ドンブラ第22話「じごくマンガみち」【感想文】
これって本当に30分番組なのか。
そう思いながら視聴した30分間だった。実際は、30分にも満たない放映時間の筈なのに内容がとにかく濃い、濃すぎると、いつも以上に感じたのだが、それは何故だろう。
今回は、はるかの描く実際のマンガ描写、そのマンガが実写化された妄想場面、現実世界でのお話(あと、スランプ天女の舞とかな)とこれらが目まぐるしく入れ替わる展開となっている。
ここに秘密があるのだろう。
いくつもの場面転換が積み重なることによって、話の密度の大きさ(内容の濃さ)を、これまで以上に感じられたのだと思う。あの短い時間にこれでもか、これでもかと様々な場面がぎゅっと詰め込まれて、体感時間が30分を超えてしまうのだ。知らんけど。
さらに、これを後押ししているのが、ドンブラスターで強制的(拒否しちゃう時もあるけど)に戦場へワープという設定だ。今までマンガ描いてたのに、次の瞬間には鬼退治だよ。ずっと見続けてきた視聴者には、まったく違和感がないこの場面転換で、日常(監禁されてマンガ描かされてるけど)と非日常(戦い)の切り替えがタイムラグなしで行われる。実に素晴らしい発明だな。
これらの目まぐるしい視点の切り替えが、30分弱という小さな箱を、いろんなお菓子をたくさん詰め込んだバラエティ豊かな可笑しなお菓子の詰め合わせへとグレードアップさせてるんだなあ。
この素敵なお菓子の詰め合わせを実現するためには、涙ぐましい努力が必要と東映公式の裏話で知った。
マンガ原稿に合わせて実写場面を構築し、時には実写場面に合わせてマンガを描いてもらう。全体像の分からないジグソーパズルをこつこつやってるような感じか。
おもしろい話を作るために、裏では、スタッフが一丸となってたゆまぬ努力を積み重ねている。その努力の結晶が作品となり、我々は毎週、それを楽しませてもらってるんだなあ。本当に感謝。
これからも、素敵で可笑しなお菓子食べさせていただきたい。
さて、今回のお話でクローズアップされた漫画家・椎名ナオキ。1話の盗作疑惑で名前が出てきただけで、以降、影も形もなかった(マンガの表紙で名前だけ、あと映画にはちょこっと出てくるが)このキャラクターが、ここにきて最重要人物となって表舞台に。
なぜ、「最」なのかと言えば、このウサギの「中の人」の正体こそが、このドンブラ世界のシステムを解明するキーマンとなると考えられるからだ。知らんけど。
なぜウサギの着ぐるみで正体を隠すのか。
なぜ同じ味のビーフストロガノフを作れるのか。
なぜ、はるかと同じようなマンガを描けるのか。
何でだろう?可能性はいろいろ考えられるが、まあ、誰もが考える人物がその正体だとすれば、それを可能とする世界とは、どんな世界だ?ということで、ドンブラ世界の有り様を解明する手がかりとなりそうではないか。知らんけど。
よく考えなくてもそうだが、このお話には正体不明なキャラクターがたくさんいるんだよなあ。
みほ=夏美。ジロウ。ムラサメ。もっと広くとらえれば、脳人や獣人もよく分からない存在だ。そもそも、主人公の桃井タロウにしてからが、よく分からない存在だし。さらに、これに椎名ナオキが加わる訳だ。
これらの謎が、物語をさらに魅力的なものにしている。懸念があるとすれば、それら全ての正体が最後には解き明かされることを切に願う。決して「なかったこと」になりませんように。
余談だが、「貴種流離譚」という言葉がある。知らない人はググろう。簡単に言うと、物語のパターンの1つに「高貴な生まれの主人公(英雄)が、諸事情から俗世を放浪し、様々な冒険を重ねて、やがて英雄として成り上がる」というものがあり、これを「貴種流離譚」というらしい。
ドンブラザーズにおける、「桃井タロウをめぐる物語」とは、まさにその貴種流離譚の典型と言えよう。知らんけど。
「ドンブラザーズ」は、「ドン王家という高貴の生まれながら、王家滅亡にともなって人間界(俗世)に流され、放浪こそしていないものの、様々な冒険を重ねて成長していくという、タロウの成長物語(貴種流離譚)」として語られる側面があるわけで、この物語のパターンに沿うならば、(大塚英志という人が「物語の体操」という本で語ってることによれば)ラスボスは、タロウの父親になるんだけど、どうだろうね。
脚本の井上大先生が、貴種流離譚のことを知らないはずはないので、そのパターンそのままにお話を作るとは思わないけど、1つの可能性として頭に入れておくと、お話をおもしろく見られるかもしれない。
あ~疲れた。
いつもは、140文字でつぶやいてるだけなのに、最初はそのつもりだったのに、今回の感想はそれじゃ全然収まらんということでこんな長文になってしまった。
要は、いつも楽しいお話を見せてくだ
さって感謝しています。これからもがんばってください、ということでした。(おわり)
補足…正体不明のキャラクターの代表格とも言える人を忘れておりました!喫茶どんぶらのマスター、五色田介人。君こそ何者だ?
この記事が参加している募集
よろしければサポートお願いします。もし、御支援いただけたときは、大好きなみたらしだんご(コンビニで百円くらいで売ってるの)を食べて、また創作に励みたいと思います。