【800字エッセイ】四十九日が過ぎるまでは
あたくし、オジおばさんは父方の祖母と同居していた。
高齢になり、まだらボケがひどくなり出した頃、祖母は風邪を拗らせて亡くなった。
正月の3日だったと記憶している。
最後は家族みんなに囲まれて、父に抱えられながら救急車を待ったので、一応病院には行ったが実質的には自分の家で亡くなったと思っている。
病院で亡くなる方が多い中、自分の家で最後を迎えられたのは幸せだったのかもしれない。
祖母が亡くなってから四十九日を迎えるまでの間、不思議なことを体験している。
まずは飼っていた猫が祖母の部屋からなかなか出て来ず、ずっと棺やお骨や遺影の方を見て鳴いていた。抱きかかえて部屋から出しても、すぐに祖母の部屋に戻り鳴き続けていた。
もっと不思議だったのは、オジおばさんが1人で家にいる時に、一階の部屋の窓をノックする音が聞こえた。母が庭から帰ってきたと思い下に降りていくと、ノックの音は祖母の部屋の窓から聞こえる。祖母の部屋を開けてみると、窓の外にも部屋の中にも誰もいない。
不思議なこともあるもんだなぁと思い、オジおばさんの妹弟にこの話をすると、なんと2人とも全く同じ経験をしていた。
この現象は祖母の四十九日が過ぎるとピタリとなくなり、猫が祖母の部屋で鳴くこともなくなった。
四十九日までは魂がこの世に残っているというけれど、それは本当なのかもしれないと思う体験であった。