ビジネスに必要なリテラシーとは?ITリテラシーだけではない
リテラシーはなぜ必要か?
仕事をする上でリテラシーの必要性が高まっていますが、リテラシーを正しく理解し、向上させようとしている人が少ないことに違和感を覚えています。
リテラシーがないと間違った意思決定を下してしまうばかりか、一緒に仕事をすることを敬遠されてしまう可能性もあります。
今回はリテラシーとは何か、深堀してみます。
リテラシーとは何か?
リテラシーとは特定分野の知識を活用する力のことです。ITリテラシーに代表されるように、現代ではITを使って仕事をする力はどの業界、職種であっても求められます。最近ではAIを仕事に活かすためのAIリテラシーも話題です。
仕事において求められるリテラシーにはどのような種類があるでしょうか。
リテラシーには大きく、全ての業界に必要なリテラシーと業界固有のリテラシーの2階層があると言えます。
まず分かりやすいのが業界固有のリテラシーで、業界に関連する人なら当たり前に知っているべき知識です。これを知らないとモグリと呼ばれるような知識です。
私がいた通信業界とIT業界を例にとります。通信業界であれば、通信回線とプロバイダの違いは当然のように理解されているべき知識でした。IT業界は裾野が広いのでSaaS業界に特定すると、APIはSaaS業界であれば当たり前の知識でした。
これらは一般の人からすると知っていなくても特に困らない知識、必要な時に理解すればよい知識なので、業界特有のリテラシーの範囲と言えそうです。
一方で全ての業界に必要なリテラシーとはなんでしょうか。先にITリテラシーを挙げましたが、これ以外にもあるのでしょうか。
私はITに加えて、法務と会計がリテラシーになると考えています。
どういうことか説明します。
まず、法務リテラシーですが、法律をたくさん知っているということではなく、社会的なルールである法律から社内ルール、はては社会規範の変化まで理解しているというのが法務リテラシーの高い状態と言えます。
昨今、コンプライアンスに代表されるように、ルール違反は会社・個人にとって一発退場の危険性が高まっています。
法律に違反していなくても、社内的に糾弾される事件もたくさんあります。
法律ではどうなのか、社会規範に照らしてどうなのか、判断ができる力はまさにリテラシーと言えます。
少し前にフリマアプリで余った肥料を売買し、肥料取締法に違反する事案が報道されました。この法律自体を知っている人の方が少数派だと思いますが、このように知らず知らずのうちにアウトの領域に足を踏み出さないためには、ある程度のリテラシーが日常生活でも求められます。
次に会計リテラシーですが、ビジネスは最終的に全て数字に置き換えて表現されます。そして、数字にもそれぞれ意味合いがあります。営業収益と営業外収益では会社にとって位置づけが異なります。営業収益は会社にとって評価されますが、営業外収益は何か理由がなければあまり評価されません。
同じ金額の売上であっても意味合いが異なってくるのです。
また、支出をするときにも、同じ金額でも交際費か会議費かによって意味合いは変わってきます。
このように会計上のルールを理解しておくことは、会社組織で働く上で必須なリテラシーと言えるでしょう。
リテラシーを向上させるためには
業界特有のリテラシーはその業界の人と仕事をすることになった場合には、必ず高めておきたいリテラシーです。営業先が全く畑違いの業界になった、共同事業を推進する提携先が自分と異なる業界になった、など異業種と関わるケースはたくさんあります。
その際に、相手の業界のリテラシーを知ることは、仕事を円滑に進めるだけではなく、一種の礼儀とまで言えるでしょう。何から何まで相手に質問をしているようでは、仕事相手として認めてもらえないでしょう。
その業界特有のリテラシーを高めるためには、業界に関連する書籍を数冊読むだけで事足ります。丁寧に読み込まなくても、複数の本で共通して登場するワードはその業界のリテラシーと言えるので、そういったワードや概念を理解していくと業界特有のリテラシーを高めていくことができます。
次にITリテラシー、法務リテラシー、会計リテラシーです。
ベースとなる知識は資格の勉強系で補うことができます。資格の取得は必須ではありませんが、資格取得の勉強を通して体系的に効率よく知識を習得することができます。
ITパスポート試験、ビジネス実務法務検定、日商簿記などは代表例でしょう。難易度の高い試験・等級は不要で入門級であってもリテラシーの向上に資することができます。
その上で、リテラシーは常にバージョンアップが求められますので、日々のインプットが大切になります。
一度汎用的な学習を済ませておけば、アンテナが立ちますので、新聞記事やニュースなどのメディアを通して、アップデートを繰り返していけば良いのです。
リテラシーはリスクマネジメントにも通じます。知らないうちにリスクが生じて、失敗してしまう、ということを避けるためにも、リテラシーを高めていく努力が求められます。
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