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「出版秘話!【感性のある人が習慣にしていること】」

そう、前の投稿でも書いたように、
先日、人生初めての書籍を出した。

「書籍を出す」ことは、結構昔からの目標でもあったが、
チャンスは不意に、訪れた。

今回私が執筆した本は
「感性のある人が習慣にしていること」だった。
(1/21 発売!絶賛、全国の書店、amazonにて販売中。)

2021年ほぼ1年間取り組み、書き上げたこの本。
270ページには収まりきらないこの本への思いや
出版秘話を、noteでまとめてみようと思う。

言葉との出会い

文章を書き始めたのは、14歳の事だった。
当時私は中学2年生で、いじめにあっていた。

中学校受験で受かった学校をけり、
自身で公立の中学を選んだのだから
親にも申し訳なく、鬱々としていた気持ちをぶつける先もなかった。

その時に見つけたのが「日記」だった。
毎日、言葉を記すようになり、
感情を表す「痒いところに手が届くような表現」を見つけると、
それに自らが癒やされるようだった。

そこから、時代は移り変わり、
様々なブログのサービスを経て、様々なSNSで発信していく時代となり
言葉を出しやすくなった。

おまけには、
自ら作る陶磁器ブランドSIONEのコンセプトも「読む器」。
器にものがたりを付け始めたくらいだから、
私にとっての文字の《表現》は、少々年季が入ってるのかもしれない。

そんなことで、言葉というものに救われてきた。
だからこそ、
何か言葉に恩返しができればと思っていたのかもしれない。
美談ではない。
きっとそうだった。

本を出したきっかけ

ある時、友人からの紹介で、作家エージェントの渡辺氏と会った。
豪快な笑い声、人を見る目の鋭さ、いちごケーキ好き。
というギャップがかわいすぎる方だった。

意気投合し、なんどか飲みにいったりもした。

時が過ぎ、最初にご紹介いただいてから、
企画が具体的に進んだのは2年後だった。

タイミングは不意に訪れた。
「感性」というキーワードが浮上してきて、それを書ける人、、、
そこに、ぽんっと飛び乗れたことだった。
タイミングやチャンスってそういうものだ。私も自分の学んできたことを言語化できるのなら、と、とても嬉しくおもった。


▽詳しくは、そんな事も語っているこちらのyoutubeもどうぞ。


執筆スタート

2021年1月
目次をまとめたものを見ていただいて、企画が通り、
コロナ真っ最中の2021年の頭に、
クロスメディア・パブリッシングの担当編集者である石井氏と初めて会い、
執筆がスタートすることになったのだった。

私の大好きな映画の「アマデウス」に描かれているモーツァルトが、
クライアントに「曲はまだできあがってないのかね」と詰め寄られたときに
「ここに出来上がってる。あとは譜面を書くだけ」と自分の頭を指さすシーンがあり、
私はそのシーンが大好きなのだが、
だいたいの私たちはモーツァルトではない。

目次を書いたらもう8割完成している、というのは嘘だ。
当たり前のことだけど、
これだけは、、、、これからもし本を書く人がいたら、伝えたい。

そして発売までのスケジュールが決まり、
とうとう執筆シーズンに入ったのは、2021年春のことだった。


これまで、自分の好きに表現できるフィールド(ブログ)で
好き勝手書いてきた。
だけど、今回は違う。
関わる人が多い。届ける分母も大きくなる。
とにかく、「人に伝わる本」を書かないといけないという
責任があった。

まずは、「感性」という言葉を、再定義することから始まった。

「感性が高い人ね」「感性を養おう」「感性が研ぎ澄まされる!」など、とらえ所のない言葉ではあるが、生活のなかで頻出する言葉だ。
だけど、けっこういつも雰囲気で使っている節がある。

・「センス」という言葉とどう違うのか、
・「感性」を得ると、どんなメリットがあるのか。

そのあたりを徹底的に考え、渡辺氏や石井氏と議論した。

私自身、実家は茶道具を作る窯元で、
ものづくりや茶道に近いところで育ってきたし、
ずっとものづくりに関わる仕事ををしてきた。

「感性」を養うには良い環境で生きてきたとも言えるかもしれない。

「自分の中のあたりまえ」だけど「人にはあたりまえではないこと」を
まずは掘り下げようとした。
そこが、今回のキモだ。

じゃあ、自分が習慣にしてきたことって何だろう。


2つのトラップ

書き進めると、なんと大きなトラップがあった。
1つは、文章の癖が出てしまうことだった。
ついつい「エモい」文章を書いてしまうのだ。

「感性」とは、「外からの刺激を感じ取る力やその気持ち」と辞書にはある。
つまり、可視化できないことだ。
気持ちを表現するとき、ついちょっと感覚的な文章になってしまう。
そして、自分の体験談をいれると、それは強調されてしまう。

それを読んだ読者は、「なんとなく分かった、けど煙に巻かれた」ような気持になり、
真髄の意図まで理解できない。
読者を途中で置き去りにしてはいけない。

これが難しかった。
文章の癖というものがあった。
ダイアリーやは自分の為のものだし、
エッセイは自分の感じたことの話だが
こういうメソッドを中心とした本になると
論理的に「感覚」を説明しないといけない。

いかに今までニュアンスで話してきたか、
そして、周りにハイコンテクストで会話ができる人が多かったか
ということに気づかされたのだった。


それと、2つ目は、
平易な言葉で書くように、ということだった。
なるべく難しい熟語は使わない、
柔らかい表現をする。

これも難しかった。

小学生にでも伝えられるように、
平易な言葉で書くというのは、
本当にそのことが理解できていないと書けない。

逆にいうと、平易な言葉で書けないことは、
ちゃんと理解できていないのだ。

書いては消し、またまた書いては消し、
自らの嘔吐物をまた飲み込む、みたいな作業が続いていて、
ラップトップを枕の上に放り投げそうになった時には、
季節が変わり、蝉の声がこだましていた。 



そして、完成まで

そして、その後もいろいろありつつも、2021年の年末に、執筆を終えた。

今回、「感性を養う」ことの一番大きなメリットとして
「正解のないことに自分の答えをだせる」とした。

この、先の読めない時代、
自分の人生を決めていくのは、自分でしかなく、
そして、それが間違っていたとしても「正解」に持って行くのも自分である。

間違えだったと思える人生は、
そこから学びを得たと思うと、成功に一歩近づいたとも言える。
私自身も、きっとそんな人生を歩んできた。
それが「経験値」であり本当の自信。
だからチャレンジしないと自信なんてつくわけがない。

そしてその「自分のものさし」を手に入れていこう!

そんなことを、一つ一つの項目に
ちりばめられたらいいなと思った。

この本は、枕元においておいて、寝る前にペラペラ見るでもいいし、
好きなところから読んでいただいてもよい。

でも、ただ読むだけではなく、
ぜひ、騙されたと思って実践してほしい。


ーー

書籍には、とてもたくさんの人が関わっている。
今回の編集者である石井氏、エージェントの渡辺氏は、
同志、共著、といっても過言ではないくらいにお世話になった。
編集という仕事のことを知ることが出来た。

他にも、
本にまつわるイラストや装丁を描いてくださった、
イラストレーターの坂本奈緒さん、装丁デザインの金澤浩二さん、
編集者の営業の方々、全国の書店の方々、
数えきれない方が、携わってくださっている。

お会いできてない方々ばかりだが、
携わっていただいた皆様に、
この場を借りて心から御礼を申し上げたい。
本当にありがとうございました。

表紙には、私の名前しか出てこないのだが、
その後ろにはたくさんの方の費やしてくださった時間がある。

その目的は、きっと。
本を届けることで誰かの見る世界を変えるため、だ。

この本を、手にとってくださった方。
その読者の方の見える世界が、1年後すこし柔らかくて
豊かなものになっていたらと心から願っている。


預けることと預かり合うこと

最後に、
どうしても読んで欲しい章がある。

好奇心をもつ習慣の中の
「20年使えるものを持つ」
「100年使えるものを持つ」
「人を愛する」

という三項目だ。
この三項目だけは、できれば続けて読んで欲しい。

「愛する」ということが、どう感性に結びつくのか。
そもそも愛するとはどういうことなのか。

私の実体験をある意味、直接的に文章にしたのはこの部分だけだ。

ここでは、所有することと愛するということを、
「時間を預かり合う」という表現をした。
貸し借りではなく、もう少し緩やかに繋がっていく関係。

所有をしない時代になり、
それは「責任」とか「価値」という
言葉の定義も変わったのではないかと思う。

ネタバレになるので、このくらいにしておこう。


本を執筆するという行為は、
作品作りと同じか、それ以上に自分の内面を炙り出すものだった。

陶芸は、どこか他力本願だ。
制作工程の最後に窯に入れるから、
フィニッシュを天に「預ける」感覚に近い。
だから、筆を置くことが、とても怖かった。

しかし、出版してみて思った。
出版すると、もうその本は読者のもの。
読者が、自分の人生をその本に載せていく。

出来上がったものを、遠くの未来に届ける。
そして、使い手が自分の時間を載せていく。
そう考えると、陶芸の作品と一緒なのかもしれない、と思った。

書籍は発売したところ。
ここから、たくさんの方の手に取っていただけるように、
そして読者の方に、この本を預け、
その方の暮らしのなかで育てていってもらえる事を
心から願っている。


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△こちらは先日Twitterで行った出版記念プレゼントキャンペーンの器。


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