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今さら聞けない「ふるさと納税制度」の真実〜総務省調査データと地方政策コンペに向けた3つのポイントを考える〜

さて、いよいよ年末ですね。来年に向けて重要なメッセージとして、自分の税金をどこに使うのか、ということについてのお話を整理したいと思います。

ふるさと納税を活用した地方政策コンペの可能性については先日AIRで触れましたが、改めて来年に向けて動くことになりましたので簡単に整理したいと思います。

○ ふるさと納税のそもそもの趣旨は「自分の税金を自分が考える事業や政策に振り向ける権利」にある。

そもそもふるさと納税は寄付税制の一つです。つまりは自分が納税する税金をお上に預けて、議会で決めた方針に基づき行政が配っていくということではなく、自分の意思を持って「こういう事業が社会には必要なんだ」と考える方針に基づいて、公益団体や自治体に振り向けることができる権利を担保するというのが重要な趣旨です。

つまりはそこには「自分の意思」がなくてはならないのです。というか、日本では寄付文化があるとかないとかそういう話が出ますが、それは慈愛の精神とかではなく、基本的には「自分の税で社会が構成されている」ということに対する意識の低さだと私は思います。

自治体だけでなく認定NPO法人の取り組みに対する寄付も今は税制優遇の対象になりますし、学校法人などの伝統的な公益法人も同様です。大学教育環境に関する改善が必要だと思ったら単に文部科学省を批判するよりも、皆で大学への寄付というものを効果的に行うほうが変化はすぐにでも起こせるわけです。陳情よりも寄付なのです。

そういう意味では、ふるさと納税は本来は地方が「多額の予算を使ってもさらに衰退する政策」ばかりを選択することを変えさせなくてはならないわけです。活性化事業といいながら、お金を使う、さらにお金が必要なバカみたいな箱物を未だに作りただけ、数百億円の税金を溝に捨てて、さらにその維持費でヒーヒーいって子どもたちの教育費が削られ、給食費すら一食数百円捻出すらできないみたいなバカみたいな話がまかり通るのは、アホな意思決定者たちの責任というだけでなく、彼らを選挙で選び、さらに自分たちがもっている税金の使い方を決められる寄付枠すら活用して社会にアクションを作り出さない我々の問題でもあります。

最近ではガバメントクラウドファンディングといって政策主体型でふるさと納税を集めていく試みも拡大していますが、まだまだ道半ばです。返礼品競争も規制によって落ち着いたものの、肉やカニをもらうのもいい加減飽きた次が必要になっています。

各種調査をみても自治体としては、交付税に影響しない純粋な単費としての歳入を獲得できる策としては無視できない制度になっているところです。

○ 総務省調査のデータをもとに考える、そもそも使われていない枠、使い切れない枠の実態

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