着物リフォームの歴史 その5・なぜ?(Why)
このシリーズも5回目となりました。ここまでお読みいただくと、なぜ着物リフォームが昭和の終わりから平成中期)まで続いたかお分かり頂けると思います。この項を最初にご覧いただいた方にご説明しますと、
1 和裁や洋裁を学んだ層が多くいた
2 着物を着ない人々が増えた
3 リフォームの洋服を購入する層もいた
4 最終的に古物業者や出版も巻き込んだマーケットが出来上がった
が着物リフォームが広まった主な理由です。すべての経済活動は偶然ではなく、必然です。このような素地の上にリフォームブームが到来したのです。
親孝行としての着物リフォーム
また、当時は今よりものを粗末にしたくないという考えが強かったようです。あるリフォーム作家の方のお話では、リフォームをお勧めする際、お客様に「親からもらったものを粗末にしないで、活用できるのですよ」というと非常に注文がとりやすかったとのことです。まだ結婚の際、嫁入り支度として着物を箪笥に一杯持って行った世代の方々ですね。
経済的な理由に加えて、「一種の親孝行」という言い訳が成り立つのも、リフォームが盛んになった理由の一つかもしれません。そこには「着物を粗末にして捨てたりしてはいけない」という考えが根底にあります。
リフォームは着物を着ない人々にとって一つの言い訳であり、解決法であったように思われます。
着物を布として利用する別の流れ
このリフォーム全盛期(昭和の終わりから平成中期まで)に、同時に起こっていたことは、端切れ(特に縮緬)で細工ものを作るブームです。そこに着物から洋服という以外の流れもあったことを申し添えておきます。
縮緬細工の音符ブローチ(日比野京子氏制作)
これらの商品もよく売れました。ご覧に様に国産の良い縮緬を使用しています。作家の方のお話では手作り市などでよく売れたそうです。
縮緬細工のうさぎブローチ(日比野京子氏制作)
しかしこの国産の細工ものも、海外でレーヨン縮緬で生産を始めた業者がいて、その価格に対抗できませんでした。たかが端切れ細工とはいえ、利益の出るところにはどんどん人が入り込みます。今はごく一部の人が趣味で作る程度になってしまいました。
【参考サイト】着物リフォームの歴史 その6・どのように?(How)https://note.com/showakimono/n/n1af92dce9f74
似内惠子(一般社団法人昭和きもの愛好会理事)
(この原稿の著作権は昭和きもの愛好会に属します。無断転載を禁じます)
一般社団法人昭和きもの愛好会
「昭和きもの愛好会」は2018年12月、様々なアイデアが出る中で設立されました。以降2年間、任意団体として活動して参りました。
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一般社団法人昭和きもの愛好会は昭和の戦後に着目し、その時代に制作生産された着物の技術力、デザイン性などを調査することを目的としています。
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