数、スケール、質、ほとばしるエナジーに圧倒された〜棟方志功展「メイキング・オブ・ムナカタ」
生誕120年、棟方志功展「メイキング・オブ・ムナカタ」がすばらしかった!(東京国立近代美術館)
作品数、サイズも含めた圧倒的なスケール感に、これまた圧倒され、驚愕した。
最近、作品を入れ替えた常設展も同チケットで鑑賞できるし、時間さえゆるせば、かなり濃く豊かな美術鑑賞の時間を堪能できてありがたい。
棟方志功というと、あの風貌(丸メガネ、満面の笑顔、炸裂する蓬髪)や極度の近眼ゆえの、極端に作品に目を近づけてする創作の光景なんかが思い浮かぶ。
そして、膨大な版画の数々(棟方自身は「板画」と称していた)。
そのあたり(版画)はもちろんとして、他にも(版画だけにとどまらない)膨大な作品、表現があることを本企画展で知り、実際に生でみられたことは本当に貴重で得難い機会だった。
どうやって描いた(書いた)、作ったのかとつい考えてしまう巨大な襖絵や
書。
自分としてはとくに英詩や谷崎潤一郎の散文を作品化したもの(とくに、ホイットマンの英詩とか)を知れた、出会えたことにこのうえない感動をおぼえ、感謝する。
「版画」作家としてしか知らないのは、あまりにもったいない、その多様な才能、表現力。
とくにグラフィックデザインのセンスは佐伯祐三にもみられる卓越性を感じる。
色についてはわりとオーソドックスというか、ほぼ三原色だけ(プラス、白と黒)を使い、それがまた(そのシンプルさ、潔さが)個性でもあり、作品の存在感を確固たるものにしている。
基本的に「具象」表現なのだけれど、幾何学文様なども取り入れられて、じつにモダン。
わたしが個人的に敬愛するエド・ルシェ(Ed Ruscha)や
クリストファー・ウール(Christpher Wool)、バーバラ・クルーガー(Barbara Kruger)なんかよりもはるかに(いや、比べる必要はないし、そんなことは無意味なんだけど)モダンに感じる。
そもそも、クルーガーは立脚点がまったく違うし(彼女は政治的、社会に対しての問題提起等のメッセージ性が創作の起点だろうし)。
めずらしくポストカードを買った。