【書評】「面白い」のつくりかた/佐々木健一 新潮新書

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面白いとはなにか?
佐々木健一さんは「差異」と「共感」の両輪だという。

著者はテレビのディレクターとして活動。
様々な番組制作に関わった経験をもとにした、「クリエイティブを生むための基礎となる、普遍的な『仕事に対する哲学』」について書かれている。

「仕事に対する哲学」を軸にしているため、クリエイターだけでなく、ビジネスパーソンにもおすすめ。

前半は徹底して準備の大切さについて語っている。
著者は本書内で、ジェームス W.ヤング著「アイデアのつくり方」に影響を受けたと語っており、次の言葉が引用されている。
「地道に調べ、よく学ぶという正攻法しか、いいアイデアを生む道はない」
その言葉通り、資料集めや地道な取材、撮影にのぞむ前の状況設定の重要性が様々なエピソードとともに語られている。

後半はテレビ業界の話をベースに著者の仕事や思いを記述している印象。
その中で興味深かったのは、人は分かりそうで分からないものに関心を抱くという考え。
そして「分かりそうで分からない」の究極が人間であるという。
なのであらゆる作品は「人間とは何か?」ということをテーマにしているそうだ。
常に面白いコンテンツを作ろうとしている人だからこそ行き着いた考えという気がする。

テレビディレクターというアイデアを勝負にしている人の仕事論。
仕事に対してひたむきに取り組んでいる人であれば、何かしら感じるものがある一冊。


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