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【800字エッセイ】黒電話の怪

あたくし、オジおばさんが小さい頃は、いわゆる「黒電話」が各家に設置されてる場合が多かった。色は黒とかアイボリー、鶯色など様々だが、ダイヤル式の電話である。

オジおばさんが小学校低学年の頃には「プッシュフォン」が販売されて、壁に架けられる電話に憧れた。

さらに時代が進むと「コードレスフォン」が発売されたが、我が家に導入されたのはだいぶ後のことだった。

オジおばさんが小学校に入る前の話。

自分の家でやっていた遊びがある。
それは黒電話の受話器をとり耳にあてて「もしもし〜」とかやる「電話ごっこ」だ。

今の固定電話もそうだと思うが、受話器をとって暫くは「プー」という短音が鳴り続ける。しばらくすると「プー、プー、プー」と言う話中の時に鳴る音に変わる。

そのまま耳につけてると、たまに人の声が聞こえてくる事があった。いわゆる混線というやつだ。

何と言っているかわからないのだが、誰かが話しているのが「ゴニョゴニョ」と聞こえてくるのだ。それが面白くてこの遊びをやっていた。

祖母の家に遊びに行っていた時に事は起きた。

オジおばさんはいつものように「電話ごっこ」をして遊んでいた。
初めはいつものように「プー、プー、プー」となっていたのだが、突然その音が消えた。

そしてはっきりとした女性達の声が聞こえてきたのだ。2人で話してるのではなく3人以上で話してる会話だ。

今であれば複数人で会話できることなんて当たり前だが、黒電話だと基本1対1の会話しかできない。よってこの現象だけでも不可思議なのだ。

何を話してたのかは覚えていないが、しばらく聞いていると、オジおばさんが話を聞いていることに気がついたような会話になった。
ドキドキしてそのまま聞いていると突然、

「人の話を聞いてるんじゃない!!」

と大声で言われた。

びっくりして慌てて受話器を置いたが、好奇心が勝ってもう一度受話器をとった。

するといつも通り「プー」といった短音の後に「プー、プー、プー」となり続けるだけだった。

混線じゃないか?と言われればそれまでだが、相手からはっきりと怒鳴られたのは今でも不思議でならない。

あれは一体何であったのだろうか…

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