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融資を受ける金融機関はコウ選べ!

経営者にとって、事業拡大や資金調達の際に金融機関の選択は非常に重要なポイントです。特に融資を受ける際には、どの金融機関に依頼するかで対応や条件が大きく変わるため、慎重な判断が求められます。この記事では、どの金融機関を選ぶべきか、特にメガバンク、地方銀行、信用金庫(しんきん)の違いや、企業規模に応じた選び方について詳しく解説します。

Youtubeでも解説してますので、こちらもご覧ください。


1. 銀行口座の開設が最初のステップ

融資を検討する際、まず最初に重要なのは、どの金融機関で口座を開設するかです。金融機関に融資をお願いするためには、その銀行に口座を持っていることが前提となる場合が多いため、早い段階で開設しておくことが重要です。

さらに、銀行口座を開設する際には、将来の資金調達を視野に入れた上で、どの金融機関を利用するかを考えておくと良いでしょう。たとえば、メガバンク、地方銀行、信用金庫といった選択肢がありますが、それぞれが提供するサービスや融資条件は異なるため、事前に理解しておくことが求められます。


2. 創業融資は日本政策金融公庫が一番の選択肢

創業したばかりの企業や事業主がまず検討すべき金融機関は、日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は、創業間もない企業に対して積極的に融資を行う公的機関で、特に「創業融資」として知られるプログラムが多くの経営者に利用されています。

創業融資は、ビジネスがまだ実績を積んでいない段階でも融資を受けられる点が大きな魅力です。通常、民間の金融機関は事業の実績や収益性を重視しますが、日本政策金融公庫では創業者のビジネスプランや事業計画を元に柔軟に融資を判断します。

  • ポイント: 日本政策金融公庫は、金利が低く、保証料が不要なケースも多いため、初めての資金調達には最適です。

また、創業融資を受けることで、その後の融資申し込みがスムーズになるというメリットもあります。日本政策金融公庫で実績を積んだ後、民間の金融機関での融資審査が通りやすくなるという効果が期待できます。


3. 創業融資後の選択肢:メガバンク、地方銀行、信用金庫

創業融資が終わり、ビジネスが成長するにつれて、次の資金調達手段として民間の金融機関を検討することになります。ここで登場するのが、メガバンク地方銀行(地銀)、そして**信用金庫(しんきん)**です。それぞれの特徴と、どのような企業に適しているかを見ていきましょう。

メガバンク

メガバンクとは、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行など、日本の大手銀行です。メガバンクは、規模が非常に大きく、預金量や融資額も膨大です。しかしその反面、小規模な企業に対する融資にはあまり積極的ではない傾向があります。

  • 融資規模: 5000万円以上の融資が一般的なターゲット

  • 対象企業: 大企業や中堅企業、または将来的に大きく成長が見込まれる企業

  • 対応: 大手企業には手厚いが、小規模企業には対応が薄いことがある

メガバンクは、主に大規模な融資案件に注力しており、数百万円規模の融資案件にはそれほど関心を持たない傾向があります。そのため、企業の規模がまだ小さい段階では、メガバンクとの付き合いは後回しにするのが賢明です。

地方銀行(地銀)

地方銀行は、特定の地域に根ざした銀行で、地域経済の発展に寄与しています。地方銀行の強みは、地域密着型のサービスを提供し、地元企業との関係を大切にする点です。地方銀行は中小企業への融資にも積極的であり、経営者との距離が近いのが特徴です。

  • 融資規模: 1000万円以上の融資案件が多い

  • 対象企業: 中小企業や地域に根ざした企業

  • 対応: 地域に密着したサポートが得られるため、信頼関係が築きやすい

地方銀行は、企業の成長に伴って柔軟な対応をしてくれることが多く、地域の中小企業にとって頼りになる存在です。特に、事業拡大の際や新たなプロジェクトを開始する際に、地域の銀行が支援してくれることが多いです。

信用金庫(しんきん)

信用金庫は、地域の個人や中小企業をメインの顧客としている金融機関です。特に、数百万円規模の融資案件にも柔軟に対応してくれるため、創業間もない小規模企業にとっては最適なパートナーとなり得ます。

  • 融資規模: 数百万円から1000万円程度が主なターゲット

  • 対象企業: 小規模事業者や地域のスタートアップ企業

  • 対応: 中小企業に対して親身なサポートを提供し、アットホームな対応が得られる

信用金庫は地域社会に密着しているため、個別の企業に対するきめ細かなサポートが期待できます。また、信用金庫は、地域のコミュニティを支えるという役割も担っているため、融資以外のサポートも充実していることが多いです。


4. 金融機関の規模による対応の違い

金融機関の規模が異なると、当然ながら対応も大きく変わります。金融機関の担当者は、それぞれの銀行のターゲット顧客に対しては手厚く対応しますが、そうでない場合はあまり力を入れないこともあります。特にメガバンクの場合、非常に大きな顧客層を抱えているため、数百万円の融資を希望する小規模企業には十分な対応をしてくれないことがあります。

銀行の預金量が融資に与える影響

銀行は預金を元手に融資を行っています。そのため、銀行の預金量が大きければ大きいほど、貸し出せる資金も多くなります。例えば、メガバンクの預金量は100兆円規模に達しており、数百億円規模の融資を行うことも珍しくありません。

一方で、信用金庫の預金量は数千億円から数兆円規模と、メガバンクに比べると小規模です。そのため、信用金庫にとって1億円の融資は非常に重要な案件となりますが、メガバンクにとってはそれほど魅力的な融資案件とは言えません。

5. 金融機関選びのポイント:自社の規模に応じた付き合い方(続き)

金融機関の規模に応じて、融資の最低ラインが異なります。以下に、企業規模ごとの金融機関の選び方を示します。

融資の最低ラインのイメージ

金融機関融資の最低ラインメガバンク5,000万円以上地方銀行1,000万円以上信用金庫数百万円

自社が希望する融資額と、金融機関が対応している規模を比較しながら、適切な金融機関を選ぶことが大切です。メガバンクは大規模な融資案件に注力しているため、少額の融資を希望する企業には親身な対応を期待しにくいでしょう。一方で、信用金庫は小規模企業にも積極的に融資を行うため、スタートアップや中小企業に最適です。


6. 銀行の預金量に注目する理由

金融機関の選定において、特に重要な指標が預金量です。銀行の預金量は、その銀行がどの程度の融資を行えるかを示す重要な要素です。預金量が多いほど、銀行は多額の資金を融資に回すことができ、逆に少ない場合は融資できる金額も限られます。

メガバンクの例

メガバンクの預金量は100兆円を超えることもあります。これだけの資金を持つ銀行は、数百億円単位の大規模融資に注力するため、数百万円や数千万円の融資案件にはあまり関心を持たないことが一般的です。

地方銀行の例

地方銀行はメガバンクほどではありませんが、数兆円から10兆円規模の預金量を持つところもあります。地域経済を支える役割を果たしているため、地方銀行は中小企業への融資にも比較的積極的です。数百万円から数億円規模の融資案件にも対応してくれることが多く、地域密着型のサービスが魅力です。

信用金庫の例

信用金庫は、預金量が数百億円から数兆円程度と小規模です。しかし、その分中小企業や個人事業主との距離が近く、親身なサポートを提供します。1億円未満の融資でも魅力的な案件として扱われるため、創業初期の資金調達には特に適しています。


7. 地方銀行と信用金庫の数

日本国内には、数多くの地方銀行と信用金庫が存在します。地域によって規模やサービス内容が異なるため、自社に最適な金融機関を見つけるためには、それぞれの特徴を理解することが重要です。

地方銀行の数と預金量ランキング

地方銀行は日本に約100行あります。預金量が大きい地方銀行は、地域に根ざしながらも大規模な融資にも対応できる「メガ地銀」と呼ばれる存在です。預金量トップクラスの地方銀行は横浜銀行や埼玉りそな銀行で、20兆円近くに達しています。

一方で、預金量が数兆円規模の地方銀行も多く、地域経済を支える重要な役割を果たしています。地方銀行は、中小企業向けの融資に特化したサービスを提供することが多く、地元企業との信頼関係を築きやすいのが特徴です。

信用金庫の数と預金量ランキング

信用金庫は約250行存在し、地方銀行よりも小規模な金融機関です。預金量が大きい信用金庫は京都中央信用金庫や城南信用金庫で、5兆円以上の預金量を持っています。

信用金庫は地域コミュニティとのつながりが強く、個人や小規模事業者をメインの顧客としているため、少額の融資案件にも積極的です。また、信用金庫は地域経済を活性化させるためのサポートも充実しており、特に創業初期の企業にとって重要な金融パートナーとなります。


8. 企業規模に応じた金融機関との付き合い方

企業の規模に応じて、適切な金融機関を選ぶことが融資の成功につながります。小規模企業や創業初期の段階では、信用金庫や地方銀行との付き合いが最も効果的です。事業が成長し、より大規模な資金が必要になった場合には、メガバンクとの取引を検討するのが一般的です。

年商1億円以下の会社

小規模企業やスタートアップは、以下の金融機関をターゲットにすると良いでしょう。

  • 信用金庫(預金量1兆円以下)

  • 日本政策金融公庫(国民生活事業)

融資制度としては、信用保証協会の保証枠を利用して、少額の融資を受けることが一般的です。信用金庫は小規模事業者に対して親身な対応を提供してくれるため、初期の資金調達には最適です。

年商1億円超〜5億円以下の会社

中小企業に成長した場合、以下の金融機関をターゲットにします。

  • 地方銀行(預金量5兆円以下)

  • 信用金庫(預金量1兆円超)

  • 日本政策金融公庫(国民生活事業)

この段階では、プロパー融資(信用保証協会の保証を利用しない融資)を利用することも視野に入れると良いでしょう。地方銀行は地域の中小企業に対して柔軟な対応を提供してくれるため、信頼関係を築くことで事業拡大に向けたサポートが得られます。

年商5億円超の会社

事業が成長し、さらなる拡大を目指す企業は、より大規模な融資を行う金融機関との取引を検討します。

  • 地方銀行(預金量5兆円以上)

  • 日本政策金融公庫(中小企業事業)

この段階では、プロパー融資やリファイナンス(借り換え)を活用し、事業のキャッシュフローを最適化することが重要です。また、メガバンクとの付き合いも視野に入れて、今後の資金調達計画を立てることが求められます。


9. 金融機関との信頼関係を築くためのポイント

金融機関との信頼関係を築くことは、今後の融資や取引において非常に重要です。以下のポイントに注意して、長期的な信頼関係を築くことを目指しましょう。

1. 正確な財務情報を提供する

金融機関は、企業の財務状況をもとに融資を判断します。正確で最新の財務情報を提供することで、信用力が高まり、融資がスムーズに進む可能性が高くなります。

2. 定期的なコミュニケーションを行う

金融機関とのコミュニケーションを定期的に行い、事業の進捗や将来の計画を共有しましょう。担当者との関係を強化することで、融資に対する柔軟な対応が期待できます。

3. 信頼できる経営を続ける

信頼関係を築くためには、堅実で透明性の高い経営が不可欠です。企業の成長を支える金融パートナーとして、金融機関に対する信頼を高める努力を続けましょう。


まとめ

企業が融資を受ける際には、金融機関の選び方が重要なカギを握ります。創業間もない企業や小規模事業者は、信用金庫や地方銀行、日本政策金融公庫を中心に資金調達を行い、事業が成長した段階でメガバンクや大規模な地方銀行との付き合いを考えるのが一般的です。

預金量や金融機関の規模に応じた選択肢を理解し、自社に最適な金融機関との信頼関係を築くことで、事業の発展に向けた資金調達がスムーズに進むでしょう。

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