STORES.jp リブランディングのお話
STORES.jpデザイナーの荒木です。こんにちは。
2019年7月10日、料金プランの変更に合わせて、STORES.jpのサービスサイトを一新しました。
STORES.jp は、本格的なネットショップが、誰でも簡単に作成できるネットショップ作成サービスです。今回そんなサービスのリブランディングプロジェクト第一弾として、サイトリニューアルを行いました。
この記事では、デザイナーやスタートアップの方々に向けて、2019年4月からこれまでのプロジェクトについてお話をしたいと思います(長いです)。
リブランディングの目的
結論から言うと、サービスが目指す世界観のアップデートに対応することが一番の目的です。
【目指す世界観のアップデート】
これまで:お商売を「誰でも簡単にはじめられる」エントリーブランド
これから:お商売を「自分らしく続けられる」メジャーブランド
サービス開始からこれまでの約7年間、STORES.jpはお商売を「誰でも簡単に始められる」エントリーモデルとして展開してきました。その後の市場の盛り上がりもあり、今では7年前と比べ物にならないほど多くの方が、お商売を始めるようになりました。
そんな今だからこそ、次に私たちが目指すべきステージは、お商売を「自分らしく続けられる」世界だと考えるようになりました。お商売を続けることは、始めることよりもきっと難しい。こだわりを持ったお商売が、楽しみながら続けられる世界を目指して、最初に決めたのはサービスとして初となる大きなプラン変更です。
そして、プランだけでなくブランドの在り方も目指す世界観のアップデートに対応すべく、4人のデザイナーを中心としたリブランディングプロジェクトをスタートしました。
お商売を「自分らしく続けられる」メジャーなブランドになるために
ありがたいことに、私たちは日々素敵なお商売とその成長を、特等席で見ています。その中で常に意識しているのは、ショップオーナーさんの大切なお商売の一部をお預かりしているということです。そんなオーナーさん達が、これからも楽しくお商売を続けていけるように、私たちは「メジャーなサービス」になる責任がある、というのがサービスの大きな方針でありチャレンジでした。
今回のリブランディングでは、「自分らしさ」が実現できそうだと思ってもらえるSTORES.jpらしさを表現し、安心して「長く続けられそう」だと思ってもらえる料金プランやプロダクト開発と合わせて、メジャー感を目指すことにしました。
STORES.jpらしさとは何か?
らしさを考える上で、最も重要視したのがブランドパーソナリティです。簡単に言うと、優しい、カッコいいなど、STORES.jpの個性を決める作業です。ちなみにリブランディング前のブランドパーソナリティがこちら。
・SIMPLE
・OPEN
・FRIENDLY
・QUALITY
「シンプル!簡単そう!親しみやすい!」という声をいただく機会も多々あり、お商売を「誰でも始められる」世界観においては、十分に役目を果たしていたと思います。
その一方で、クセが弱く、認知度が低いことが課題でもありました。これからの「自分らしく続けられる」世界観をつくるためには、STORES.jpらしさをもっと豊かに表現できるアップデートが必要でした。
何かが足りない?
※ 画像をかき集めてムードボードを作っている様子(怪しい)
市場のリサーチやインタビューの掘り起こし、弊社代表も巻き込んだムードボードの作成など大量のインプットを行い、徹底的に納得できるSTORES.jpらしさをメンバー全員で議論しました。
途中で「Googleさんになりたい」と言い出したり、ムードボード作成時のミスプリントが無駄にバズったりしながら、ようやく絞り込まれたパーソナリティがこちら。
・SUPER POSITIVE
・NATURAL
・CLEVER
これを元に、書体や文体、カラースキームの選定、ラフを複数案作成したのですが、妙にしっくりこないという事態が起きます。パーソナリティには確信が持てるのに、何かが足りない。
思い切ってブランドパーソナリティを見直そうと決めた時、ヒントになったのは、ショップオーナーさんたちが実際につくった数多くのショップデザインでした。どれも強いこだわりと楽しそうな個性があり、ワクワク感を覚えました。
スパイスを加える
STORES.jpは現時点で、無限の拡張性を持つサービスではありません。むしろ、本当に必要な選択肢だけに絞り、必要な分だけを選んでもらうことで、シンプルなショップ運営を提供しています(もちろんまだ道半ばです)。
「いいね、分かってるね」と思ってもらえる選択肢を用意し、その選択の繰り返しが、ショップオーナーさんのこだわりや個性となってお商売に楽しさを加える。STORES.jpは、そんな楽しさが集まる「ユニーク」な場でありたいという思いからできたブランドパーソナリティがこちらです。
そして、最後に加えた「UNIQUE」がきっかけとなって生まれたのが、「SPICE」と呼んでいる有機的でランダムなパターン群です。
STORES.jpはあくまでショップオーナーさんのお商売が主役であり、私たちはその引き立て役です。組み合わせによって様々な個性を引き出す機能を提供し、お商売の魅力を最大化することを香辛料になぞらえています(ちなみにそれぞれのパターンに香辛料の名前がついています)。
この「SPICE」をSTORES.jpらしい楽しさの象徴として、ブランドが目指す新しい世界観が決定しました。
サービスカラーの変更
ブランドパーソナリティの変更に合わせて、サービスカラーとサービスロゴの見直しも行いました。こうして並べるとファ○マ感がありますが、緑の方が新しいカラーです。
この色は「なにかの始まりに寄り添う色」として、朝日に照らされた自然(木々)の色をイメージしています。これから新しい挑戦をする人の背中を後押しする色として、メジャーとしての安心感や安定感を与える色として、そして「NATURAL」というブランドパーソナリティを表現する色として採用しています。
サービスロゴのリファイン
サービスロゴについては、根本的な問題点があった訳ではありません。しかし、メジャーを目指していくサービスの成長を見越して、このタイミングでロゴの機能面でのいくつかの脆弱性を改善することにしました。
・サービス名が「STORES.jp」なのに、大文字の「JP」表記になっている
・線の太さが見た目として統一できてないように見える
・シンボルとロゴタイプの位置関係が不安定
・狭い空間に配置した時の上下左右の中心が取りづらい
これまでの印象を残したまま、自然で安定感のある、より強い形状にバージョンアップしています。ちなみに弊社代表の塚原は当初アップデートに気づきませんでした笑。
キャッチコピーの変更
最後はキャッチコピーです。これまでのSTORES.jpは、お商売を「誰でも簡単にはじめられる」エントリーブランドであり、「最短2分で、驚くほど簡単にオンラインストアがつくれる!」というコピーを使用していました。これには愛着があり、実際「最短2分」でサービスを認知してくれている人もいました。
でも、これから目指すのはお商売を「自分らしく続けられる」メジャーブランドです。自分らしいこだわりが表現できて、長く使えそうで、かつ短いコピーという難題に弊社代表と2人で永遠に悩み続けていました。
その様子をたまたま近くで見ていたから社員から、ポンっと出てきたのがそのまま採用となる「自分でつくれる、本格的なネットショップ」でした。自分でつくれる、こだわれるという表現と、本格的なものがつくれるからこそ、長く使うことができるという表現がうまくマッチしました。
これでようやく、新しいSTORES.jpはスタートを切ることができました。
長くなりましたが...
これでも駆け足で今回のリブランディングについてお話ししてきました。やりたいことはまだまだ沢山あり、課題も山積みです。そもそもブランディングに終わりはなく、サービスサイトのリニューアルでようやくスタートラインに立てたかな、というのが正直な今の気持ちです。
これからも、一人でも多くの方がお商売を楽しめるように、私たち自身が楽しみながらサービスを発展させていきますので、新しくなったSTORES.jpをよろしくお願いいたします!
7/13 追記
今回ご紹介したSPICEの壁紙無料配布中なので是非!
今回のデザインチームのインタビュー記事がこちらです