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木花咲耶姫と富士山を大切にしてきた歴史を守る旅
9/23、富士山周辺の神社参拝に行ってきました。今回のテーマは日本神話で重要な一柱である木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)。
富士山周辺には富士山をご神体とする冨士浅間神社が数多く建てられています。これら神社の主祭神に祀られているのが木花咲耶姫です。
木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)
天孫降臨した瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)と婚姻し、現在の皇室、ひいては日本建国の始まりとなった神武天皇へと繋がる重要な神様です。
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天孫族と土着の出雲族を繋ぐ重要な出来事でした。
三嶋大社を総本社とする三島神社の信仰
個人的なことですが、木花咲耶姫の父にあたる大山祇神(オオヤマツミノカミ)は、静岡県東部に鎮座する三嶋大社の主祭神であり自分の氏神様にあたります。なので、縁が深い神様でもあります。
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大山祇神は『古事記』において伊奘諾尊(イザナギ)と伊弉冉尊(イザナミ)の間に生まれたと言われています。
また『日本書紀』において大山祇神は、木花咲耶姫の父親。
木花咲耶姫は天孫降臨ではじめて地上に降り立った瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の妻であるので、日本人の総氏神「日本総鎮守」と呼ばれることもあります。
そう考えると天照大御神と同格なのでは?とも思いますね。
神話って調べていくと奥深くて面白いだけでなく、自分とのつながりが見えてくるのがすごいところです。
神社へGO
7:00頃自宅を出発して東名-東富士五湖道路でまずは道の駅富士吉田へ向かいます。晴れていれば富士山絶景スポットを巡ろうかと思いましたが、あいにくの雨だったため断念。
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こちらでは富士山の湧き水(滅菌済み)が蛇口から出ていて、無料で汲むことができます。僕も持参したウォーターバックに頂きました。
8:30頃、北口本宮冨士浅間神社へ到着。
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この神社は景行天皇40年(110)まで遡り、日本武尊が東征の折、富士山の神霊を御遥拝したのが始まりとされています。
立派な参道と両側に立ち並ぶ樹齢数百年はありそうな杉並木と苔むした灯篭が歴史を感じさせます。
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鳥居をくぐった瞬間から空気が神聖なものに変わるのは不思議ですね。
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ところでどの神社も、富士→冨士になっているのはなんでかなと思い調べてみたところ、
①`が人を指す説
`を消すことで山が禁足地であることを指し、富士山を崇めるべき対象であることを表す説。
②`が神様を指す説
`を神様に見立てて、目に見えない存在であるとした説、頂上が神域であることを表す説
など諸説あるようです。いずれの説も神域に人が踏み入れることを戒めるものです。
`が人を表すのか神様を表すのかは結構重要なポイントで、岡本典明が自動書記によって書いたとされる書物「日月神示」には、
「弥勒の世を作る因縁の御魂には`のしるしがつけてある。仮死状態の人間のうち`がついている者だけが助かる。」という記述があることから、`は魂そのものに刻まれている印であることが伺えます。
古神道では人=神(神人合一)でもあるので、肉体的な人ではなく、魂=霊性=神様を指す説を推します。
魂を識別するための印として思い浮かぶのは、氏名。名前は生まれる前(魂の時点で)に自分自身で決めてくるそうです。もしかしたら`が付く名前の方は因縁の御魂かもしれませんね。
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次に河口湖湖畔に鎮座する冨士御室浅間神社へ。
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戦国時代には多くの武将たちの信仰を集め、武田家三代に渡り崇敬された富士山最古の神社。武田信玄のパワーを分けて貰えると嬉しいですね。
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セラミックで出来た玉に厄を込めて投げ割るのはストレス解消に良いですよ。体の悪いところを撫でると良くなる牛の像があったりしました。なかなか面白い神社です。
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続いて河口湖木花美術館。
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絵本の中でねこのダヤンが活躍する池田あきこさんの原画常設美術館に立ち寄りました。ダヤングッズのラインナップは国内最大級だそうです。実用性の高いものもあって色々欲しくなります。
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最後に東口本宮冨士浅間神社へ。
近くの道の駅すばしりで食事をしたのち、東口本宮冨士浅間神社に参拝。
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延暦21(802)年、富士山東脚が噴火、鎮火祈願をしたところ噴火が収まった。この御神威を畏み報賽するべく、平城天皇の時代・大同2(807)年に鎮火祭跡地・現在の御社殿の地に神様をお祀りしたことが始まりとされています。
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天照を筆頭とする天津神、大山祇神を含む国津神。この二族は日本という一つの國の両側面であると感じます。
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天津神は動的で野心的。国土を耕し脈動を促す役割。国津神は静的で保守的。国土を安定させ循環を司る役割。
日本列島の荒魂が天津神。和魂が国津神。つまりどちらが欠けても日本列島は機能しない。日本列島に住む僕たちはこの大きな振り子の間で生かされてきたわけです。
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山の神である大山祇神の御神体が富士山であり、これら浅間神社の目的が火山の鎮火であり、御祭神が娘のコノハナサクヤヒメ。
パパは娘に甘い(逆らえない)っていう関係は昔からあったんでしょうか(笑
そんな浅間神社が富士山を囲うように配置されていることから、古代の人々は富士山の噴火を恐れていたことが伺えます。
今回の旅ではカッコいい御朱印帳を2冊頂きました。これから増えていきそうな予感・・・
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富士山を守る署名
北口本宮冨士浅間神社で見たポスター。どうやら富士山に登山鉄道を建設する構想があるようです。
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果たして必要なのか?
そもそも僕たち人間にとって山とは、富士山とはどんな存在か?これを考えていけばおのずと答えは出るのではないでしょうか。
富士山だけでなく、日本中の歴史的伝統を有する場所はどんどん観光地化していっています。かつて神域とされてきた場所を観光地化していくべきなのか?伝統文化施設を維持していくための収益は必要だと思いますが。
いっぽうで古来から日本人は職人集団だった。
だからこそモノづくりの日本、高い技術力が建築物や製品に、美しさとして現れて尊敬されてきたのだと思います。
技術は人から人へ伝承され祭りや文化として日本独特のアイデンティティとなった。
現代はどうでしょう。
モノづくりは衰退し、技術や伝統の断絶、品質を顧みない安価で大量生産されたものが善しとされそのほとんどがmade in Chinaです。
これまで大切に手入れされてきた神域を見世物として消費し、お金を稼ぐ観光大国になりつつあります。どこの観光地も外国人観光客で溢れかえりオーバーツーリズムという問題も浮き彫りになりました。
果たして現在の日本から生まれた、意匠やモノ(建築物や製品)が、数百年後に観光、芸術品として扱われているでしょうか?
画一的なコンクリートジャングル群、溢れるmade in Chinaの大量生産品・・・さらには自然という神域に線路を敷き、道路を敷き、森林伐採の上ソーラーパネルを敷き詰める・・・
そこに日本らしさはありますでしょうか。
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自分の代の利益の事しか考えていない生産物ばかりで、職人の苦労やコダワリ、意図が消えてしまったような気がします。
これらはモノに対する愛着を失い、破壊と創造を繰り返すだけで後世に何も残しません。
現代が生みだすあらゆるものは、思いを馳せる情緒と懐の深さを失ってしまったのです。
もしかしたら西暦2000年前後(現在のこと)は、数百年、数千年後には黒歴史時代として教科書に載っているかもしれません。
いや、かつて空白の4世紀があったように、歴史から消されるほど何も残さなかった時代となっているかもしれません。
神社仏閣を実際に歩いて回ると、先人の知恵やセンス、苦労やコダワリなどがひしひしと伝わってきます。だからこそ空気が違うんだと思います。そこに魂がある。ように感じます。
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自然の中に溶け込むような木造建築と、森を切り裂いてパネルを敷き詰めただけの光景・・・
どちらが美的感覚を持っているか?一目瞭然でしょう。
未来の日本人に笑われるような時代にはしたくない。そして先人たちに笑われるような時代にはしたくない。僕たち現代人はお天道様が見ているという感覚が曇っているのかもしれません。
個人で出来ることは少ないかもしれませんが、せめてもの抵抗として、富士山登山鉄道構想反対の署名をしました。
神話の巡る旅シリーズ▼
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