「誰にもなれない私だから」を細かく見ていく【ガールズバンドクライ】
●EDの位置づけ
アニメ「ガールズバンドクライ」のED「誰にもなれない私だから」。本記事では、手島nari先生のツイートに基づきこのED映像を13話後のエピローグとしてとらえ、詳細に見ていこうと思います。
<手島nari先生のツイート>
なお、筆者の13話感想は以下のリンクからどうぞ。
●ED映像を見ていこう
EDのノンクレジット映像は公式で見れます。
<TVアニメ『ガールズバンドクライ』ノンクレジットエンディング|トゲナシトゲアリ「誰にもなれない私だから」>
それぞれの休日?
単語帳やノートを広げて勉強している仁菜。本編では予備校を辞めた仁菜ですが、勉強を再開したようですね。
目指すのが当初の目標と同じく大学受験なのかはわかりませんが、高卒なり大卒はとれるならとっておいた方がいいかと思います・・・がんばれ仁菜。
状況としては「勉強に行き詰まってふとスマホに手が当たり、音楽を聞き始める仁菜」といったところでしょうか。
左側の鏡に映る仁菜は、高校の制服姿ですね。高校時代の自分とイヤホンを共有しているように見えるのが興味深いです。「空の箱」を聞きながら、高校時代を思い出しているのでしょうか。と言うより、仁菜にとって「空の箱」は高校時代の記憶と切り離せない曲なのかもしれないですね。
次がギターを爪弾く桃香。状況としては、
・並んでいるCDの中からダイダスのCD(空の箱)を取り出し、ケースに桃香の顔が映り込む
・傍らに積んであったCDの山が崩れてしまう(嫌そうな顔の桃香)
・猫がごはんを要求してくる
といった感じかと思います。
また、仁菜のスマホからは「赤い糸」が伸びていきます。
「糸」はOPや本編にも登場する演出というかイメージですが、ベタな解釈ですが「つながり」とか「絆」みたいなものの表現かと思います。「赤」は仁菜の色でもありますし、もうちょっと深読みすると「運命の赤い糸」という言葉もありますね。
続いてすばる。
状況としては「対戦ゲームで負けてコントローラーを放り投げ、ふと傍らのドラムスティック(と練習パッド?)に目がいっている」といったところでしょうか。
続いてルパと智。
ルパは「読書を中断し、コーヒーか何かを飲みつつふと傍らのベースに目がいっている(ように見える)」
智は「寝転びながら宙に手を伸ばし、エアーでピアノ(キーボード)を弾いている(手つきに見える)」
といった感じかと思います。
全員の描写で共通しているのは、休日なのかそれぞれ自宅で過ごしていて、ややアンニュイな雰囲気の中でそれぞれが音楽を意識しているといった感じかと思います。
きっかけは仁菜
次に、何かのポスターを見て走り出す仁菜。
ポスターには「全国TOUR」と書かれており、見切れていますが「DUST」の文字もあることからこれはダイヤモンドダストの全国ツアー告知ポスターかと思われます。
そして「from nina」の文字とメールのアイコン。智、ルパ、すばる、桃香の表情のアップは、仁菜からのメッセージを見ての反応でしょう。
さあ出発!
ギターケースを持った仁菜と桃香。桃香が購入したのか、黄色いバンに荷物を積んで乗り込む二人。仁菜から手を差し出して二人は握手を交わす。
桃香の家の猫は三浦さんが預かってくれた様子。
ということは桃香はしばらく家を離れるということでしょうし、前段の流れからして仁菜の提案からトゲナシトゲアリもライブツアーを敢行することになったと見るべきでしょう。
それぞれの楽器やエフェクターから伸びていく「糸」。
と同時に、バンに乗り込んでくるすばる、智、ルパも描かれる。
助手席にいた仁菜ですが・・・
ルパが引っ張り出して後部座席へ。
このルパの行動の意図はハッキリとはわからないですが、第7話での桃香がマニュアル車の運転に不慣れだった描写から考えると、運転のサポートのために助手席についたと考えるのが自然かもしれません。
ルパの「GO!」で出発進行!
戦慄する仁菜、智、すばるをよそに、運転に必死そうな桃香をルパは楽しげに見ている様子。
他の方がTwitterで言及していたのですが、下のカットで映っているメーターの走行距離「230424」がガルクラ公式サイトの開設日ではないかという指摘がありびっくりしました。よく気づくなあ。(走行距離があるということはこのバン、中古車・・・?)
トゲトゲ道中
伸びてきていた「糸」がより集まってひとつになり、虹色に光る「道」となってその上をバンが走っていきます。
桃香の家の猫だけでなく、ルパ智の家のヤモリとヘビも三浦さんが預かってくれたようです。責任重大だな・・・
お酒を買おうとしているルパと桃香。(と智の後頭部)
智の報告を受けてか、スマホを手に怒りマークを浮かべるすばる。ルパと桃香が買い出しで予算外のものを買おうとしている、とかそういう場面でしょうか。
富士山?をバックにした写真?の仁菜とすばる。仁菜は紫色のソフトクリームらしきものを手にしているので、どこかのサービスエリアで休憩中の様子なのかなと思います。
そしてその写真を見たと思われる仁菜の家族。呆れたような様子を見るに、「今ライブツアーで◯◯に来てます!」みたいな報告を突然送ったのかな、などと想像します。あるいは報告とかでもなく、トゲナシトゲアリのSNSに上げられているのを見たとか・・・
第10話の感想でも触れましたが、仁菜の父宗男がタバコを吸おうとして、やはりやめたのか火をつけずに置く、という描写が見られます。
これは10話での仁菜の「タバコ、少しは減らしてね」というセリフを受けてのものかと思われます。
背景は夕方に。ボンネットから煙を吐き出しているバンとバツマークを作っている桃香。智に何か苦言されているらしき仁菜とその様子を汗を浮かべて見ているすばる、というカット。
仁菜と智の諍い?がバンの故障と関係あるかどうかはわかりませんが、あるとしたらなんだろう、車の様子がおかしかったのに仁菜が強行したとか、そもそも仁菜がライブツアーとか言い出したからこんな目に遭うんだとかそんなことを言われているのかも・・・あるとしたら後者っぽいなあ~・・・智ってそういうこと言いそうじゃないですか?(突然の問いかけ)
宿の風呂だか銭湯だかで一緒に髪を洗っているすばると仁菜。すばるはなんだか仁菜の方を見ているようです。
風呂上がりでしょうか、すばるは鏡で自分の髪を見て何か思うところがある様子。
前段から変わらず智に何か苦言されているらしき仁菜。するとそこへ・・・
仁菜と智が異変に気づきます。
そこにはバッサリ髪を切ったすばるが。Vサインしているルパを見るに、おそらく切ってあげたのはルパでしょう。
また、すばるが髪を切った理由ですが、シャンプー(風呂)の描写からすると、ツアー中髪が短い方が楽だから(洗うのも乾かすのも)といったところではないかと思います。
仁菜の方を見ていたのも、「ニーナくらいの長さだとラクでいいな・・・」なんて思っていたからかもしれませんね。
【追記】これは深読みというか根拠とかは薄い考察の類ですが、すばるが髪を切った理由は主に上述の通りだとは思うものの、あれだけ伸ばしていた髪をバッサリというのはけっこう思い切った決断に思えます。
なのでもしかするとすばるの中で心機一転というか、事務所を辞めてトゲナシトゲアリとしてやっていくという決意をこのツアーの中で新たにしたとか、そういうものもあったのかもしれないなとは少し思っています。あとはアクターズスクールもこのタイミングですでに辞めたか卒業していた、ということもあったりするのかも…
やがて背景は夜に。
コンビニかどこかですばるが仁菜に何かを指し示していますね。
そしてプンスカしている智に仁菜が差し出したのは・・・
「高級モンブラン」と書かれたスイーツ。智は目を輝かせています。
すばるのアドバイスで、仲直りのため仁菜から智へモンブランを買ってあげたということでしょう。
モンブランが智の大好物だというのは2ndシングルのCDドラマ「智とモンブラン」でも描かれていますね。
モンブランを受け取る智と、安堵のため息をもらす仁菜。智の表情的に「仕方ないわね・・・」とかそんなことを言ってそう。
ルパ、すばる、桃香はその様子を見て「やれやれ」な雰囲気。
そして背景の星空には、メンバーそれぞれの色の星のような光がまたたいていますね。
このままで歩いて行くんだ
背景はやがて夜も明けて・・・
イヤホンを耳にして、アラームで目が覚めた様子の仁菜。
桃香たちがそんな仁菜を覗き込んでいるようなカットと、車に向かっていく後ろ姿。
背景が白くなって・・・
高速で切り替わるカット。
仁菜に向かってスマホを差し出す制服姿の仁菜。
また、「糸」の色は最初の赤に戻っていますね。
スマホを受け取ろうと差し出した手を・・・
掴んだのは、
桃香だった。
仁菜の瞳のアップ。
立ち上がる仁菜。その拍子にイヤホンが外れる。
「GIRLS BAND CRY」のタイトル
もつれる糸の形が、音符やハートマークや星などにも見える気がするのが面白いですね。
そして「糸」が仁菜のスマホにつながり・・・
画面が「空の箱」から「誰にもなれない私だから」へと変わります。
全員で写っている写真は、前段で眠っていた仁菜を入れて撮影されたものでしょう。
●考察のようなもの
映像全体の流れについて
大きな流れとしては、
といった感じになるかと思います。
そしてストーリー的には、なんとなくアンニュイな日々を仁菜がまたとんでもないことを言い出して打ち破るみたいな構造になっていると思うのですが、これがまたトゲトゲらしいというかガルクラらしくてめちゃくちゃいいなと思いますね。
映像の中でも特に象徴的だと思われるのは、ラストの「制服姿の仁菜がスマホを差し出してきて、受け取ろうと伸ばした手を掴んだのは桃香だった」というところで、あ、やべえ泣きそう。言葉にする必要もないような気もするんですが、この部分がどういうことを表現しているのか、自分の解釈みたいなものを書いておきますと・・・
といった感じかと思います。
そしてこれを踏まえてですが、EDの映像全体を通しての背骨になっているのは「空の箱」を通じて仁菜が桃香や皆とつながっているということなのでしょう。
余談:事務所(三浦さん)との関係
桃香と智の猫・ヤモリ・ヘビを預かってくれた三浦さんですが、関係が切れていないことを考えると、ひょっとしたら仁菜たちは事務所を辞めてないのでは?という可能性も出てくるような気がします。
もちろん辞めたあとも個人的なつきあいが・・・というのは全然あり得るでしょうが、筆者は芸能や契約の知識などほぼ全くないので、そもそもあんな簡単に事務所って辞められるんか?とも思うわけです。
こんなこと言いながら筆者は9割9分事務所は辞めたんだろうなと思っていますが、一分くらいそういう可能性もあるんじゃないかな、と・・・
ちなみに、普通に辞めていたとしても三浦さんはなんだかトゲトゲとの仕事を諦めてないんじゃないかという気がしますね。
了
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