詩「フロムユートピア」
ユートピアからやってきた
吟遊詩人のお出ましさ
とんがり帽子は折れている
心の代わりに折れてんだ
あなたと一緒に沈んであげる
優しい男さ、皆そう言う
沈んだ先で冷たくなって
残された花は拾ってゆくよ
煙草のけむりで隠せばいい
浅い呼吸と宝物
だからなんだと知らん顔
ユートピアからやってきた
吟遊詩人の夜のうた
緑のマントは擦り切れた
あなたの代わりに擦り切れた
あなたも一緒にうたうのかい
イカす男さ、皆そう言う
あなたはどこかへ立ち去って
残された僕はひと息つくよ
心を動かす誰かがいれば
本当はひと息つかない瞳
ふーんそうかとしたり顔
楽園、楽園、ユートピア
辿り着けない場所にある
なぜならそれは来た道だ
来た道を戻るパレードが
どこの世界にあるんだい
来た道を戻るパレードが
冴えない誰かを笑わせる
来た道を戻るパレードが
ギフトの見つかる方向さ
ユートピアからやってきた
吟遊詩人の足元を
横切る黒猫
咲いた花
胸を張ったら咳が出た
さあ遠回りだと鈴鳴らす
ユートピアへと踏み出した
とんがり帽子は折れたまま
擦り切れマントがはためいた
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