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日進月歩 ~Road to MBA~#88

2021/3/5:Digital Shift Summit(基調講演)
 現在通っている立教のビジネススクールの先生でもある田中道昭先生が登壇されるということで聴講させていただき、今後のデジタルシフトにおける世界がどうなっていくのかを学ばせていただいた。「日進月歩 ~Road to MBA~#87」に引き続き、次なる内容としては、『Talk Session:日本企業がデジタルシフトでGAFAに打ち勝つ方法』について講話いただきました。両者に共通していた内容としては、「カスタマー中心(顧客中心)」、「スケールフリーネットワーク」、「エコシステム」があったように感じており、それぞれ講話をお聞きしていく中で感じたことを、自分なりに表現したいと思います。

■Talk Session:島田太郎氏(株式会社東芝)

 EC化がコロナ禍によって急激に進んでいる中で、ネット企業が逆に”リアル”を求めてフィジカルに進出するという動きが見られている。今後は「人」を中心としたデータの紐づけが必要となってくると言われており、調査によるとまだEC化率は3割程度で、7割程度のデータはどこかに埋もれているとの結果が出ている。そのため、未だGAFAと戦っていけるだけの市場というのは隠れて存在しているため、いかに顧客を中心としたデータの紐づけが横断的に出来るかが重要になってくると考えているためである。

 興味深く聞いた内容として、「モノ」から「コト」消費になっているというお話をよく聞いていたが、実際はそうではなく、コトが起きる「場」が重要になるというお話であった。場所を作ることでネットワークが形成され、様々なイノベーションが生まれていく。例としてあがったのが、FacebookやInstagram、最近ではClubhouseといった場所があることで、人と人が繋がり新しい価値を生みだしていくといった現象事例をきくと、納得する部分が多い。clubhouseという場で人と人が繋がり、モノやコトを生み出している事例を多く聞くことができ、また国を越えた繋がりが生まれている。ちょっとした発想の転換が、こういったビジネスを生み出していくのだと改めて感じました。
 
 東芝方式はその中でも、「CPS(サイバーフィジカルシステム)」という分野にスケールフリーネットワークを生み出していこうと考えているようだ。例として説明されたのが、「スマートレシート」というレシート電子化サービスである。

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 レシートをアプリで管理するというものであるが、今までの店舗だけのポイントカードやクーポンではなく、様々な店舗を横断したプラットフォームとして活用ができる特徴がある。事例としてご説明いただいたのが、「会津スマートシティ」での取組みであった。生活者を中心に、業種を超えたデータ統合をすることで顧客価値をさらに高めていく狙いがあり、実店舗でのレシート情報(購買履歴)を起点とする「レシート情報×クーポン」、「レシート情報×地域ポイント」などのサービスによって、より便利で快適、お得な生活を提供していた。高度なマーケティングや広告による「レシート情報×潜在ニーズ」、「レシート情報×健康」を活用することで、集客や売上の拡大、商品開発、サプライチェーン効率化などの効果をもたらそうと模索しています。”データ”というものは購入した店舗のものではなく、購入した人の財産になるようなエコシステムの構築を目指しているそうだ。
※『東芝データ、「スマートシティ会津」に参画』より抜粋

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■Talk Session:田中道昭氏(立教大学ビジネススクール)

 どの産業も競争に打ち勝っていくために変化し、最終的には「エコシステム」というキーワードにたどり着くことを、様々な事例を基に講話いただいた。日本企業がデジタルシフトでGAFAに打ち勝つ方法を、➀スマホでの事例、②個人金融での事例、③製造業での事例から紐解いてお話をいただきました。

 まずは➀スマホでの事例では、携帯電話の王者ノキアがアップルに敗退した理由から、当時のノキアCEOが全社員に送ったメールでの言葉の中に、

『競合他社はデバイスで市場シェアを奪っているわけではなく、エコシステム全体で市場シェアを奪っているのです』

といった内容がある。競争の条件が変化し、「スマホ(商品)」⇒「OS(プラットフォーム)」⇒「ハード・ソフト・サービス全般(エコシステム)」となってきているのだという。それは時価総額の推移からも想定が出来るものである。(「アップルの時価総額、2兆ドルを突破--約2年で2倍に」参照)


 次に②個人金融の事例では、アマゾン、アリババ、LINE等が金融に参入したことによって、「金融の垂直統合化」が起きているとご説明いただいた。圧倒的なユーザー数を誇るLINEが消費者金融に参入し、LINE Payでのシームレスなローンを提供している。また、アマゾンもレジレスコンビニである「amazon go」を開店させ、ただ立ち去るだけで決済が完了するというサービスをはじめている。どちらも重要にしているのは「消費者の利便性」であり、まさしく競争の条件が変化し、「金融商品(商品)」⇒「決済アプリ(プラットフォーム)」⇒「ハード・ソフト・サービス全般(エコシステム)」となってきているのだという。

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 最後に③製造業の事例では、アマゾンがついに製造業DXに進出して5つのIoTサービスを開始した内容から、製造業のレイヤー構造も変化していくといったご説明があった。競争の条件が変化し、「IoT機器など(商品)」⇒「プラットフォーム」⇒「ハード・ソフト・サービス全般(エコシステム)」となってきているのだという。
 このようなディスラプター企業に日本企業がどう対抗できるようにしていくのか、そのためには、1社独占のプラットフォームやエコシステムでなく、日本企業の共創における「スケールフリーネットワーク」が重要となってくるとお話いただいた。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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