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ロマへの差別をご存知ですか?
〜2月20日 12:30
恥ずかしながら、私は「ロマ」という民族についての知識がほとんどなかった。
ヨーロッパ全域で暮らす少数民族に「ロマ」「スインティ」がある。俗に「ジプシー」と呼ばれている。「ジプシー」いう言葉は「エジプトからやってきた人」つまり「エジプシャン」という誤解から発生し、差別的な意味あいをもつ呼称として認知されている。彼らが自称する「ロマ」「スインティ」が公称であり、「ロマ」という言葉は、スインティ・ロマの言語であるロマニ語で「人間」を意味するそうだ。もともと、インド北西部(パンジャブ地方)を発端の地とし、10世紀ごろから移動を開始し、現在1000万人を超えるロマ民族が、ヨーロッパ各国・西アジア・北アフリカ・アメリカなどに広く居住していいる。正確に言えば、「ロマ」はヨーロッパ南東部、「スインティ」はドイツを含めた中部ヨーロッパに定住していた少数民族の自称である。1955年、ドイツに暮らしていた7万人のスインティ・ロマ民族は、少数民族として正式に認知された。
ロマ民族への迫害は、ヨーロッパでは中世の時代から続いてきたとされる。ナチス・ドイツがロマ民族を強制収容所に連行し、絶滅政策をおこなったことは実は私もよく知らなかった。フランスやオーストリアをはじめとする西欧諸国では「ジプシー追放令」が15世紀以降くりかえし出されていたそうだ。
2010年、フランス政府はEU憲法違反にもかかわらず、13,000人のロマを国外に強制追放するなど、ヨーロッパ諸国を移動しながら生活するロマ民族への不公正な扱いと排斥を続けている。
ロマ民族の迫害史やホロコーストを研究する識者からすると、日本という国では口マ民族への差別についての意識が希薄だと指摘されている。私自身も「ロマ」=「ジプシー」という知識しかなく、ロマ民族が差別の対象になっているという認識は恥ずかしながら薄かった。
「ジプシー」「ツイゴイナー」「ヒターノ」など雑多な他称で呼ばれ、ロマニ語をはじめとする独自の文化を保持する推定1200万人を数える欧州連合
合(EU)最大の少数民族の自称が「ロマ」だという。ロマは、1971年ごろから国際的な人権活動をはじめた。1971年ロンドンで開催された<世界ロマ会議)は、「ジプシー、ツィゴイナー、ヒターノなど、すべてのロマニ語起源でない人種主義的なレッテルをわれわれは厳しく非難する」と決議。ロマは独自の国家をもたないが、ロマの旗、ロマの歌もその会議で決められた。それから40年が経過したが、差別語でもある「ジプシー」などの他称は、多くの国々で現在も使われつづけられている。
恥ずかしながら、これも知らなかったのだが、ロマ民族は第二次世界大戦ではユダヤ人と同じく人種差別主義によって、ナチスに大量虐殺された人々であり、EU圏内では今なおロマへの襲撃にまで発展するような差別的暴力事件(ヘイトクライム)が続発しているそうだ。「ツィゴイナー」はギリシャ語の「異教徒」に由来し、不可触民の意味もある言葉。有名内サラサーテ作曲の「ツィゴネルワイゼン」は「ジプシーの旋律」という意味ということも恥ずかしながら知らなかった。
日本では、1901年(明治34)に長崎に来た「総勢50余人のヂプシーのー隊」を「西洋穢多の舶来」の見出しで、日本の新聞(京都日出新聞)がはじめて紹介している。「ジプシー」という差別的呼称は、社会的必要性と合理的理由なしに安易に使う言葉ではない。「西洋穢多」という日本語もあまりにも酷い言葉だ。
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1月21日 12:30 〜 2月20日 12:30
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