職務遂行能力により決定

  3. 試用期間:有り/3ヶ月

  4. 必要技術:諸条件AのNo.13に加え、募集職種に記載する業務に3年以上携わっている方

ワサビの業務体系の紹介


ワサビは2024年10月現在、正社員3名とパート2名の5名体制の小さな会社です。規模に対してはそれなりに大きな仕事もあったりします。(数億円規模の工事費の現場)

まず、仕事の全容を知ってもらうために、基本的な業務の全体像を以下1〜4で紹介します。

1:施設開発における企画に関する業務

建築することが決定した案件の依頼は全体の半分くらいで、残りの半分はクライアントが事業を進めるかどうか(営業権を得られるかどうか)を左右する「事業企画」にチームメンバーとして参画する仕事をしています。

ということはコンペなの?と思われるかもしれませんが、一般的に想像するデザイン事務所が参加するコンペとは違います。

「一般的に想像する」コンペはおそらくこんなところでしょう。

ホテルを建設するクライアントがいて、そのホテルのデザインを、数社のデザイン事務所に依頼をかけて、各社から提出されたデザイン案をクライアントが吟味して設計を依頼する会社を決める。

こういった仕事(デザインコンペへの参加)はワサビでは稀です。
では「事業企画のチームメンバーになる」とはどんな仕事なのでしょうか?

例えば、とある行政が、街の中で活用されているとは言い難い施設を、もっと地域住民に利用してもらえて、税収も増えるような施設にしたい。とお題を出します。

それに対して「我が社なら、こんな活用方法で実現できます。」と複数の事業者が手を挙げる。

この時手を挙げる事業者とは、設計事務所ではありません。設計事務所は建物の設計はできますが、施設を運営することが主業務ではないからです。

なので、手を挙げる事業者とは、宿泊施設を多数運営している会社であるとか、ウェルネス事業者、エンターテイメント事業者など多岐に渡ります。

要するに、有休(しているような)施設を活性化できる会社であれば良いわけで、ホテルとレストランにする提案もあれば、ジムやエステサロンの複合施設、ライブ空間とBARを組み合わせた施設といった、様々な提案が出てきます。

行政はそれらの中から、適正に利益を出せて、今後数十年施設運営を任せて問題ないかを測る収支計画や、建物の改装計画が既存建物の価値を毀損せずに向上させているかどうか、といった多角的な視点で吟味し、事業主を選定します。

このような事業企画をするためには設計事務所の存在が必要になってきます。

なぜなら、収支計画をするには、建物の建設コストを推測をしなければなりませんし、つくる施設がどのような法律に関係し、また適法にできるかどうかの検討が必要になる。また、建物をどのように改装し、既存建物の価値をどのように高めるか、といった提案も当然必要になってくるからです。
これらの業務は設計事務所にしかできません。

ワサビはこのような、事業企画をサポートする仕事の多さが特徴です。

事業主とタッグを組んで企画書をつくる訳ですから、行政からこの事業主が選ばれた場合は、自動的に設計の仕事が獲得できる訳です。
時折、そうでないことも大人の事情によってありますが、、

2:設計およびFFEコーディネート業務

設計に関しては一般的に想像される内容と相違ありません。

クライアントの企画や要望を鑑みて、工事が滞りなく実施するための各種図面を作成します。マテリアルの選定やパース制作も含まれます。

FFEとは「Furniture Fixture and Equipment」の省略で、家具やディスプレイ・アート、備品に関する業務になります。

オリジナル家具をデザインすることもあれば、既製品を選ぶこと、またはその両方を同時に行います。

床の間にかける掛け軸を選んだり、花を生ける花器を探しに窯元へ赴いたりもします。

備品については、例えばホテルであれば、ティッシュケースやゴミ箱、メイク用の鏡など、自身がデザインしたインテリアに合うものを選定し、時には仕入れ、販売をすることもあります。


3:工事及び製作監理

この項目は特筆すべきことはありません。

自分が作成した図面通りに工事現場が進んでいるかどうかを、工事担当者と緊密にコミュニケーションをとり、適切な完成へと導く作業をします。

「製作」とあるのは、オリジナル家具等の製作を監理するためです。
海外で生産する場合は納期管理が重要ですし、初めてつくる椅子を製作する場合は耐久性や人がケガをしないようにできているかなど、製作者と議論しながら進める必要があります。


4:プロジェクトマネジメント

設計事務所が一般的に管理するスケジュールといえば、自身が手がける設計と、関連する事象(確認申請など)、そして工事期間だと思います。

ワサビではこれらに加えて、業務体系の1番で紹介した事業計画全般のスケジュールを管理することが多いです。

PM(プロジェクトマネジメント)とは、それを専門とする職種が成立するくらいの仕事ですが、弊社が手がけた商業施設の開発において、専業のPMが参画した案件は2%以下です。

明確な理由は分かりませんが、おそらく商業施設開発に明るい専門家が少ないか、専門家をプロジェクトに雇う習慣がない、もしくはコストがもったいない、といったところでしょうか。

そんな背景と次のような理由から、弊社がPMに近い立ち回りをすることが多いです。

理由:
開発に関係するタスクの多くが設計者の管理下であるから。
関係するタスクとは、デザインコンセプト策定、概算コスト算定、設計、工事監理、FFE調達、許認可関連、など。

設計者が管理するのが(PM担当するのが)一番スムーズだからお願いしたい、とは言われたことは一度もありません。

場の空気がそうさせたのか、私の個人的資質が、プロジェクトのスケジュール管理者の不在を拒否しているのかは分かりませんが、気がついたらその役割を買って出るようになっていました。

PMを担当することで、プロジェクト全体をスムーズに進行させることができますし、関係者から感謝されることも多いです。

またプロジェクト全体を俯瞰する能力はどのような仕事においても重宝されるスキルの一つだと思っているので、将来のことを考えれば、スタッフには是非身につけてもらいたい技術だと考えています。

スタッフの役割と、就職して体得できること、体得「しにくい」こと。


前述の業務体系を読んでどう思われたでしょうか。
「やることが多岐にわたって大変そうだ」と思った人も少なくないでしょう。
弊社では基本的にプロジェクトのスタートから最後まで、関連する業務も含めて担当スタッフが全て実行する体制をとっています。

同業他社で規模感も同じような会社がどうしているかは分かりませんが、おそらく似たような体制ではないかと思います。

一方で、人数の多い(肌感覚では設計者が20名以上の)組織設計事務所では、PMのような動きをする営業担当やFFEを専門に手がける部門があったりと、ある程度の分業をしているところが多い。


このような小規模と中・大規模の会社を、それぞれに勤めるスタッフの役割と体得できることで比較した場合、少々誇張がありますが、ざっくり以下のようになると思います。(どちらもデザイナー志望の場合)

◾️小規模設計事務所|プロジェクト全体を俯瞰してまとめ上げるゼネラリストとしての役割。体得できるのはディレクターとしての能力。

◾️中・大規模設計事務所|デザインに集中し深掘りするスペシャリスト。体得できるのは広く深いデザインの知識とアウトプット能力。

弊社がスタッフに求める役割、ならびにスタッフが体得できることは、前者の小規模事務所の例で述べた内容になります。

もちろん、入社してすぐに全てができるようになる訳はありません。
先輩とプロジェクトを共にしながら、時間をかけて学んでもらうことになります。

会社としては、入社希望者に「最終的にはゼネラリスト的人材になることを求められている」と認識してもらう必要があることをお伝えします。



なお、世の中には小規模事務所のスタッフであっても、デザインに費やす時間を最大限確保し、プライベートでもデザインに没頭し(お店を巡る、頻繁にアートに触れる、など)、その結果、独自のデザインセンスを獲得し他を圧倒する人もいます。

反対に、中・大規模事務所のスタッフでも、年齢を重ねて役職に就くとディレクターの役割を担って全体管理をするようになる人も多いでしょうから、結局のところ、長い目で見るとどちらのスキルも体得できるような気もします。

設計事務所の規模の大小では相互に、手がける物件の大きさや独自性、かけられるコスト、設計に関わる制約といった要素において一長一短あり「隣の芝生は青い」といった心象を抱くことがあるようです。(私を含めた、さまざまな組織で働く友人たちの言)

つまり、ゼネラリストとスペシャリストのどちらが優れているか、という話ではありません。
自分はどちらの組織ではたらくことが向いていると感じるか、自分の将来を考えた時に適当なのはどちらか、という観点で判断すると良いでしょう。

FAQ|よくあるご質問


Q:スタッフのキャリアプランはどうなっていますか?

A: 創業から17年の間で卒業した人が多くなく、傾向を示すには母数が少ないので参考になりにくいかと思いますが、選択数が多い順に記します。

1位:同業他社への就職・・・いずれも規模の大きな設計事務所へ、手がける物件の変化を求めて。

同率2位:独立
同率2位:異業種への就職・・・構造設計に興味があったとのことで勤めながら勉強をし退職→構造設計事務所へ就職

4位:就職を伴わない退職・・・結婚し家庭に入る

在籍年数は人によってまちまちですが、全員定年するまでこの会社にいる、という選択はしていません。

退職を前提に雇い入れると決まった会社ではありませんが、かつての自分がそうだったように、小さな会社で得られることに限界があるのだろうと感じています。

小規模の会社がみなそうであるとは限りませんが、何十年も勤めるつもりで就職される方は少ない傾向にあると思います。

新卒での入社の場合、2〜3年ほどで仕事に慣れ、その後3〜5年はある程度の決済権を持ってプロジェクトに主体的に携わり、それ以降は会社経営に影響が出るような事象のみ上長承認を取るが、基本的には個人の判断でプロジェクトを動かすようになる。概ねこのようなイメージになります。

これ以降に進んだ人はいないのですが、デザイナー全員を統括するマネージャークラスの仕事をしたい、という方がいれば役員待遇で残ってもらいたいと考えています。

Q 仕事はどのように学べますか?

A: 上司によるOJTならびに都度行う研修によって学んでいただきます。

また、現在取り組んでいるところですが、業務をなるべく効率的に学んでもらえるように、ブログ記事を書き溜めたり(このnoteです)、業務ツールの改善をしています。

クリエイティブな業務と関係者とのコミュニケーションにできるだけ時間を費やし、その他のルーティンワークは効率的に早く終わらせられるように常に気を配っています。(私自身が、毎度同じ作業をするルーティンワークが好きではないので)

Q 資格取得のサポートはありますか?

A: 金銭によるサポートはありません。
資格試験の模試日程を休みにするとか、就業時間以外に事務所で勉強して良い、といった程度です。(就業時間外は原則事務所は開けません)

Q リモートワークはできますか?

A: 原則は出社となりますが、リモートワークもしています。

出社理由としては、書籍やカタログといった紙媒体を使うこと(デジタルのものより検索性が高い、イレギュラーな発見ができる)、建材などのマテリアルは物理的に手に取らないと判断できない、試作をするための工具や場所がある、衆人監視のある環境に身を置いた方が集中力が高まる(前述しましたが、事務所空間、気持ちいいですよ。)昼休みに新聞や本を一緒に見て情報交換をする、グループワークや教える&教わる状況には対面の方に優位性がある、といったものがあります。

しかし、例えばデザインコンセプトを練る、といった作業は事務所にいなくてもできるので、リモートワークでもいいですよね。

近所の大阪城公園を散歩しながら思索に耽り、近くのカフェでノートパソコンを開いて作業すれば良いアイデアが浮かぶかもしれません。

ですから「今日は外で作業してきます」と申請すればリモートワークすることができます。他には女性の場合が多いですが体調が優れない時であるとか、あとはワサビは出張が多いので必然的にリモートワークになったりします。

そのために、設計担当社員にはノートパソコンとiPadを支給し、コミュニケーションツールを使って、事務所で作業するのと変わらない環境を提供しています。
インターネット接続や通話については、会社から支給するeSIMを使用できますので安心です。

長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?
応募する前に知りたかったことを充足できたなら本望です。
ここまでお読みいただき、ワサビへの就職を希望される方は、次の応募方法をご覧ください。

応募方法

以下エントリーフォームより必要事項をご記入の上ご応募ください。
応募締め切りは2024年12月15日です。

※面談や採用試験は先着順に随時行いますので、応募締め切り期間前に募集を締め切ることがあります。

書類選考を実施し面接をお願いする方にのみご連絡させていただきます。ご了承ください。
面接の依頼の連絡は、応募されてから2週間以内にいたします。

お送りいただいた履歴書及びポートフォリオは選考の目的以外には一切使用致しません。


以上です。
どんな人が未来の仲間になるのか、楽しみにしています!
ご応募お待ちしております。





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笹岡 周平 |空間デザイナー/株式会社ワサビ 代表取締役
建築・インテリアなど空間デザインに関わる人へ有用な記事を提供できるように努めます。特に小さな組織やそういった組織に飛び込む新社会人の役に立ちたいと思っております。 この活動に共感いただける方にサポートいただけますと、とても嬉しいです。