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36歳の誕生日と、LINNÉ創業4ヶ月迎えました

お祝いメッセージいただいた皆様、誠にありがとうございます!
おかげさまでLINNÉ(リンネ)を創業して4ヶ月となりました。

36歳年男となり龍の飛翔の節目にするべく、フランスからの帰国時の構想を一歩ずつ実現しています。年明けから各地視察ののち、福島・新潟を転々とし4種の新しいお酒を造らせていただき、ひとつひとつの出会い・ご縁によって蒔かれた種が数ヶ月経って少しずつ芽を出しつつあります。
全体としては、「博物学者リンネ」の視座で自然界に広がる素材や発酵に向き合いつつ、敬愛する「宮大工」の世界で職人と道具(身体拡張)の関係性を深め、寿命を超えうる時間軸のものづくりや技術体系を志していきます。現時点の進捗と目指す未来をご報告します。



①『800 YAO』旗揚げ


まず、「麹」をテーマにしたSAKEたちが次々と完成しています。福島・haccobaさんで大麦麹(先行販売verと樽熟成)、新潟・阿部酒造さんで蕎麦麹と米麹、さらに先の準備も進めています。自社醸造所を持たないファントムブリュアリーとして創業させていただき、多くの関係者様に支えながら初めて実現しています。そして、最終的にお客様に届けるため、コンセプトからその実装まで心から信頼する素晴らしいチームLINNÉが形成され、そうして繋いだバトンが8/21より初リリースを迎えました。

名は、『800(YAO, ヤオ)』といいます。
八百万の神などの八百(=物事の数の多いこと)に由来し、あらゆるものに神を見出す日本人の精神性に倣い、あらゆるものから酒を生み出す姿勢を込めています。
そして、多元的価値観を肯定し、「異を醸す酒」をコンセプトに、”クロスボタニカル”を醸造の特徴としています。これまで開拓してきた知見経験を継承しながら、21世紀にふさわしいSAKEの再定義・並行複発酵の解放を目指していきます。

8-9月で大阪・東京とお披露目イベントが続きますので、先行販売試飲にぜひいらしてください!少量生産のため各催事、限定数量のみのご提供となります。

◎大阪

  • 8/21(水)-26(月) : 【LINNÉ初リリース】第3回 発酵デザイナー小倉ヒラクの発酵マーケット 麹/KOJI~クラフトな酒、味噌、醤油~ | 阪神梅田本店
    ※おかげさまで初日から多くの皆様に購入いただき、昨日今朝時点で【完売】となりました!おこしいただいた皆様、ご案内ができず申し訳ございません。ご購入いただいた皆様、誠にありがとうございました!!!

    発酵マーケットは、800醸造元のhaccobaさんをはじめとする魅力的なクラフトサケ、日本各地の発酵食品にあふれた素晴らしい催事です。 LINNÉ売場分は完売ですが、本日最終日に僕が駆け付ける際の提供分数本はストックしてあります!ぜひ最後までいらしてください

◎東京

  • 9/8(日)13-15時 : 【限定25名、前売チケット制】『日本酒はおいしい!』刊行記念トークイベント第二弾 「Linné」今井翔也さんに聞く 日本と世界で進化するサケの近未来@神保町「PASSAGE bis!」(東京初披露!800×3種生酒ご提供予定)

  • 9/11(水)-15(日) : 【全日程います】 全国64蔵の若手醸造家が集まる日本酒イベント「若手の夜明け」東京・大手町で開催!|Makuake ※9/11-12 haccoba、9/13-15 阿部酒造とハシゴするため全日程います!(800×各1種ずつ生酒ご提供予定)

9月末には全国の皆様向けにクラウドファンディングを予定しています。また、食のプロフェッショナルの方向けには、先行限定販売を近々ご案内します。
情報発信体制も拡充を進めていますが、直近のものは一覧としてLinktreeを更新していくのでご参考にしてください。最新情報の全体向けはLINNÉ OfficialのInstagram・今井個人各SNSにて、プロの方向けはメーリングリストを準備しましたのでフォローご登録いただけましたら幸いです!自社製造拠点の体制が整うまでは、限定数量でのご案内となるので、何卒ご了承をお願いいたします。

②LINNÉの未来

博物学者リンネに最大限の敬意を表し、自然界のCELL / HUMAN / PLANET全方位に醸造家として攻めを続けます。これら各思考スケールに対して、SAKE / KURA / CULTUREのプロダクトを創り続けます。「日本酒を世界酒に」するまで、攻めの手をゆるめることはありません。

次のテーマは、アジアです。
ここ4年半ほどは、欧州・米国での経験を日本と相対化しながら、酒造りと思索を重ねて巡ってきました。『800 YAO』醸造の実現のため、直近では九州の焼酎技術から大きく学び、蒸留と醸造の相互交流を一段と深めています。さらに、麹や稲作のルーツを遡る過程で、アジアの醸造技術を融合した技術体系を目指していきます。
ちょうど8/21から中国ハルビン出張で、第11回国際酒文化・科学技術研討会にLINNÉとして参加し、昨日帰国しました。東京大学名誉教授である北本勝ひこ先生(大学時代隣の研究室というご縁)からのお誘いで、大会2日目《Session 6 醸造の持続可能な発展》の『多様な原料の並行複発酵による清酒製造技術の拡張』という演目で、日・中・米・英・台からの参加者300名ほどの前で発表してきました。(※長くなるので詳細は別途ご報告します)
この学会は、30年ほど前に同じく東京大学の坂口謹一郎先生の系譜から生まれた日中交流の学会です。麹をご縁とした日中技術者の人的繋がりで、アイデンティティを深化させていきます。

LINNÉの本拠地である京都拠点もありがたいご縁がたくさん繋がり、着々と準備が進んでいます。いよいよ候補地を決める段階です。これは共同創業者で京都伏見出身のシェフ小林の大きな尽力のおかげです。日本文化や技術の中枢を形作ってきた技術者集団「秦氏」の背中を追い続けながら、SAKEの成り立ち、秦氏と賀茂氏との関係性など、京都の奥行きを紐解いていきたいと考えています。東京イベントを除いた8月末〜9月は京都滞在予定で、未来の準備をしていきます。
「クロスボタニカルの世界観」にまで、SAKEを再定義する。これだけ大きな価値の変動を起こすには、“日本人”のアイデンティティに向き合わなければいけません。多くの皆様の力を借りて、ようやく実現に近づけると考えています。いつも支えていただき、本当にありがとうございます。

③最後に

“Uncorking The Past”
人生の指針のひとつとして、岡本太郎の言葉「過去によって現在があるのではない。逆に現在があって、はじめて過去があるのだ。」があります。未来を志すものづくりは、新しい過去を浮かび上がらせることでもあります。『Uncorking The Past』とは、考古学者パトリック・E・マクガヴァンの著書(邦題『酒の起源』)です。大きな伝統歴史を背負いつつ、すでに四半世紀がすぎようとする21世紀を意味ある区切りとするため、あるべき酒の在り方を素材や発酵を通して探求していきます。
AI隆盛と人新世の時代、身体性と多元性をテーマに、食・発酵の世界はどこまでもいけることを示していきたいと考えています。30代、駆け抜けていきます。

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