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【FREE】パソナの契約社員募集、さらに増員されて1千人規模に〜雇用という名の新たな貧困ビジネスか?!〜

さてパソナ様がさらに強気の姿勢を続けていらっしゃいます。。。

就職氷河期を防ぐという掛け声のもとに社員を募集、と聞けば非常に良いことではないか、と思ってしまうわけですが、内実を見ていくと、契約社員という非正規雇用をベースにしているのに、正社員の7割給与という大学・大学院卒が16万6千円、短大・専門学校卒は16万1千円という内容。

不安定な雇用であるからこそ(3年後には契約更新がない=解雇される可能性がある)、本来であれば正社員より3割増の給与であれば理解できるのですが、通常よりも安い給与というのも驚愕です。(もともと非正規雇用は不安定だからこそ当座の収入は高くないとおかしい論理なのです)

○ 給与7割、さらに寮費、食費、研修費が天引きされる

さらに、それだけでなく居住地域はそれぞれの生活圏からリモートワークで、とかではなく、決められた島にいき、そのため寮生活が基本。そのため、当然支払う社会保険料の自己負担分だけでなく、寮費・食費まで天引きされて、さらに将来に向けた研修も行われるそうですが、その「研修費も自己負担」。

淡路島の社員寮に入る。寮費2万6千円と食費3万9600円が毎月かかる。研修の講座にも別に受講料が必要。

ということで、住民税なども引かれていくと手元には月3万ほどが良ければ残るというお話ですが、まぁそういうことです。

 ○ 就職氷河期を防ぐのではなく、むしろシンボル的な出来事

大学、大学院まで出て自分にとって自由になるお金が3万円。もはや「雇用」なのか「搾取」なのかすら分からない内容が大手を振って報じられ、2-3年前では売り手市場と言われて絶対にこんな条件では就職しないだろうところに若者が就職せざるをえなくなるとすれば、それこそ「就職氷河期」なのです。

別にパソナがこのような募集をすることは勝手ですが、これが就職氷河期を防ぐだの、地方創生に資するだのという勘違いまで報じるのはメディアもやめて頂くほうがよいですね。就職氷河期の象徴的な出来事なのです。

以前から問題を指摘してきましたが、こういう雇用で集められ、後に契約更新するかしないか、の段階でさらに同社が契約する他の起業とかに回されていく駒にされるとすれば、これまでの日本経済低迷の原因である低賃金で若者たちがこき使われて内需が全く育たないという構造をさらに強化することになる事態です。

何より淡路島事業のリアルというものもちゃんと整理したほうがいいです。メディアは。特に地域外資本が入り込み、そもそもは地元の方が活用するはずだった地方向けの補助金を活用し、さらに言えばこういう就職氷河期に安く都市部人材を集めて(地方移住促進みたいな文脈で様々なインセンティブがある)回すというモデルが「地方創生」では全くないことくらいは理解してほしいです。しかも入ってきた若者の給与のほとんどは会社が天引きしていくわけですから、地元経済に回す資金などは本当にわずか。しかも、そもそも大して淡路島事業は同グループの稼ぎ柱とかでもなく赤字になったりを繰り返してきててある意味の人集めのシンボルでしかないのではないかというお話。

○ 若者のやる気をどうこうとかいう組織こそ「ブラック」

「志を持つ者に私はチャンスを与える。しっかり勉強して、社会に飛び立ってください」と南部代表はおっしゃられておりますが、まぁこういうフレーズが会社トップから出てくる段階で怖いですね。雇用ではなく、「支援」なんだと。だから勉強させてやるのだからこういう条件でも当然、後から稼げばいいだろうというお話です。

なぜ地方から若者や女性がいなくなったかといえば、こういう考え方で「若いやつや女は安く使えて当たり前。若い頃の苦労は買ってでもしろ」というお話がずーーーーっとあったからです。一部の成功した事業家にもよくある「俺の若い頃は苦労して一財なした」みたいなことを若者に強いる構図でもあります。ご本人は成功要因がそれだと思っているようですが、ほとんどは生きた時代や出会いなどの「運」でしかないことが基本です。そういう思い込みをベースにしてフェアに仕事をする内容で賃金が設定されるのではなく、若い奴は同じことやってても安くていい、志をもっているやつを集めて「お前がやりたいことをやるためにはこういう勉強が必要なんだよ」と上から目線で展開して、結果的には低賃金労働を確保できるので儲かるのは組織であり、トップというお話です。

居酒屋とかでも「夢を叶えられる職場」みたいお話をとうとうと代表がしていたりするところは本当にやばかったりしますしね。ほぼ宗教的なビジネスモデルでもあり、やっていうちにトップご本人も本当にそうだと陶酔してしまっていたりするのがより厄介です。。。巻き込まれないことが大切。

○ 様々な方のご意見から考える

ツイッターでも様々な方のご意見があります。その中で主要なものをいくつか。

苦しんでいる人たちに向けて後に転売するための人材確保のために見かけの給与と雇用という「飴玉」を用意し、しかし内実は天引きされまくって自分で使い先すらほとんど決められないという手取りの構造はまさに貧困ビジネス。特に就職氷河期だからこそ「嫌なら他に行けばいい」とかそういう追い詰められ方もできてしまうことが本当に辛い立場になる構図。

まさに契約社員ですから3年目に契約更新では取引先に派遣されていくという方式になると7割の給与条件で働かせたという仕入れ安くできる実績をもとにして、日本は構造的には人不足になっているので高値で取引先に人材を売りつけることができるということです。

そもそも人材派遣とはそういう人身売買に近い商売であり、だからこそ長らく日本では反社会的組織などの事業にもなってきたこともあって規制対象になってきたのです。それが規制緩和の名のもとに解禁されて、人材の給与のピンはねビジネスが横行するようになり、それは日本の産業のためとかいいながら、実際には雇用される人たちの給与が不安定かつ安くなり、内需国である日本の経済低迷の原因になったという笑えないお話なのです。

○ パソナの前に「カイジ」を読もう

この条件が発表された時から多くの方が「カイジの地下帝国みたい」というお話が出たりしていますが、まさに。世の中キレイなお仕事ばかりでもありません。特に何か社会的な目的、思いみたいな話をして純粋な人が巻き込まれていくと大変なことになっていきます。amazonUnlimitedだと今タダなのでパソナの前にまずはカイジを読んで、こういう世界もあるのねということはイメージしといても良いでしょう。

そもそもとして何より賭博に落ちて大変になるのではなく、単にこういう時代に就職するタイミングになってしまったという自然災害のような不幸でキャリアスタートからとんでもないところに行くことのないように社会全体で対応することはとても大切です。それは大義として本当に必要。が、パソナの内容がそれでないことだけはちゃんと認識しておきたいものです。

本当に経済的空白には悪事がまかり通るところでもあり、その前後では絶対に起こらない不幸がその世代というだけで襲いかかります。どうにかしてこのブランクは政府としても作らぬような経済対策、雇用対策をしっかりと行ってほしいです。そういうものが行われないからこそ、民間企業の一部がこのように宣伝文句にうまく就職氷河期などという言葉を使って皆の不安を背景にした不当な採用を推進できてしまうこともまた認識すべきところです。

これの条件だったら地域おこし協力隊や集落支援員制度のほうがマシに見えてくるところです。。。年間3000人規模で展開されているので、本当に困って3年限定とかのキャリアのグランクを埋めるのであれば、そちらを検討されるほうがよいのではとおもうところもあります。(もちろんこちらもまた地域によってはとんでもないことになっているのでちゃんとしたリサーチが必須です)

どちらにしてもこんなものが「氷河期対策」にならぬように、国の労働政策的にもインターバルをちゃんと政府、経済界でつくり、大学への残れる財政的手立てであったり、第二新卒など2-3年は新卒とかわらぬ体制でいこうみたいなお話をちゃんとしてほしいところです。あまりに焦り、急いで地獄へ突入してしまう若者が少しでも減るような対策がうまく作って欲しいところです。

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