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槙島驟
2022年9月6日 20:33
人を殺した。 いや、正確には「殺してやった」のだ。目の前に転がってる女の死体は、つい先程まで俺に向かって笑顔を見せていた生きた肉の塊だった。自分で殺したくせに、俺の腰はすっかり抜けてしまったようだ。呼吸は浅く、心臓は早い脈を打っている。その音は耳のすぐ近くで鳴っているかのようで、彼女を殺した俺の両手は手汗でびっしょりと濡れて、小刻みにぶるぶる震えている。手相の溝で汗がキラキラ光るのが無駄に綺麗