キャリコン実技試験 「傾聴」の奥深さを知る
自分の気持ちなんて、自分が一番よくわかってるよ
あなたはそんなふうに思っていませんか?
キャリコン資格の勉強をする前の私
キャリアコンサルタントの勉強をしようと思うまで、私は「傾聴」という言葉の本当の意味をわかっていませんでした。
今も本当にわかっているとは言えないかもしれませんが、少なくとも今までの捉え方は間違っていたことはわかります。
「傾聴」って人の話をじっくり聞くこと、だと思っていました。
「聞けばいいんだよね。大丈夫。私は自分が話すより人の話を聞く方が好きだし。いけるっしょ」くらいに思っていたんです。恥ずかしい。
考えてみれば、そんなはずはないんですよね。
「傾聴」のプロがいる。ということは本当の「傾聴」は誰でもできることではなく、高いスキルが必要なのです。
カウンセリングを学び始めてからの私
「傾聴」をはじめとしたカウンセリングスキルについての講義を初めて聞いた時、「まずいまずいまずいまずい。思ってたのとちゃう・・・」とかなり焦りました。
相談者との向き合い方、視線、表情、うなずき、伝え返し、要約・・・カウンセリングの技法がちゃんとあって、それらを体現することの難しさに頭を抱えました。
そして、それは単なる「動作」ではなく、「意味がある動作」でなければなりません。
カウンセラーの役割とは
カウンセリングを受ける意味は「わかっていると思っていたけど気づいていなかった自分や自分の気持ちに気がつくこと」にあるのではと、今は思っています。
カウンセラーと話すことで
「あ、だから苦しかったんだ」とか「自分て、そうだったんだ」とか「ここにこだわりがあるから悩んでいたんだ」と気づく。
そこがスタート。
まずそのスタートに立つことをサポートするのがカウンセラーです。
だから、カウンセラーは発言全てに「意図」がなければなりません。
これが、キャリコン受験生みんなが悩むところではないでしょうか。
「意図のある質問」
難しくないですか?
「自分の興味からの質問」と「相手に何かを気づかせるための質問」
この違いです。
例えば
「課長への昇進を打診されたんですけど、なんとなく気が進まなくて」
というご相談者がいたとします。
「昇進なのに、どうして嫌なんですか?もったいないですよ!」
この応答はカウンセラーとしては、NGです。これじゃあ、カフェで友達に相談してるのと同じです。
昇進=嬉しいこと
これって、カウンセラー自身の思い込みですよね?
心の中で
「昇進は嬉しいことのはずなのに、なんで嫌なんだろう?」
と思ってしまうのは仕方ないとしても、口に出すべきではない。
「昇進を打診されたけど、気が進まないのですね。」
と、一旦相談者の気持ちを受け止める。初手はこれで十分なのです。
それから
・相談者が考える「課長」とはどういうイメージなのだろう?
・今の職務ですでに悩み事があるのだろうか?
・家庭(プライベート)で何か問題を抱えているのだろうか?
・自分には課長職は荷が重いと考えているのだろうか?だとするとその理由は?
など、相談者を囲む環境やこれまでの経験についてじっくりと話を聞いていく必要があります。
その時に意識すべきは
「自分(カウンセラー)が知りたいからきく質問」ではなく、「相手に自分の気持ちに気づいてもらうための質問」であるべきなのです。
ややこしいです。
「え?これってどっち?私が知りたいだけ?相談者のための質問になってる?」と逡巡してしまうことも多々あり。
「自分の気持ちに気づいてもらうための質問」をするには「もしかしたらこうなのではないか?」というカウンセラーなりの「見立て」が必要です。
ここでは、けして決めつけになってもいけません。
ややこしいです。
「傾聴」は鍛錬が必要
試験には合格したとはいえ、傾聴スキルについては鍛え続けなければいけないと思っています。
繰り返しロープレ練習はしましたが、あれはあくまでも「練習」。
本物の相談者となれば、同じようにできるのか?同じようにすることを求められているのか?その場に応じて調整する必要はありそうです。
しかし「傾聴」の意味だけは自分勝手な解釈になってしまわないように。これからもずっと「意図のある質問」について考え続けたい。
自分が誰かをカウンセリングする立場になるなんて、これまで考えたこともありませんでした。
でも、なんの因果か55歳の今、ここに辿り着いたのです。
起こったことはすべて正しい
この言葉が好きです。
自分の役割をしっかり果たせるキャリアコンサルタントになりたいと思います。