記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

絶叫杯参戦日記「書きなさいしゅげんじゃくん! 誰かのためじゃない! あなた自身の願いのために! (エヴァ見ました」

前回

創作の進捗状況とか

前々回に書いた通り、逆噴射先生のアドバイスにもとづいて「人類救済学園」を書き直す……まずはそれをやる……そのつもりだった。書く内容はもう決まっている。イメージもばっちりある。文章も浮かんでいる……だから書き直しは、ほんの二、三日で終わるはずだった……。はずだったのだ。

それから何が起きたか。ななな、なんと、ほとんど書けずに二週間が経過してしまったのである! なんてことだ……!

理由は明確で、なんだか気が乗らない(あ、あと実は本業がめちゃくちゃ忙しかったというのもある。まあ、これは言い訳なんですけど)。

やはり書き直しって後ろ向きな感覚があるみたいで、どうもそれがいけないらしい。本当は全然そんなことないのにね。そして気がつくと、書き直しは放り出して、逆噴射小説ワークショップの再応募作を書き始めてしまった。

そしたらですね、なんかすげー捗るわけですよ。そして気がついてしまった。人類救済学園は「いつもと違うこと」をやろうとしすぎて、実は気負ってしまっているのでは、という事実に……。

なので再応募作品は完全にもとの僕の書き方に戻っている……。プロットはまったく立てない。登場人物と設定だけ決めて、あとは書きながら妄想を練りあげる。楽しい。やはりこのやり方のほうが僕には向いているのでは、とも感じる。いや、どうだろう。これは単に後退なのかもしれない。

いずれにしてもすげー楽しく書けている。作品のノリとしては僕が以前書いていた連載に近い感じです。そういう意味でも、人類救済学園は今までと毛色が違うので、書いていてコスト高めだったのはたしか……。

そしてそうこうしているうちに、人類救済学園の書き直しの方もなんだかモチベーションが上がってきた! これはいい傾向だ。なので、たぶんこの感じだと書き直しの方も数日中には仕上がるのではなかろうか、と思う……!

ただ他にも問題があり、「無数の銃弾」向けの書下ろしが絶賛放置中となっている。これはいよいよ期限が抜き差しならんことになっている……(4月15日が締め切りだ!)。最悪、既存の短編とかで穴埋めしてお茶を濁すしかない……いや、それはダメだろう……でもなあ……とか思ったり思わなかったりです。まあ、やってやろうじゃないか。

エヴァ見た(ここからちょっとだけネタバレあり)

ようやく先週、エヴァを見た!

正直に言えば、単独の娯楽作品としては成立していないとは思った。今までのシリーズ全てを見たうえでないと成立し得ない、そういう作品ではある。

そして。

僕は庵野の作品が苦手だ。あれだけ絶賛された「シン・ゴジラ」にしても、僕はシラけながら見ていた。理由はいろいろあるけど、特に庵野の眼差し、その視点の置きかたがすごく嫌いで、具体的には「エリートでエスタブリッシュメントな皆さまが必死に頑張っている、なのに無知なモブ大衆は彼らを包囲して意味不明なデモをやったりする」みたいな眼差しがすっげーキモいなと思い、最後もエリートな皆さんが勝手に「スクラップアンドビルド」とか言ってるのをみると「はー、国は自分らが作るって? 庵野っていつもそういう眼差しだよね。つか、リアルな描写みたいに絶賛されてるけど、実際にはこれって半沢直樹みたいなおっさんファンタジーだよね!?」みたいに思ってしまったわけです(もちろん、実際には国とか政治とか描いているわけではなく、創作者としての彼自身とその受け手たちのメタファーだと思うんですけど、そうだとしてもやはりキモいなと)。

そして今回のエヴァです。

細かいことを言うと、第3村での労働賛歌とか、ラスト、スーツ着てネクタイして、かわいい女の子とつがいになって、歩き出すのが地に足ついた現実の生き方、みたいな感覚はちょっと気にくわねーなとか思う。

でもですよ。

そんなことはどうでもいい。本当に素晴らしいと思った! マジで感動した。凄い作品だった。ホンモノの傑作だと思った! 見終わったときのスカッとした爽やかな感覚が本当に良かった!

やはりエヴァって、庵野の私小説なんだよな、と思う。途中で出てくる特撮のセットとかも含めて。でもただの私小説ではない。本当に圧倒的だった! 彼の人生全てがこもっている、そんな迫力があった。そしてだからこそ、さっき書いたような細かい点はどうでもよくなる。だってさっき書いたようなことですら、庵野が生きてきて、そのうえで心からの実感として吐きだされたR.E.A.Lだから。その圧倒的な実感を前にすると、細かいことなんてどうでもよくなるし、むしろ、庵野やりきったじゃん! すげぇ! あんたすげぇよ! って心から感動させられる。

あと富野由悠季の「新訳Z」を思いだした。

「新訳Z」は……はっきり言うと、映画としての出来は……微妙だと思う。ただ僕はめちゃくちゃ好きで、それはなぜかと言うと、見終わった後「ああ、前世紀から何十年も……宇宙をずっとさ迷い続けてきたカミーユの魂が、これでようやく救われたのだ」という深い感慨を得られたから。

それに近いものを今回、エヴァを見終わって感じることができた。シンジも、レイも、アスカも、カヲルも……90年代の終わりからさ迷い続けてきた彼らの魂が、ようやく安息を得たのだ、という感動があった。

よい物語は、受け手にも不思議な力を与えてくれる。

エヴァは間違いなくそういう物語になったし、人生のなかでも思い出に残る作品になった。傑作でした。

【つづく】

いいなと思ったら応援しよう!

しゅげんじゃ
きっと励みになります。