受験ですよ！③雪、ぬいぐるみ、あと十日。〜キニナル彼女が気になる私〜
何やってんだか。
年末までの勢いは何処へやら、娘(中3)はスローダウンしたまま、中学最後の定期テストが終わってしまった。
何やったら良いのか、わからへん。
世間も友達もとっくに受験ムードなのに、今こんなこと言えるのは、ある意味すごいのか？
今までずっとギャースカ言ってきた私も、どこか息切れしてきた。というか、これは彼女の受験であって私のじゃない。
でも、ここまで色々準備して、私立の受験料も払って、もういーんじゃない？頑張んなくて、とは、言いにくい。
今までで1番、やれたなーって思うテストは、いつの？
彼女の、時間ぐり間違えたから、でテストの結果を終わらそうとするサイクルに嫌気がさした私は、なんとか状況を転換したくて、質問を絞り出した。
1年の最初のテストかな。
コロナ下スタートした中学1年、最初の定期テストのことだ。
どうして？
ワーク3回やって、範囲全部(テスト勉強)できたから。
‥そういうことか。
結構、やっぱり、完璧主義。
やることが多すぎるとやる気無くす。そして、それでもはしょれない。
少し前、なんか予定入ってるって日が続くとしんどい、と私が話したとき、彼女が言った。
今日何にもする事ない、って言える時は、いつくるのか。
それを聞いた時、私の胸の中で、凝り固まっていたものが、パサってひらいた。
それは、確かに思う。そして、まだ遠い。
何も考えず、ひまーとか言いながら一日を終えること。朝寝坊したあと、どっかいくー？どうするー？と考えながら時間が過ぎていくけど気にしない、みたいな日。
幼稚園のときみたいに、遊んで、食べて、お風呂入って、ふかふかの布団に潜って、明日何があるか楽しみにしながら寝てしまう。
そんな日は、もうないのかな。
ずっと、終わらない課題を手に持っていることは、しんどい。
彼女は、中学3年分、コンプリートしたいのだ。けれど、多過ぎて、予定が考えられずやれずにいた。
全部やりたかったら、やったら良いんだよ。
短期決戦。
私立は過去問をひたすら時間内にする練習。
一問一答の本は1ページ1秒ペースで全ページ見る。
計算は、分数、累乗、ルート。
英語はうっすい基本ワーク「7日で中学3年分」を1日分ずつやってく。
とにかく、予定の中に全て入れる。ボンヤリとやる、じゃなく。
具体的になると、睨むようにして脚を揺らしていた彼女の、顔が少し明るくなった。
で、やり始めた、はずが。
大雪。
雪の白が好きな彼女は、気分転換に、雪遊び行きたい！と言い出した。兄弟達ももちろん行きたい！である。
朝早くから準備して、雪が積もっているところへ。
セコイアの並木道が雪化粧をして美しい。
妹達はかまくら作り、弟はそりすべり。
彼女は、もくもくと、雪玉を転がしていた。
並木道の写真を撮る手が震えていた。
雪玉転がしすぎて。
何やってんだか。
雪でドロドロに疲れたそのあと、
ナガノマーケット見に行きたい！なんで行けない？
とぶーたれる。
一日終わってしまって、勉強どうするとかじゃないんかい。
結局、平日に学校終わってから、父とわざわざ30分電車乗って行ってきた、らしい。
買ってきたのは、もぐらコロッケコップとぬいぐるみ。缶バッチ。
何やってんだか。
でも、やりたいことを抑え過ぎて、スマホいじりに走るより、まだ健康的な気はする。
大人になっても続く、これからの長い道のり。
ずっと出来てない課題を抱えていく以外の道が、あるのかもしれない。
彼女の笑顔が、そう思わせる。
