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文章欲と「対話」してみた
厄介な物に取りつかれてしまったと私は今でも思っている。
何をしていても、文章を書きたくなってくるこの文章欲。私がこの文章欲と向き合い始めたのはつい最近だけれど。どこまでいってもついて回って来るから、ついに私も年貢の納め時かと、腹を据えて向き合い始めた。
私「なぁ、お前はなぜ私につきまとう?」
文章欲「人をストーカーみたいに言うのはよくないぜ」
私「実際、そうじゃないか」
文章欲「人聞きの悪い事言うなよ。お前が俺を呼んでいるんだろう」
私「そんな事はない!お前さえいなければ、私は当の昔に安定した生活を送っていたというのに!」
文章欲「それって、楽しいのか?」
私「楽しくはないが、心配事は減るだろうと思う」
文章欲「ははは、面白い事を言う。人間が心配しなくなったらそれはもう人間じゃないだろう」
私「・・・ただの概念のくせに、的を得た事を言うな」
文章欲「まぁ、観念したことは褒めてやろう。お前はなぜ書く?」
私「お前が付きまとうからだろう。」
文章欲「いいや、違うね。お前が魅了されてしまったからだよ。」
私「一体、私が何に魅了されているというんだ」
文章欲「日本語と、物語を作るという事に」
私「・・・否定できない・・・」
文章欲「事実だからだろ。まぁ、いいじゃないか。人間は誰もかれもが物語を作っているんだから。それを文章に起こしたいか起こしたくないかの違いさ。」
私「そういうものなのか?」
文章欲「知らん!」
私「知らんのかい!」
文章欲「じゃあ仮に俺の存在を認めなかったとする」
私「ふむ」
文章欲「お前が一流のパティシエを目指すと幼少期に心に決めたとしよう」
私「それは素晴らしいな」
文章欲「そうなったら俺は四六時中お前の近くにいて、その夢をつぶす」
私「この下種野郎」
文章欲「まぁ、待て。これが何を意味するか分かるか?俺が付きまとっているんじゃなくて、お前が俺を四六時中呼んでいるという話だ」
私「そんなわけあるか、私は一流のパティシエになる!」
文章欲「いや、お前は特に困難に出会うほど、俺を呼ぶ癖がある。困難を面白がるために俺を呼んでいると言っても過言ではない」
私「・・・」
文章欲「否定できないだろ?そう無言で睨むな。まぁ、いいじゃないか。どうせ切っても切れない縁なんだ。仲良くやろうぜ」
私「一つ言いたい事がある」
文章欲「聞いてやろうじゃないか」
私「眠る直前に来るのはやめてくれ。書きたくて眠れなくなる」
文章欲「はっはっはっそいつはいい事じゃないか。」
のらりくらりと本題から避けやがる、ろくでもないつでした。
なのに話し出すと止まらなくて、結局最後は仲良く酒を飲んでいる。
そんなやつ。