男2人×女1人の恋愛事情⑯ 突然の告白
前回同様、慎吾と待ち合わせをして飲みに向かう。
待ち合わせをしてまず、「大丈夫ですか?」と聞かれ、私は「あんまり大丈夫ではないです」と答え、仕事について盛大に弱音を吐いた。
居酒屋に着くころには、一通り話しを終えてもうもう一巡しかけていたほどに。
でも、そのおかげというのはなんだか妙だが、居酒屋で席に着いたころには少し気持ちが落ち着いた状態でお酒を飲む事ができた。慎吾と乾杯をしてアルコールを体内に取り入れる。ああ、染みる。心にも、体にも。
その後は前回のようにたわいもない話をしていたんだけれど、慎吾が途中で仕事の話に会話を戻した。
「俺は、あんな奴(お局)のせいで松浦さんに仕事辞めて欲しくないですね」
慎吾がそう言って私を見る。
「私もせっかく出来た仕事の飲み仲間と離れるのは少し寂しいですが・・・」
私は苦笑いしか出来なかった。仕事を続けられる自信がなくて。
すると、慎吾がなんだかはっとした顔をして、そわそわしだした。そして何かを決意したように私を見て言った。
「松浦さんは、俺がなぜ飲みに誘ったと思いますか?」
「・・・私が、仕事が限界とLINEをしたから、話を聞こうとしてくれたんじゃないんですか?」
「あの、好きです」
WHAT?え?この人、今なんて言った?
「いやいや、分かります。早すぎですよね。俺も、今日、一緒に飲むの2回目で言うつもりはなかったんですけど」
うんうん、そうだよね。私達、まだ一緒に飲むの2回目だよね。
「すぐに返事が欲しいとかではないんですが。・・・どうでしょう?」
慎吾がまっすぐに私を見ている。私が口を開くのを待っている。
「・・・私は今、恋愛する気が全くないんです」
思案した挙句、私は地元を出てきた経緯を全て話した。婚約者がいた事、実家に一緒に住んでいた事、婚約者が突然音信不通になった事。
慎吾はびっくりしながらも、私の話をちゃんと聞いてくれた。
「それは、大変でしたね」
慎吾は、私が恋愛する気がないという話に納得してくれた。
でも私には、もう一つ、話さなくてはならない事がある。
「実は今、仲良くしている男の人がいるんです」