編集とは、「?」を残すこと 〜地域編集会議 in愛媛レポート〜
去る2024年4月3日、サイボウズ松山オフィスに藤本智士さんをお招きして「地域編集会議」を開催しました!
今回のレポは、私の「モヤモヤ」とともにお届けします。
私の実績って何だ!?
イベントの冒頭30分は、藤本さんの自己紹介のような実績紹介だった。
秋田の伝説のフリーペーパー「のんびり」の話や…
藤本さんが編集したプロダクトのこと、
編集した本や展示会、フリーペーパーのこと。
芸能人の名前が多々出てきたり、「のんびり」がフリーペーパーとしての発行を終えるときにたくさんお礼の手紙が来たことを聞いたり、イベントを企画して大成功した話をきいて…
「これ、私には、絶対できんわっ!!!」
ってなったのでした。
藤本さんは、ずっと「無形の編集」「地域編集」をやってきている人で、私も屋号を「せいかつ編集室」とするぐらい、無形の編集を愛しているし、地域の仕事をするために個人から法人化したほどなのだけど
でも、なんというか…
私には、
「藤本さんみたいな、大きなこともできないし、細やかなこともできない。クオリティ高くできない」
って思っちゃったんですよね。
この感情は、「比較して凹んだ」とかそういう類のものではなく、私には私としてのやれることが他にあるんだろうな、という感覚でした。
そもそも「地域活性」は必要なのか
藤本さんのお話が終わり、今回のメインであるトークセッションへ。
今回のゲストは、右から
高知県で写真と編集の仕事をしている閃光舎かずさまりやちゃん、
松山市の出版社SPCにてマチボンなどの編集をしている 和氣敬憲さん、
そして、西予市で郷土マガジン「だいちのめ」の編集をしながら森のようちえんヒュッテを運営している加藤千晴ちゃん
そして私、大木春菜が進行役をさせていただきました。
みんなで「地域編集」を軸に、いろいろな話をしたのだけれど
和氣さんから「先日、路地裏を歩いていて、古い喫茶店や、お肉屋さんを知り、ガイドブックやウェブサイトには載っていないお店と出会った」という話を聞いた時、
「あ!そのお肉屋さん、私、パンフレットで紹介したことがある…!!!」って気がついたんです。
そのエリアでは、あの店しかないはず。
パンフレットをつくっても、それが読まれるとは限らないし、紹介しところで、人は動かなかったり…する。
しかーし!カフェとかパン屋さんの新店舗とかは、みんな行くんです。
でも、老舗の喫茶店とか、商店街のお肉屋さんとかには、案外足を運ばなかったり…するんですよね。
いや、少しはいるんだと思う。
少しの人は動くけど、やっぱりたくさんの人が動くのは、そっちなんだと思う。
じゃあ、「そもそも何のために地域をアピールするんだろう?」と、疑問が生じてきた。
そもそも、「紹介してほしくない」というお店もたくさんある。古い店とかは特にそう。
特に新しいお客さんを望んでない場合も多い。
行政の仕事をしているとよく、「関係人口を増やす」という目標が出てくる。
地域や地域の人と関わる人数を増やしましょう!というやつ。
むーーー…そもそも、それって増やす必要あるのかな?とすら思いはじめた…。
「よそもの」が気づくことが多い!でも自分で気づこうぜ!?
冒頭の藤本さんの話でも出てきたけど、
あなたの「ふつう」と、ぼくの「ふつう」は違う
だから、「よそもの」が「地域のよさ」を発見するのは当然のこと。
自分では「当たり前」と思っていることが、よそから来た人にとっては「めずらしい」から。
私は、今、日常の「当たり前」に気づいて感謝する「感謝ワーク」をやっているのだけど…。
やっぱり、それぞれが「自分の住んでいるところ」の魅力ついて、もっともっと感じることができたらいいのかな、と思う。
「地域」と区切らなくてもいい。
当たり前を当たり前と思わずに、「うちのここが豊かだなー」「楽しいなー」と感じることが、住む人の幸せにつながると思ってる。
「地域のよさ」って発信しなきゃダメ?
私は、「これが大好き大好き!」と言ってる人が苦手だ。
むちゃくちゃ天邪鬼な理由だけど、なんだかポーズに見えるから。
本当に好きなら「好き好き」言わなくてもにじみ出ている。
なんか、「好きって言ってる自分が好き」という感覚が苦手…。
「地域のことしてる」というと、なんだかイイコトしてる風な気がする。
「地域のことがしたい」とずっと思ってきた私だけど、トークを進めるうちに
「あれ?私、“地域”きらいか?」
となってきてしまいました(笑)
「スッキリしない」を怖がらない
トークを進めるうちに、私はだんだん不思議な感覚になってきた。
「じゃあ、どうすれば?」
みたいな感覚。
「地域編集ってそもそも必要なのか?」とか。
悶々としはじめて、それを藤本さんに伝えた。
なんか、混乱しはじめてしまいました😵💫
と。
すると藤本さんが
編集者って答えを出す人じゃなくて
考え続ける人、
問いを立てる人なんじゃないかな
質疑応答のときに、藤本さんが「この質問って、そもそも問い自体がフォーマット化してると思うんですよね」と言って、ドキッとしたのだけど…編集のシーンでは「ここに到着したい」と、ゴールを設定して進めることが多々ある。
編集者は答えを出さなくていい、
ただ問いを更新し続けて、
悶々としたままでいい。
その答えを聞いて、私はとっても気持ちが軽くなったのでした。
「はて?」を持とう
今、朝ドラの「虎に翼」が大好きです。
主人公の寅子の口癖が「はて?」なのですが…
私は、この誰を責めるでもない「問い」のスタイルが好きです。
寅子は法律を学んでいるのですが、ただ学ぶだけではなく「法律とは何か?」とずっと問い続けています。
私も、ずっと「編集とは何か?」とずっと問い続けています。
まだ答えは見つかってないし、答えはないのかもしれないけれど…
この「問い」がある状態って、とっても幸せだなーと思いました。
ー地域編集とは何か?
私はずっと問い続けていきたい!
そう、心を新たにしました。
写真:吉田真也