Gレコ観終わって何も手につかない
ということでGレコⅣとVをキメてきたわけですが、本当に素晴らしすぎて他のことを何も考えられなくなっている。正式な感想はいずれ気持ちが落ち着いたら書くと思うけど、とにかく何かを吐きださずにはいられない。
間違いなくスクリーンの向こうに世界がある……それを実感できる体験だった。いまはすさまじく満たされた気持ちと、底抜けに前向きな物語からもらった元気と、一区切りついた/一区切りついてしまったという感慨と、「真の意味でこれが最後のガンダムなんだよな」という万感の想い(限界富野オタクの主観です。ガンダムを冠する作品はこれからも出てくるでしょう……出てくるでしょうけど!)、齢80歳にしてこれだけのものをつくりだせてしまう富野由悠季に対する心からのリスペクト、翻って自分の創作はどうなんだ、という感覚とがいりまじってすごいことになっている。
とにかく情報の密度がすごい。世界がそこにあり、登場人物たちが生身の感情をぶつけあっている。受け手が世界に放り出される作劇だから、細かいことを四角四面に考える姿勢でこの作品を受けとめようとすると混乱するに違いない。でもそれこそ作中人物が言っている通り「世界は四角くないんだから!」ということなのであって、物語の展開と登場人物たちの心のぶつけあいに身をゆだねさえすれば、彼らとともにその世界を歩んだという感覚が得られる。そういう作品なのだ。
そのような意味でも五部作中、やはり白眉はⅢとⅤだと思う。両作とも、とにかくすさまじいテンポで物語が展開されて高密度に圧縮された情報が降りそそぎ続ける。それを破綻なく作劇してしまう富野由悠季はほんとすごい。世界において唯一無二で、心から尊敬できる。
特にⅤは最高によかった……テレビ版よりも人物の関係性が掘りさげられていたこともあって、大気圏突破シーンが格段に素晴らしいものになっていた。テレビ版とほぼ変わっていないはずのマスクとマニィのやり取りにグッときてしまった。最終決戦の舞台がジャブローというのも感慨深いものがある。原点に帰り、そこで決着をつけ、そこからまたはじまるのだ……。
深刻な内容を扱っているのに底抜けに前向きで、徹底的に陽性。パワーに満ち満ちている。いまという時代だからこそ、こうでなければならないと感じさせる物語だった。元気をもらいエンパワされたのと同時にいろいろと宿題をもらったような気持ちになる。
自分は創作においてここまで密度のある世界を構築できるだろうか? 富野由悠季はインタビューで「トイレに行くところまでイメージして登場人物を考えている」的なことを言っていたけど、そこまでやってこその生々しさ、躍動感なんだと感じる。僕はそこまで徹底できているだろうか?
とにかく感情が渦巻いている。僕のなかで間違いなくGレコは「名作」と断言できる作品になった。∀やイデオンより強烈な印象が刻まれた……。素晴らしい体験でした。
【おしまい】
※ なおヘッダー画像は試しに Midjourney 画伯に描いてもらいました。