漫才「引退セレモニー」
兄 引退する野球選手の挨拶ってかっこいいですね。
弟 そうですか?
兄 そのかっこよさを伝えるから。ちゃんとできてるか見てくださいな。
弟 わかりました。
兄 (英語)
弟 日本語で遅れよ。
兄 阪神のメッセンジャーはこんな感じだったろ。
弟 日本人でやれよ。
兄 まずは僕を生んでくれた両親、阪神時代にかかわった人に心より感謝申し上げます。
弟 どこに感謝してるんだよ。
兄 思い返せば、10歳の時に野球をはじめ、プロを夢見てボールをおっかけ、やっと親戚のコネで願いが叶いました。
弟 コネって言うなよ。
兄 しかし、プロは自分が思うほど厳しく、必死に重たいバットを担いで無我夢中にイメトレをしました。
弟 イメトレをしたのかよ。
兄 その苦しみは今では僕の財産となっています。どうも、ありがとう。
弟 何も言ってないよ。
兄 2013年に阪神に移籍して2013年感激の優勝を味わいました。立て続けに2015年MVPを獲得して優勝。翌年、ビンゴ大会ではクオカードをもらいました。
弟 最後関係ないだろ。
兄 しかし、人生はうまくいきません。3年前に肩をけがしてから自分のパフォーマンスが思うようにできず、そこから炒飯の2文字がよぎりました。
弟 引退の2文字だろ。
兄 もう辞めたいと2,3度思いをしましたが
弟 2,3度かよ。
兄 ファンの皆様の臼倉の弾丸ヒットが見たい、弾丸ホームランがみたいという言葉に励まされ
弟 弾丸弾丸うるさいな。
兄 必死に頑張りましたが、今日ここでユニフォームを脱いでパンツ1丁にしました。
弟 パンツ1丁になる必要ないわ!
兄 正直な気持ち、悔いや心残りはあります。どうしても来年は炒飯が食べたかった。
弟 そっちの心残りだったのかよ。
兄 その杭はここにいる後輩に託すことにしました。
弟 迷惑だよ。
兄 そして敵チームの皆様参列していただきありがとうございます。
弟 敵チームにお礼を言うパターンね。
兄 相手チームは新監督を迎えチームの雰囲気がガラッと変わり、しかし一番目立っているのは監督でした。選手の皆様、選手より監督が目立ってどうするんですか。気を確かにもってください。
弟 説教するな。
兄 最後になりますがこの球場で左バッターに立ってフルスイングもありません。塁にも出れません。球場の炒飯を食べることもできません。
弟 最後は別にいいだろ。
兄 正直、私はさみしい。
弟 本当かよ。
兄 それをここにいる後輩が僕の分までやってくれると信じています。
弟 また後輩に背負わすな。
兄 そして外野を守っていると兄貴、ありがとうと看板が目につきます。それはファンの皆様に言いたい言葉です。たまにきついヤジもありましたが
弟 まあな。
兄 この件は一生根に持ちます。
弟 持つのかよ。
兄 しかし、大多数のファンはがんばれがんばれと背中をおしてくれました。うちのファンは生暖かったです。
弟 生はいらないわ。
兄 そして、生優しいです。
弟 だから、生はいいって。
兄 最後にファンの皆様に一言。本当に夢をありがとうございました。そして正岡子規さんありがとうございました。
弟 正岡子規は最初に日本で野球を始めた人だけど。
兄 (マイクを置く)
弟 いや、土まみれ。
兄 どう?引退セレモニーってかっこよかったでしょ?
弟 いや、そうでもないわ!
芸事だけで少しでも食べていきたいです。